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ショーン・コネリーが所有していたピカソの肖像画が香港のオークションに登場!予想落札価格は約24億円

近年、香港を中心とするアジアのアート市場では、キュビズムの巨匠、パブロ・ピカソの需要が高まっています。

そんな潮流がさらに加速するかのように、この春、パブロ・ピカソの肖像画を含めた絵画2点が、香港のオークションに出品されることになりました。

世界三大オークションハウスのクリスティーズとサザビーズは、ピカソの2つの作品を現代美術のイブニングセールで出品することをそれぞれ発表しました。

サザビーズでは4月27日、クリスティーズでは5月26日にオークションが開催される予定です。

 

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ショーン・コネリーの遺産から出品された「Buste d’homme dans un cadre(1969)」

ショーン・コネリー

Photo taken by Simon Walker

クリスティーズは、2022年5月26日に香港コンベンション&エキシビションセンターで開催する「20世紀と21世紀のイブニングセール」で、パブロ・ピカソの「Buste d’homme dans un cadre(1969)」が出品されると発表しました。

この作品は、2020年に亡くなった元ジェームス・ボンド俳優のショーン・コネリーの遺産から出品されます。

推定落札価格は1900万ドル(約24億円)と予想されています。

 

ピカソはレンブラントやベラスケスといった著名な画家、シェイクスピアやデュマといった文豪からインスピレーションを得て、この作品を制作したと言われています。

 

1966年に、ピカソはデュマの小説「三銃士」を再読し、17世紀ヨーロッパの冒険心溢れる男性像をモチーフに選びました。

顎髭を生やした男性は、「三銃士」に登場する宿敵リシュリュー枢機卿に似つかわしい姿で描かれています。

ピカソが描いたリシュリュー枢機卿は、髪や顔を色彩豊かに描くことで親しみやすい雰囲気を漂わせ、強い眼差しや広い襟元の衣装はレンブラントの自画像のような率直さと強さを連想させます。

 

クリスティーズの印象派・近代美術部門担当者は、次のようにコメントしています。

ショーン・コネリーの遺族から、この素晴らしいピカソの肖像画の売却を任されたことは、クリスティーズにとって名誉なことです。

映画界の巨匠が、現代美術の巨匠によるこの力作に引き寄せられたのも不思議ではありません。

今回初めてオークションに出品されたこの作品は、ピカソの晩年の作品の中で、また、これまで市場に出たものの中で最高傑作の一つです。

 

ピカソのミューズを描いた肖像画「ドラ・マール(Dora Maar)」

ドラ・マール

© The Cecil Beaton Studio Archive at Sotheby’s

香港のサザビーズで競売にかけられるもう一つの作品は、ピカソが1939年に描いた肖像画「ドラ・マール(Dora Maar)」。

モデルとなっているのは、1930年代から40年代にかけてピカソの作品に数多く登場したシュールレアリズムの写真家であり画家のドラ・マールです。

 

ドラ・マールは、20世紀を代表するフランスの芸術家で、パブロ・ピカソのミューズとして知られています。

彼女自身も詩的な写真やシュールレアリズム的なコラージュ、プロヴァンスの風景を描いた絵画など、多くの作品を発表しました。

 

ピカソ ゲルニカ ドラ・マール

1937. Photo : Dora Maar

ピカソが「ゲルニカ」を描く過程を記録した写真シリーズは、ドラ・マールの最も有名な作品の一つとして知られています。

ゲルニカがパリ万国博覧会のスペイン館の壁画として発表された1937年に、ピカソはドラ・マールをモデルに「泣く女」を描いています。

 

今回出品される作品には、赤い背景に黒髪で目を見開いたドラ・マールの姿が描かれています。

この作品はヨーロッパ大陸が戦争の危機に瀕していた1939年に描かれました。

ピカソの描くドラ・マールの肖像画は苦悶の表情を浮かべているものが多いのに対し、本作は落ち着いた優雅さといった印象を与えます。

2022年4月27日に開催されるサザビーズのオークションに出品され、推定落札価格は1760万ドル(約22億円)となっています。

 

アジアで高まるピカソ作品の需要

サザビーズのアジアモダンアート部門の責任者は、香港を中心としたアジア市場でのピカソ作品の需要は、近年かつてないほど高くなっていると言います。

2021年、香港で開催されたオークションでは、ピカソの2番目の妻ジャクリーヌ・ロケ(Jacqueline Roque)の肖像画が2460万ドル(約31億円)で落札。これを機にピカソ作品の価格基準は一気に上昇しました。

 

アジアの富裕層は、ピカソを筆頭に歴史的価値の高い西洋絵画を求める傾向が強く、今後も香港のオークションでピカソの傑作が出品される可能性は高くなっています。

ピカソは来年2023年で没後50周年を迎えることから、コレクター達の関心もますます白熱していくでしょう。

今後もピカソと香港のアートマーケットの動向にご注目を。

 

 

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