2021/06/02

モナリザ西洋美術
MAGAZINE

「モナリザ」はなぜ有名なのか?ダヴィンチの傑作の謎や鑑賞ポイントを解説

世界中の誰もが知っていると言っても過言ではない、天才レオナル・ド・ダヴィンチの「モナリザ」。

その魅惑的な微笑みは、今まで多くの人々を魅了してきました。

美術が好きな人の中には「モナリザって、そもそもどうしてこれほどまでに有名なのだろう」と、疑問に思ったことがあるのではないでしょうか。

そこで今回は、なぜモナリザがここまで有名になったのか、その理由と絵に隠された謎について解説していきます。

 

「モナリザ」とは?

レオナルド・ダヴィンチの傑作

1452年に生まれたレオナルド・ダヴィンチ。

当時フィレンツェで名を挙げていた画家であり彫刻家でもあったヴェロッキオに弟子入り。そこでダヴィンチは絵画などの芸術面を学び、さらに化学:金属加工・機械工学など幅広い分野で素晴らしい才能を開花させました。

モナリザが制作されたのは1503年から1506年と言われていますが、ダヴィンチはこの世を去る少し前まで手を加えていたともいわれています。

ダヴィンチは亡くなる少し前、フランソワ一世に招かれフランスへ移住し、その時にモナリザも一緒にフランスへ持ち込みました。

ダヴィンチの死後、フランソワ一世がモナリザを買い取ったため、ほぼ永久的にフランスに置かれることとなります。

 

モナリザの鑑賞ポイント

「スフマート」で描かれた絵画

「スフマート」技法とは「煙のような」という意味があり、1~2ミクロン単位の絵具を何層も塗り重ねることにより、立体感などを表現するぼかし技法です。

対象物の輪郭の線をはっきりと描く方法が主流だった当時に、ダヴィンチがスフマート技法を用いたのはとても革新的でした。

モナリザで描かれたスフマート技法には、99%の鉛白に、1%の赤色硫化水銀ヴァミリオンという赤の顔料が混ぜられており、この鉛白が、スフマート技法における発色の良さの一つの原因とされています。

スフマート技法によって描かれたモナリザの顔は輪郭となる線が無く、まるで生きているかのような立体感、リアリティーがもたらされました。

 

背景の空気遠近法

モナリザの背景には「空気遠近法」という大気が持つ性質を利用した技法が用いられています。

この技法は、色彩や色調をコントロールして遠近感を出すというものです。

対象物は近いほど色彩は濃く輪郭もはっきり見えます。逆に対象物が遠くにあるほど青みがかり、輪郭がかすんで見えることに。

ダヴィンチはこの原理を利用し、手前の岩山を暖色系ではっきり描きました。

そして奥にある岩山を寒色系でぼかして描いています。

また女性の髪や服を描く際、手前の岩山よりもさらに濃い暖色系の色を使用。そのためより一層奥行きが感じられるようになっています。

 

モナリザが有名になったきっかけ

モナリザ盗難事件

16世紀を代表する芸術家ジョルジョ・ヴァザーリは、ダヴィンチをルネサンス最大の画家としモナリザを「最高傑作」だと評価しています。

彼の評価によって、モナリザは美術的な評価を得ました。

そしてモナリザがもっと世界的に有名になったのは、今から100年と少し前のことです。

1911年、ペルージャというイタリア人男性が「モナリザ」はイタリアのものだと主張し、ルーブル美術館からモナリザを盗んで事件になりました。

この事件が世間で有名になり、一度盗まれたことのある神秘的な絵画だとして、モナリザの名が世界中に知れ渡るようになりました。

 

モナリザにまつわる謎

描かれている美女の謎

そもそもモナリザのモデルは誰なのでしょうか?

最も信憑性があるのは、裕福な絹商人、ジョコンドの妻だという情報です。

ジョコンドが1503年に依頼した妻の肖像画が、モナリザなのではないかと言われています。

しかし、ある専門家は、ダ・ヴィンチは自分の弟子で同性の愛人だった可能性のあるサライという人物から大きなインスピレーションを得て、モナリザを描いたと考えています。

他にも、ダヴィンチの母親説やダヴィンチ本人説など、モデルに関しては多くの説があり、未だ確証に至ってはいません。

 

モナリザの微笑み

スフマート技法によって描かれたモナリザの微笑みは、優し気で喜びが感じられるような印象を与えます。

顔をよく見てみると、頭から半透明の黒いベールをまとっているのが見えますが、これは妊娠中や出産直後の女性が身に着ける「グアルネロ」と呼ばれるものです。

つまりモナリザの微笑みは「母になった女性の喜び」を意味すると言われています。

しかし妊娠中や出産直後でない時もグアルネロを身に着ける習慣はあった、という意見もあり、真相は謎に包まれています。

 

左右の顔の違い

モナリザの謎を語る上で欠かせないポイントが、左右の顔の違いです。

顔の左半分を隠すと優し気に微笑んで見えますが、右半分を隠すと複雑な表情に見えます。

左右の顔で違う印象を与える1つの理由は、視線の先と口角の上がり方に違いがあるためです。

また、右目は正面を見ていますが左目は少し右を見ています。

左右の表情の違いにはどんな意味があるのか、多くの研究者たちの頭を悩ませている謎の一つです。

 

瞳の暗号

イタリアの美術史家シルヴァーノ・ヴェンチェッティは、高度な拡大鏡を使用してモナリザの瞳の中に文字が描かれていることを発見しました。

右目にはダヴィンチのイニシャルと思われる「LV」。左目には「CE」または「B」と思われる文字が確認できるそう。

多くの専門家は、恐らく左目のアルファベットはモデルのイニシャルであろうと述べています。

また、背景の橋の右側のアーチには数字の「72」またはアルファベットと数字の組合せで「L2」と書かれており、ここにも何か意味が隠されているかもしれないとも言われています。

 

本物のモナリザを見ることができる美術館

パリ・ルーブル美術館

フランス・パリにあるルーブル美術館で本物のモナリザが見られます。

ルーブル美術館は世界最大級の美術館。特別な壁に設置されたモナリザの絵は、多くの来館者が必ず訪れる場所です。

ルーブル美術館には、約38万点以上が所蔵されており、モナリザの他にもミロのヴィーナスやフェメールの「レースを編む女」、ドラクロワの「民衆を導く自由の女神」など、世界を代表する作品を楽しむことができます。

また美術品だけでなく重厚感溢れるバロック様式の建築も、ルーブル美術館の魅力とされています。

 

ルーブル美術館詳細

開館時間:9:00~18:00(水、金、第一土曜日は21:45まで)

休館日:火曜日、1月1日、5月1日、12月25日

入館料:(当日券)€15(オンライン事前予約)€17

 

もっとモナリザを楽しむ

小説「ダヴィンチ・コード」

ルーブル美術館で殺害された館長の周囲に残された暗号。主人公のラングドンは、容疑者として現場に連れてこられます。

そこで館長の孫娘であるソフィーに助けられ、警察に追われながらも館長が残した暗号の謎を解いていく物語です。

「モナリザ」や「最後の晩餐」が登場し、物語を進めていく大切なキーポイントとなっています。

主人公が謎を解明したときに明らかになる真実とは何なのか…好奇心くすぐられるミステリー小説となっています。

ダ・ヴィンチ・コード(上)

660円 (税込)

出版社 : 角川書店
発売日 : 2006/3/10

 

「謎解きモナ・リザ」

本書は晩年のダヴィンチが手を入れ続けたモナリザ。そこにはどのような謎と仕掛けがあるのか、ミステリーの謎解きのように解明されていきます。

モナリザの表情の違和感や最大の謎であるモデル問題

さらにはモナリザの売却事件の真相など、モナリザに関するあらゆる真実に迫ります。モナリザの謎に関心がある方におすすめです。

謎解きモナ・リザ

814円 (税込)

出版社 : 河出書房新社
発売日 : 2016/3/5

 

「モナリザと数学」

ダヴィンチは美術だけでなく医学や幾何学の世界にも精通していました。

人間の体の比率などの研究もしていたため、数々の作品には人間の体の「美の法則」が隠されています。モナリザの顔の形や背景などにも「美の法則」の仕掛けが。

本書では、ダヴィンチは画力だけでなく科学や数学などの知識を駆使したことで、完成度の高い作品を創り上げることができた述べています。美術と科学という、正反対の分野が重なり合うことで奇跡の作品が生まれたそう。

ダヴィンチを深く理解していきたい人におすすめの本です。

モナ・リザと数学-ダ・ヴィンチの芸術と科学

出版社 : 化学同人
発売日 : 2006/5/10

 

まとめ

以上、モナリザが有名な理由と絵に隠された謎について解説してきました。

ダヴィンチは様々な分野の知識をキャンバス一枚にふんだんに盛り込み、卓越したレベルの絵画を生み出しました。

絵具の重ね塗りの下に隠されているものが何なのか、などまだまだ謎は多いモナリザ。

モナリザは、数多くの謎が解明されないからこそ500年以上経った現在でも人々を魅了するのかもしれません。

 

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