仏像の基礎知識を解説!種類や見分け方・全国の有名な仏像も
日本には全国各地にたくさんのお寺があり、その中には仏像が祀られています。
静かなお寺で仏像を見ていると心が癒されるという人も多いでしょう。
今まで何気なく鑑賞しお祈りしていた仏像について知識が増えると、お寺を訪れるのがさらに楽しくなります。
今回は仏像の歴史や種類、見分け方について全国の有名な仏像とともに解説します。
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仏像とは何か
釈迦の姿を写したもの
仏像は、その名前の通り仏教の仏様の姿を表現した像です。
仏様とは、仏教の開祖である釈迦(本名:ガウタマ・シッダールタ)のことを指します。
釈迦は紀元前5~6世紀頃、北インドにあるシャカ族の小王国の王子として生まれ、悟りを開いて仏陀として教えを仏教という形で広めました。
仏像はその釈迦の姿を崇めると同時に仏教への信仰を深めるためにつくられたものです。
仏像の成り立ちと歴史
仏教を説いた釈迦は「自灯明・法灯明」、つまり自らの知恵によって苦悩から超越するという悟りを教えており、自分自身が信仰の対象と考えていなかったため、仏像をつくって崇拝することは認めていませんでした。
また、「仏陀となった偉大な釈迦の姿は畏れ多くて像にできない、人間とは別の存在であり人間の姿では表せない」と思われていたため、代わりに法輪(仏の教えが広まる様子を輪で表現したもの)や仏足石(釈迦の足跡を刻んだ石)、菩提樹を崇拝の対象としていました。
釈迦の入滅(涅槃に入ること)から500年ほど後に仏像が制作されるようになったと考えられています。
仏像が最初に表現されたのは、西北インドのガンダーラ地方で出土した「祇園布施」という仏伝図浮彫で、紀元一世紀中頃に作られたと言われています。
単独の仏像は、紀元120~130年ころに作られたと推定されています。
日本に仏像が入ってきたのは飛鳥時代で、善光寺の「一光三尊阿弥陀如来像」や明日香寺の「飛鳥仏像」は国内で最古の仏像とされています。
仏像の種類と製作方法
仏像に使われる素材は金属、漆、木、石、土と大きく5種類あります。
素材によって作り方や手間、費用なども異なります。
金銅仏
金メッキで仕上げる金属製の仏像。
飛鳥・奈良時代に盛んでしたが、高度な技術と多くの費用が必要でした。奈良の大仏や東大寺の大仏のような巨像もあります。
金銅仏は鋳造像で、溶かした青銅を型に流し込んで作ります。
金銅仏がよく作られた、飛鳥~天平像のほとんどは蝋型を使用していました。
<制作手順>
まず土で型を作り、そこに蝋をかけて彫刻を施します。
蝋型を土で焼きしめ、蝋だけが溶けてできた空洞に銅を流し込み、冷やした後に外すと彫刻ができます。
この製法で、金・銀・鉄仏を造ることができます。
脱活乾漆像(だっかつかんしつぞう)
粘土製の原型の上に麻布を漆で貼り重ねて造形し、後に内部の粘土を取り出す技法。
乾漆像には「脱乾漆」と「木芯乾漆」の2種類があります。
奈良時代に多く用いられた大変手間のかかる技法です。
<脱幹漆の制作手順>
土や粘土で形を作り、その上に麻布を貼り付け、漆で塗り固めて造形します。造形したものを乾燥させて像を割り、中の土を取除いた後、木芯などを入れることによって像がゆがむことを防ぎます。脱乾漆は、軽いのが特徴です。
<木芯乾漆の制作手順>
像の概形を木彫で作り、その上に麻布を貼り、抹香漆または木屎漆を盛り上げて完成させる像です。木心乾漆像の像内には木心が残ったままで、麻布も厚く貼らないのが特徴です。
木像
日本にある仏像の多くは木彫像です。
飛鳥時代は楠、奈良から平安初期は榧(かや)を使い、日本に多く生育していた檜を使用するようになった平安後期から仏像は木像へと移行していきました。
<制作手順>
1本の木から造る一木造と、寄せ木で造る寄木造があります。
香木や霊木などの貴重な木で造られる像はほとんどが一木造です。
寄木造は大きな像であっても大木を必要とせず、運ぶのが容易で更に分業も可能という利点があり、効率のよい制作方法です。
塑像
白鳳~天平時代に流行した塑像。
粘土で造る仏像で、他の素材に比べ、手間もかからず安価でした。重くて壊れやすいことが特徴です。
<制作手順>
木で心木を作り縄を巻いてから土を2層から3層に分けます。
骨組みに、粘土をつけて制作します。
石像
海外の仏像は多くが石仏であるのに比べ、彫刻に適した自然石が少ない日本では石仏は多くありません。
しかし仏像ではなく、お地蔵様の多くは石像です。
崖に直接彫刻した磨崖仏のほか、小さな石地蔵を路傍に見ることができます。
<制作手順>
まずは原寸大の図面を作ります。
図面が出来たら石にバランスに注意して写し取り、粗彫りを始めます。
自分のイメージを頼りに全体のバランスを決めながら粗彫りをすすめます。
仏像の種類と見分け方
仏様は4つの種類に大きく分けられ、序列があります。
それぞれの仏像は姿形や表情、身に着ける衣や装飾品、手にする道具などの特徴も異なります。
如来像
如来は仏様の中で最も序列が高く、「かくの如く行ける人」、つまり修業を終えて悟りを開いた者という意味です。
初期仏教において「仏」とは仏教の開祖ガウタマ・シッダールタ(釈迦如来)を指しましたが、大乗仏教の発達とともに、弥勒仏、阿弥陀如来などの様々な仏像が造られるようになりました。
頭部が盛り上がっている(肉髻)、頭髪が右巻に渦巻いている(螺髪)、眉間から伸びた身長くらいの長さの白い毛が右巻に渦巻いている(白毫)、体が金色であるといった特徴を持ち、装飾品は身に付けていません(大日如来を除く)。
釈迦如来
仏教の開祖である釈迦本人をモデルに造られた、全ての仏教の原点となる仏像です。
右手は胸のあたりで手のひらを見せる「施無畏印(せむいいん)」、左手は降ろした状態で手のひらを見せる「与願印(よがんいん)」を結んでいます。
薬師如来
病気や傷を癒してくれる仏様です。
左手に持っている薬壷の中には万病に効く薬が入っていて、いくら与えても尽きることはないとされています。
阿弥陀如来
阿弥陀如来を念ずる人を死後極楽浄土に往生させてくれる仏様です。
阿弥陀如来は、天台宗、浄土宗、浄土真宗、融通念仏宗の本尊です。
大日如来
大日如来は密教の如来で、宇宙そのものと考えられている如来です。
密教は平安時代に空海や最澄が日本に広めました。
宝冠を被り、装飾をつけた姿で表され、「智拳印」を結んで悟りの最高境地を示しています。
菩薩像
菩薩とは「悟りを求める者」という意味で、仏陀になることを目指して修行に励んでいる修行者です。
如来になるための悟りを開く前のお釈迦様の姿で、きらびやかな装飾品をたくさん身につけているのが特徴です。
髪を高く結い上げ、頭に宝冠、胸に宝石や貴金属でできたネックレス、優雅な衣をまとっているなど、華麗な印象を持ちます。
如来のように印は結ばず、持物(じもつ)を持っていますが、地蔵菩薩だけは頭を丸めて宝冠をつけず僧の姿で表わされています。
観音菩薩
庶民信仰を集めてきた仏様の一つです。
救いを求める者の姿に応じて「十一面観音」や「千手観音」、「如意観音」など様々に変化し、慈悲をもって人々の願いを叶えます。
人々を浄土まで運んでくれるとされていますので、浄土教では、現世だけでなく来世の救済にもご利益があるとされます。
観音菩薩は阿弥陀如来の化身ともされ、宝冠の中央に阿弥陀如来の小像「化仏(けぶつ)」が配されているのも特徴です。
弥勒菩薩
お釈迦様の次に如来の位につくと約束された菩薩です。
死んだ後、兜卒浄土に生まれ変われるとする信仰です。
文殊菩薩
お釈迦様の弟子の一人で、最も優れた智恵を持つ仏様です。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざがある通り、知恵の神様であり学業向上や合格祈願で有名な菩薩です。
青い獅子の上に乗っていることが多く、右手に経巻(きょうかん)、左手に剣を持っていることが多くあります。
地蔵菩薩
地蔵菩薩は、道端の祠や田んぼのあぜ道で見守ってくれている最も身近な菩薩として知られ、子どもとの結びつきが強い菩薩です。
右手には錫杖、左手に宝珠を持ち、人間の僧のような姿をしているのが特徴です。
明王
大日如来の命を受け、仏教に未だ帰依しない民衆を帰依させようとする役割を担った仏尊です。
怒りの表情で手には剣を持ち、炎を背にしているため恐ろしい印象を与える明王は、非常に強い力を持ち、悪を打ち砕き仏法を守る存在です。
火生三昧という炎の世界に住んでいて、人間界の煩悩や欲望が仏の世界に波及しないよう、聖なる炎で焼き尽くすと言われています。
天部
密教信仰特有の仏像です。
お釈迦様の家来たちがモデルとなっている天部は、古代インドの宗教(バラモン・ヒンドゥー教)の天界に住む宇宙の創造神が仏教に取り入れられ、仏法の護法神となった者の総称です。
如来・菩薩・明王の働きを妨げる仏敵を撃退する役割を持つため、甲冑をまとい臨戦態勢を整えている姿が多く見られます。
梵天、帝釈天、持国天、増長天、広目天、多聞天(毘沙門天)の四天王、弁才天(弁財天)、大黒天、吉祥天、韋駄天、摩利支天、歓喜天、金剛力士、鬼子母神(訶梨帝母)、十二神将、十二天、八部衆、二十八部衆など多くの天部の神があります。
仏像の手の形の意味は?【鑑賞のポイント】
手や指で様々な形を作ることを印相と言い、仏の悟りの境涯を表します。
それぞれの印相には仏の悟りの内容、性格、働きなどを表す教義的な意味があるので、仏像がどの印相を結んでいるかによって、その仏像が何であるか判断できます。
日本の寺院などで見かける代表的な印相を解説します。
施無畏印(せむいいん)と与願印(よがんいん)
施無畏印は、中指を曲げた手を胸前まで上げて手の平を前に向けた印相です。「畏れなくてよい」と相手を励ます意味です。
与願印は、手を下げて中指と薬指を軽く上げ、手の平を上に向けた印相です。
「相手の願いを聞き届けよう」という仕草を模したものです。
この2つの印相はセットで用いられることが多く、釈迦如来像に多くみられます。
奈良の東大寺の大仏の印相といえばよくお分かりいただけるかと思います。
智拳印(ちけんいん)
密教の大日如来が結ぶ、最高の智慧を表した印相です。
胸前で左手は人さし指を立てながら握り、右手は左手の人差し指を握る印相です。
右手が左手の指を包むような形は、インドで清浄の手とされる右手が仏を表し、不浄の手とされる左手が衆生を表し、仏の智慧が衆生を包み込むことを表しています。
定印(じょういん)
仏が瞑想に入っていくことを指す印相です。
左手の指を伸ばして掌を上向け、その上に右手を同じようにして重ねて親指同士の先を合わています。
大日如来や釈迦如来坐像に多く見られる姿勢で、「禅定印」とも呼ばれることもあります。
阿弥陀如来の定印は人差し指を親指につけて輪を作る「法界定印」で、この印相を結んでいる有名な仏像に鎌倉の大仏があります。
來迎印(らいげいいん)
阿弥陀如来特有の印相で、信者の臨終の際、阿弥陀仏が西方極楽浄土より迎えに来る時のポーズとされています。
右手を上げて左手を下げてともに手の平を前に向け、それぞれの手の親指と人差し指(または中指、薬指)で輪を作っています。
京都・三千院の阿弥陀三尊の中尊像の印相です。
全国の有名な仏像【国宝】
日本にある数ある仏像の中で、特に有名な国宝の仏像をご紹介します。
法隆寺「金堂釈迦三尊像」(奈良県)
法隆寺の本尊「釈迦三尊像(しゃかさんぞんぞう)」は、飛鳥彫刻の代表作と言われる仏像です。
大きな舟型の光背(こうはい)を背に持ち、その光背には銘文が刻されています。
この銘文から、飛鳥時代の代表的な仏師「鞍作止利(くらつくりのとり)」の作と判明しています。
推古30年(622年)に聖徳太子が発病され、また薨去されるにあたり、その病気平癒と成道を願って造られた太子等身の像がその翌年に完成したことなどが刻まれています。
つまりこの像は、釈迦の像でありながら聖徳太子の像なのです。
飛鳥時代の特徴の四角い顔にアーモンド形の目を持ち、穏やかな微笑みをたたえています。
脇侍は「薬王菩薩(やくおうぼさつ)」と「薬上菩薩(やくじょうぼさつ)」で、本尊とともに国宝に指定されています。
「釈迦三尊像」が安置されている「金堂」も国宝です。
聖徳宗総本山法隆寺詳細
住所:〒636-0115 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1の1
開館時間:8:00~17:00(11月4日~2月21日は16:30まで)
拝観料: 一般1,500円 小学生750円
東大寺「東大寺盧舎那仏像(とうだいじるしゃなぶつぞう)」(奈良県)
東大寺の「盧舎那仏(るしゃなぶつ)」は、「奈良大仏」「東大寺の大仏様」とよばれる仏像です。
台座を含む総高が18.03メートル、重量250トンと迫力のある姿です。
聖武天皇の勅願で745年に製作がはじまり、752年に完成しましたが、東大寺とともに廬舎那仏も何度か戦火にあったのちに復興したため、現在の大仏のうち奈良時代から伝わる部分は、台座および膝頭の一部のみです。
華厳宗大本山東大寺詳細
住所:〒630-8587 奈良県奈良市雑司町406-1
開館時間:大仏殿 7:30~17:30(4~10月/11月~3月は8:00~17:00)
休館日:月曜日 午前
入堂・拝観料: 中学生以上600円 奨学生300円
※大仏殿・法華堂・戒壇堂、千手堂、東大寺ミュージアム
それぞれ入堂料が必要
中宮寺「菩薩半跏像」(奈良県)
中宮寺の「菩薩半跏像」は、気品のある微笑「アルカイックスマイル(古典的微笑)」をたたえる美しい仏像です。
京都広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像と並んで飛鳥時代の最高傑作の一つと評価されていると同時に、エジプトのスフィンクス、レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナリザと並んで「世界の三つの微笑像」にも選ばれています。
漆黒で、半跏の姿勢で左の足を垂れ、右足を膝の上に置いて右手の指で頬に触れ、思惟するしなやかな造形が特徴です。
体はクスノキを使った「寄木造」です。
聖徳宗中宮寺詳細
住所:〒636-0111 奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2
開館時間:9:00~16:00(3月21日~9月30日は9:00~16:30)
拝観料: 大人600円 中学生450円 小学生300円
東寺「四天王立像」(京都)
国宝『四天王立像』は 真言密教の総本山、東寺の講堂の四隅に配されています。
東寺は弘法大師空海に託された寺で、講堂にあるのは大日如来を中心とした密教尊21体が安置された立体曼荼羅です。
中央の如来、左右の明王、そして菩薩を守るように東西南北の四隅に四天王(持国天、広目天、増長天、多聞天)が配置されています。
どれも台座を含め一木から掘り出された平安初期の木彫彫刻の傑作です。
真言宗総本山教王護国寺(東寺)詳細
住所:〒601-8473 京都府京都市南区九条町1番地
開館時間:8:00~17:00(月曜日は13:00から開館 木曜日は20:00まで)
拝観料: 大人500円 高校生400円 中学生以下300円
※金堂・講堂・五重塔のみ、御影堂、食堂などは無料
三千院「阿弥陀三尊坐像」(京都)
三千院の「阿弥陀三尊像」は、亡くなる人を三体の仏が極楽浄土から迎えに来た様子を写した仏像です。
中央の「阿弥陀如来像」は来迎相を結び台座に座り、両脇には「勢至菩薩」と「観世音菩薩」がいます。
脇侍仏2体は「跪坐」し、膝を少し開いて上半身は前かがみとなった「大和座り」という珍しい形です。
中央の阿弥陀像との対比で三体の仏像には躍動感があり、往生者をお迎えするまさにその一瞬を表しています。
平安時代を代表するこの三尊像は往生極楽院という建物の中に安置されていますが、阿弥陀如来像が建物よりも大きいため、天井を船底型にしてあることで有名です。
船底型の天井に天女や菩薩の姿が極彩色で描かれ、まさに極楽の世界です。
天台宗京都大原三千院詳細
住所:〒601-1242 京都市左京区大原来迎院町540
開館時間:9:00~17:00
(11月は8:30~17:00、12月~2月は9:00~16:30)
拝観料:一般700円 中高生400円 小学生150円
神護寺「薬師如来像」(京都)
金堂に安置されている神護寺の本尊である薬師如来立像は、奈良時代後期に造られたとされ、カヤ材の一木造りの木像です。
鋭いまなざしで口元は強く結ばれ、がっしりした身体つきに太い腕の力強い立像です。
表面が黒く煤けており、拝するものに畏怖の念を起こさせるような威厳があります。
弘法大師霊場遺迹本山神護寺詳細
住所:〒616-8292 京都市右京区梅ヶ畑高雄町5番地
開館時間:9:00~16:00
拝観料:中学生以上600円 小学生300円
観心寺「如意輪観音坐像」(大阪)
平安密教美術の最高傑作と言われている手が6本の密教彫像で、心寺の本尊として金堂内陣の厨子内に安置されいます。
観秘仏のため通常は厨子が閉ざされており、毎年4月17・18日の2日間のみ開扉されます。
除厄のために空海が刻んだ仏と言われ、長い間秘仏であったために保存状態がよく、表面の彩色や文様もよく残っています。
国宝指定名称は「木造」となっていますが、カヤの一木造りで腕などは別材をはぎ、上に木屎漆(麦漆に木粉などを混ぜたもの)を盛って、肌のやわらかい感触を表現しています。
高野山真言宗遺跡本山 檜尾山観心寺詳細
住所:〒586-0053 大阪府河内長野市寺元475
開館時間:9:00~17:00
拝観料:大人300円 小中学生100円
浄土寺「阿弥陀三尊像」(兵庫)
兵庫県にある高野山真言宗の寺院・浄土寺の本尊で、仏師快慶の代表作です。
浄土堂の中央にある円形仏壇の雲座の上に立っています。
僅かに阿弥陀三尊が前に傾いてることから、西方極楽浄土から飛雲に乗って来迎する情景を表現したものであると言われています。
浄土堂は境内の西の極楽浄土の位置する側に建てられ、阿弥陀三尊は東向きに立っています。
堂の背後の蔀戸(建物の内側または外側へ跳ね上げる形式の戸)を開け放つと、背後からの光が入るようになっており、晴れた日の夕刻には堂内全体が朱赤に輝くように染まって、雲座の上に位置する三尊像が浮かびあがって来迎の風景を現すという劇的な光の演出効果を備えています。
高野山真言宗浄土寺詳細
住所:〒675-1317 兵庫県小野市浄谷町2094
開館時間:9:00~17:00
(10月〜3月は16:00まで)
拝観料:500円
慈尊院「弥勒仏坐像(みろくぶつざぞう)」(和歌山)
国宝、木造弥勒仏坐像は慈尊院の本尊で、弥勒堂(世界遺産)に安置されています。
如来形の弥勒仏の像で、右手を挙げ(施無畏印)、左手を膝上に置く(与願印)如来像の印を結んでいます。
両膝前までを含んで桧の一木造りで、下ぶくれの頭部や重々しい面相、量感のある体躯表現など平安前期の特色が現れている彫像です。
長年秘仏として伝えられてきたため、台座もほぼ当時のままの完全な形で残されています。
開扉は、空海の命日が21日であることにちなんで、21年に一度とされています。
高野山真言宗慈尊院詳細
住所:〒648-0151 和歌山県伊都郡九度山町慈尊院832
開館時間:8:00~17:00
拝観料:無料
まとめ
仏像の種類や見分け方、ポーズ、そして全国の有名な仏像をご紹介しました。
一口に仏様と言ってもさまざまな役割を持っていることが分かると、仏像を鑑賞する楽しみがまたひとつ増えますね。
この記事を参考に、お寺巡りで出会った仏像をじっくり鑑賞してみてはいかがでしょうか。
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