バスキア作品がこの秋もオークションに登場!入札は46億円から
2021年の現代アート市場で最高額取引を記録したジャン=ミッシェル・バスキアの作品が、この秋もオークションに登場。
老舗オークションハウス、クリスティーズ・ニューヨークが11月9日に開催する21世紀美術イブニングセールに「The Guilt of Gold Teeth」(1982年)が出品されることになりました。
作品の所有者は1998年にサザビーズで38万7,500ドル(4400万円)の価格で購入し、以後四半世紀近くにわたりコレクションとして収蔵していました。
入札はなんと、4000万ドル(46億円)からスタート。今回落札されれば当初の落札価格の100倍以上の価値が付くことになります。
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作品「The Guilt of Gold Teeth」の注目すべきポイント
販売責任者アナ・マリア・セリスによると、この作品は1982年3月、当時バスキアがイタリア旅行中に制作したわずか8枚の絵画のうちの1枚で、「バスキアのアーティスト人生で重要な瞬間を表している」とのこと。
当時バスキアはイタリアのギャラリーで展示を控えており、国際的な舞台にデビューを目前にしていました。
しかし彼は巨大なキャンバスを異常な速さで制作しなければならないというプレッシャーを感じ、ギャラリーやアートディーラーとの関係を断ち切ってアメリカに帰国。イタリアでの展示は中止となりました。
キャンバスに描かれているのはハイチの民間宗教・ブードゥー教の死者の精霊で、亡き魂を「あの世」へと導く「バロン・サムディ」。サムディは死と復活を受け入れる役割を担っており、生と死の両方を表していると言われています。
ハイチ人であったバスキアの父親がブードゥー教を信仰ことがインスピレーションの源にあると考えられています。
画面にはグラフィティアーティスト出身ならではの表現とも言える、バスキア作品にはお馴染みの落書きのような数字や文字なども散りばめられています。
絵の正面の隅には「Modena/Jean Michel Basquiat 1982」とサインされていますが、バスキアが作品にサインを書くのは珍しいことです。
年々高騰を続けるバスキア作品
バスキアの作品に対する需要は年々かつてないほど高まっており、世界の現代アートオークション売上高の14%を占めています。
バスキアの作品で最も高価な作品は、日本の前澤友作氏が2017年にサザビーズ・ニューヨークで1億1,000万ドル(123億円)で購入した《Untitled》(1982年)。
2番目は2021年の5月にクリスティーズ・ニューヨークで9,300万ドル(101億円)を記録した、大きな赤いキャンバスの《In This Case》(1983年)です。
どちらもアメリカ人アーティストの作品としては最高額に当たり、今後も彼の作品がコレクターの注目を集めることは間違い無いでしょう。
オークションの開催に先立ち、同作はロサンゼルス(10月14日〜17日)と香港(10月25日〜26日)で巡回展示。
その後、ニューヨークに戻り、10月30日〜11月9日に展示される予定となっています。
コレクターを魅了して止まない早逝の画家
1980年代前半のアート界に彗星のごとく現れ、白人史上主義だった当時の現代アートにその独自性で旋風を巻き起こしたバスキア。
1988年に亡くなった彼のアーティストキャリアは非常に短いものですが、死後再び作品が再評価され、今やアートマーケット界に世界的な現象を起こしています。
さらに高騰が予想されるバスキア作品から今後も目が離せません。
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