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現代アート市場全体で過去最高の売上を記録!2021年の市場動向について詳しく解説

アート市場

コロナ危機により数多くのアートオークションが中止となり、2019年には全体の売上高が前年の-34%と急激に落ち込んだ世界の現代アート市場。

しかし、そんな社会情勢と呼応するように作品形態やコレクターの嗜好も急速に変化しています。

オンラインオークションへの移行やNFTアートの盛り上がりもあり、2020〜21年の現代アート市場は過去最高の売上を記録しました。

 

今後、世界のアート市場はどのように変化していくのでしょうか。

アート市場の世界的データバンク「artprice.com」が発表したレポートを元に、2020〜21年の現代アート市場の売上高と傾向を詳しく解説します。

 

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現代アート市場全体で過去最高の売上を記録

世界アート市場のデータバンク「artprice.com」が発表したデータによると、世界の現代アート市場は2020年7月〜翌2021年6月の1年間に27億ドル(日本円で約3080億円)という過去最高のオークション売上を記録しました。

このデータは世界各地で開催された美術作品のオークションのうち、現代アート作品のみを対象にしたものです。

 

2021年上半期だけを見ても、現代アートのオークション売上が15億8,000万ドル(日本円で約1796億円)に登り、2020年通年の合計を上回っています。

アート市場全体のうち、現代アートに関する取引の割合は、20年前の2000年〜01年のデータでは全体の3%ほどでしたが、2020年〜21年には、全体の23%を占めるまでに成長しました。

また、コロナ危機により主要なオークションハウスがオンラインに移行したことで、オンライン取引による売上高は前年の3億3700万ドル(約384億円)から、6億6000万ドル(約752億円)にほぼ倍増しています。

 

アジアアート市場の盛り上がり

今年度の売上がコロナ危機以前(2019年)の記録を上回る記録となった背景には、アジアのアート市場の盛り上がりが大きな要因となっています。

地域別の売上データを見ると、アメリカ、イギリスでは2019年に比べ減少傾向にある一方で、中国は47%もの増加を記録しています。

 

2大オークションハウスとして知られるクリスティーズが2021年5月に香港で開催した「20世紀、21世紀美術」部門のアートオークションでは、約2億5667万ドル(約292億円)を売り上げ、クリスティーズ社のアジアにおける同部門の売上の過去最高額を記録しました。

 

アジアのアート市場は年々盛り上がりを見せており、香港はニューヨークに次ぐ現代アートの主要都市となっています。今や、中国はオークション売上高で米国を上回り、世界のアートマーケットの売上の40%を占めています。

 

オンラインオークションへの移行とNFTアートの盛り上がり

NFTアート

2番目の要因としてartprice.comが指摘しているのは、主要オークションハウスによるオンライン販売への移行と、NFTアートの盛り上がりです。

 

NFTとは、ブロックチェーンを用いデータに唯一無二の価値を生みだせる暗号資産のこと。

NFTをアート作品に紐付けることで、購入者はブロックチェーン上で作品の所有者と真正性を証明するだけでなく、

 

・アーティストのデジタル署名
・制作時期
・エディション
・過去の販売記録(誰がいつ取引を行ったか)

 

など、詳細なファイルを受け取ることができます。

現在、NFTの主要通貨イーサリアムは急上昇中で、アート投資に意欲的な若きミリオネアたちも増加しています。

 

今年度はNFTアート以外にも、写真やプリントなどのデジタル分野に適した作品が多く取引されました。

ニューヨークのメトロポリタン美術館では、コロナによる経済危機を改善するため、2021年9月に200点以上もの写真・プリント作品をオンラインオークションに出品しました。

 

NFT、デジタル作品の取引が盛り上がる一方で、彫刻作品の売上は減少傾向にあります。

「ワクチン否定派」や「デルタ変異ウイルス」といった言葉に代表されるように、コロナ危機によって異物に直接触れることを恐れる人々の心理が反映されていると考えられます。

 

「ブラックルネッサンス」の流行

artprice.comの発表したレポートではさらに、「ブラック・ルネッサンス」についても指摘しています。

ブラックルネッサンスとは、非白人アーティストによる作品を示す言葉です。

 

2020年の夏に世界中で起こった「All Black Lives Matter」のデモを受けて、多様化の流れはアート業界においても最重要事項となりました。

アメリカの美術館に保管されているアート作品のうち、アフリカ系アメリカ人アーティストが制作したものは1.2%に過ぎず、それを見直そうという動きがここ数年で高まっています。

業界全体においても、美術館の理事会に黒人の男性や女性を加える動きがあります。

 

こうした業界全体の意識変化の影響を受け、若きアフリカ系アーティストの作品が驚異的な価格で取引され、マーケット全体の風景を変えています。

 

最も高額で売れたアーティストは?

1位 ジャン=ミシェル・バスキア

ジャン=ミシェル・バスキアは、2021年5月に9,310万ドル(約106億円)の売上を記録しました。

これはバスキア作品の落札額で過去最高額の2番目にあたります。

*1番目は2017年に前澤友作氏が落札した1億1000万ドル(約123億円)

 

 

2位 beeple(ビープル)

2位はbeeple(ビープル)という名前で知られるデジタルアーティストで、2021年3月にNFTの史上最高額6,930万ドル(約75億円)という高額で落札されました。

 

3位 陳丹青(チェン・ダンチン)

第3位は68歳の中国人アーティスト、陳丹青(チェン・ダンチン)です。

アメリカを拠点に40年以上制作している陳丹青の油絵作品「Shepherds, 1980」は、2021年6月に2,520万ドル(約28億円)で落札されました。

 

コロナ以後の現代アート市場はどうなる?

コロナ危機をきっかけに、急激に変化したアート市場。

主要オークションによる販売への移行とNFTアートの流行によって、アーティストがより即時に多くのコレクターに作品を販売できるプラットフォームが増え続けています。

今後もアート市場においてアジアが主戦場となることは間違い無いでしょう。

同時にデジタルアート・NFTの流行はどこまで加速していくのか、今後の動向が見逃せません。

 

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