パリフランスポンピドゥー美術館
ART

ポンピドゥー・センターが総額2,900億円の改修工事計画を発表、2025年から5年休館

欧州最大規模の近現代美術コレクションを保有し、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) に次いで世界第2位の規模を誇るポンピドゥー・センター(フランス、パリ)。

2023年5月10日、フランスの文化大臣リマ・アブドゥル・マラクは、ポンピドゥー・センターの、総額2億6,200万ユーロ(約2,900億円)にのぼる大規模改修工事と、2025年から5年間の長期休館を発表しました。

閉鎖期間中、同館は2025年にブリュッセル、2026年にアメリカ・ニュージャージー州にオープン予定の「サテライト美術館」の開設準備に注力するとしています。

 

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パリ・ポンピドゥー5年の休館を発表

ポンピドゥー・センターは、1977年に開設されたフランス・パリの総合文化施設です。

設計を手がけたのは建築家リチャード・ロジャースとレンゾ・ピアノ。

配管が張り巡らされたその斬新な外観のために、建設当時は「パリの美観を損ねる」といった反対意見が物議を醸しましたが、現在では世界中から観光客が訪れるパリの人気観光スポットとなっています。

 

巨大な建物の内部は、公共情報図書館、国立近代美術館、映画館、多目的ホール、会議室、アトリエ・ブランクーシ、カンディンスキー図書館、国立音響音楽研究所 (IRCAM) など様々な文化施設、ショップで構成されており、屋上のテラスからはパリの街を一望することができます。

 

国立近代美術館は、ピカソ、カンディンスキー、マティス、シャガール、レジェ、ミロ、ダリ、ウォーホル、モンドリアンなどの巨匠作品をはじめとする100,000点以上もの芸術作品を所蔵。

近現代美術のコレクションとしては欧州最大であり、ニューヨーク近代美術館 (MoMA) に次いで世界第2位の規模を誇ります。

 

2023年5月10日、フランスのアブドゥルマラク文化相は、ポンピドーセンターの改修工事計画と、2025年から5年間の長期休館を発表しました。

1970年代に建設した同館は風化や劣化が著しく、その維持管理を行うために長期閉鎖が必要だと述べています。

同館の開館50周年にあたる2027年も閉鎖期間中となるため、50周年のプロジェクトはグラン・パレおよびルーヴル美術館と提携し展示を行うと発表しています。

 

総額2億6200万ユーロ(約2900億円)の大規模改修工事

当初の改修工事計画では、同館の設立50周年となる2027年に向けて、2023年から工事の開始を予定していましたが、2024年のパリ・オリンピック開催期間中も開館できるよう、1年間の延期が決定されたとのこと。

The Art Newspaperによると、ポンピドゥー改修プロジェクトの建築コンペティションは2023年5月より開始。

審査結果の発表は2024年を予定しており、2024年秋から順次閉館、25年夏に完全閉館し、26年初頭に工事が開始される予定です。

 

改装費用の総額2億6,200万ユーロ(約2,900億円)はフランス政府が負担し、ポンピドゥーは文化事業に必要な追加資金1億6,000万ユーロの調達を進めています。

 

今回のような大規模な美術館の長期閉鎖は世界的に見ても珍しいケースで、2019年にニューヨーク近代美術館(MoMA)が費用約4億5,000万ドル(約600億円)の改修工事を行った際にも、休館期間はわずか4カ月間でした。

ポンピドゥーは過去に一度、1997〜2000年にかけて改修工事を行なっています。今回の工事では、ファサードの全面的な改修やアスベスト除去、防火対策、建物のエネルギー最適化、アクセシビリティの向上などが予定されています。

 

改修工事だけでなく、コレクションの入れ替えも実施

改修工事計画の一つとして、20世紀を代表するモダニズム彫刻家、コンスタンティン・ブランクーシのアトリエを再現したスペース「アトリエ・ブランクーシ」を、本館の中心部に移動するという計画があります。

(現在、このアトリエはポンピドゥー・センターのメインスペースとは別に、近くの独立した建物に設置されています)

 

美術館のギャラリースペースも全面改修を行うほか、バス専用だった地下駐車場を統合し、巨大な地下公共広場としてスペースを拡張。同エリア内には、展示スペースと兼用できる映画館の設置も予定しています。

他にも、1階にある2つのギャラリースペースをレストランに改装。7階のテラスが一般に開放され、南側にパブリックアクセスエリアが設けられる予定です。

 

改修工事だけでなく、全面的なコレクションの入れ替えや、リアルとデジタルをかけあわせた「フィジタル」体験の充実を図り、図書館の改修も行われます。

同館では2025年夏の閉館までに、大規模な企画展を予定しており、2024年には、史上最大のコンスタンティン・ブランクーシ展とシュルレアリスムの100周年記念展。2025年には、1950年〜1990年のパリにおけるブラックアートに関する企画展を開催予定です。

 

ブリュッセル、ニュージャージーにサテライト美術館を開設

同館は2025年にブリュッセル、2026年にアメリカ・ニュージャージー州でサテライト美術館の開設を予定しており、パリ・ポンピドゥーの閉鎖期間中、分館の開設準備に注力するとのことです。

ニュージャージー州のジャージー・ジャーナル紙によると、当初は2024年を予定していたサテライト美術館のオープンは、パンデミックの影響により2026年に延期されたとのこと。

同館は他にもソウル(韓国)とアルーラ(サウジアラビア)にサテライト美術館の開設を計画しており、現在、ブラジルのパラナ州でも交渉が行われています。

 

世界でも類を見ない規模の美術館改修工事計画。

2030年にはどんな空間に生まれ変わり、コレクションのラインナップがどう変化していくのか、新しいパリ・ポンピドゥーの姿に期待が高まります。

まだ訪れたことのない方は、休館前にぜひ一度足を運んでみてください。

 

 

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