ゴッホ印象派絵画西洋美術
CULTURE

映画「ゴッホ ~最期の手紙~」6万枚の油絵で描かれたアニメーション制作の裏側

 

DATA


  原題  『Loving Vincent』
  監督  ドロタ・コビエラ
      ヒュー・ウェルチマン
  制作   2017,イギリス・ポーランド合作
 日本公開 2017年11月3日
 上映時間 96分

 

 

 

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あらすじ

 

物語の最初の舞台は、ゴッホの「耳切り事件」で有名なアルル。
郵便配達員の父・ジョゼフが、息子のアルマンへ1通の手紙を託すところから始まります。

その手紙は彼の友人であり、1年前に自殺した画家・フィンセント・ファン・ゴッホのものでした。

 

ゴッホが弟・テオに宛てて書き、出し忘れていたものだとジョセフは言います。

友人であるゴッホの手紙を「パリに住んでいるテオにどうか届けてほしい」と頼まれたアルマン。

ゴッホに対して良い印象を持っていないアルマンでしたが、父の友人への思いにほだされ、彼はテオに手紙を届けるためにパリへと向かいます。

 

パリについたアルマンは、ゴッホと交流のあった画材商のタンギー爺さんを訪ねました。

すると、テオはゴッホの死から半年後、彼の後を追うように亡くなったという衝撃の事実を聞かされます。

タンギー爺さんが語るゴッホの人物像は、アルルで「耳切り事件」を起こし、精神病院へと送られることとなった”狂気の画家”ゴッホの印象とは全く異なるものでした。

 

ゴッホは本当に自殺だったのか…?

ゴッホの実像に近づいていくほど、その死に疑問を抱いていくアルマン。

彼は、すでに受取人のいない、ゴッホの最期の手紙を受け取るべき人を探すため、ゴッホが最後の日々を過ごしたオーヴェールへと向かいました。

 

アルマンはオーヴェルに着くと、
ゴッホの主治医だった、精神科医・ガシェ

 

ガシェの家政婦、ルイーズ。

 

ガシェの娘、マルグリットらと出会い、ゴッホについて尋ねます。

 

しかし、彼らが語るゴッホの話はすれ違うばかり。

アルマンが最後にたどり着いた真実とは?
ゴッホの死の真実は、果たして何だったのか?

 

映画を見る前に知っておきたいこと

 

ゴッホってどんな人?

 

ゴッホは牧師の父のもと、男3人女4人兄弟の長男としてオランダで生まれました。
28歳のとき画家としての活動本格的に始め、画家として過ごしたのはたった10年間という短い期間でした。

ゴッホがその間に残した作品は800枚以上にも上りますが、生きている間に売れたのはたったの1枚だけだったと言われています。

ゴッホは初めから画家を目指していたわけではなく、16歳で叔父の経営する美術商に勤め、その後、父と同じ牧師を目指し伝道師となりましたが、どちらの仕事も解雇されてしまいます。

そして弟・テオの勧めで、ゴッホは本格的に芸術家の道を目指します。

テオの献身的な支援受けながら活動を続けるゴッホは、南フランスのアルルで画家仲間の1人、ゴーギャンと共同生活をはじめます。

 

しかし、方向性の違いや競争心から、ゴーギャンと頻繁に口論を繰り返すようになり、精神を病んだゴッホはついにある晩、自分の耳を切り落とします。これがゴッホの有名な「耳切り事件」です。

翌朝、ゴーギャンはアルルを去り、ゴッホは精神病院に収容されることになりました。

精神・健康状態ともに安定しなかったゴッホは、入退院を繰り返し、発作に苦しみながらも、最期まで絵を描き続け、37歳という若さで自らの命を絶ったと言われています。

 

本作で描かれるゴッホの優しい一面

 

ゴッホは、その激しすぎる感情の起伏ばかりが注目され、“狂気の天才”と呼ばれていますが、彼は孤独がゆえに、あらゆる事物を愛する人でした。

また、牧師を目指していたこともあり、貧しい生活を余儀なくされている人たちに寄り添いたいという優しい気持ちを持っていました。

本作では、今までフォーカスされることの少なかった、ゴッホの本質である優しい愛情が描かれています。

 

全て油絵!?まるで絵画の中にいるような映像体験

 

『ゴッホ ~最期の手紙~』は、全編が動く油絵で構成された世界初のアニメーション映画です。

映画の制作にあたりその手法を選んだのは、ゴッホが手紙に記した、
我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ
という言葉がきっかけでした。

「ゴッホの絵に語らせるべきではないか?」という思いから、前編油絵のアニメーションが生まれたのです。

 

ゴッホの絵に彼自身を語らせるため、世界中から選ばれた総勢125名ものアーティストたちが、彼の独特なタッチを油絵で再現し、CGアニメーションによって命が吹き込まれました。

1秒間に12枚もの油絵が制作され、描かれた油絵は全部で6,2450枚にも上ります。

 

撮影された映像は特別なシステムでキャンバスに取り込まれ、画家たちの手によって1コマずつ、ゴッホタッチの油絵へと変換されました。

映像→油絵→CGアニメーションと、気の遠くなるような工程を踏む、前人未踏の製作方法によって本作は完成しました。

 

豪華キャスト陣によるゴッホの世界観

 

もう一つ、映画を見る上で注目したいのは、その豪華なキャスティングです。

 

アルマン役にはイギリスの若手実力派、ダグラス・ブース(代表作『ノア 約束の舟』)。

 

ゴッホと親しかった医師の娘・マルグリット・ガシェ役には、シアーシャ・ローナン(代表作『つぐない』『ブルックリン』『グランド・ブタペスト・ホテル』)。

 

ガシェ医師の家で働く家政婦のルイーズ・シュヴァリエ役には、ヘレン・マックロリー(代表作『ハリー・ポッターと死の秘宝』)といった豪華キャストが集結しています。

 

その他にも、ゴッホの絵と似た風貌・雰囲気を兼ね備えた役者たちが、繊細な演技を披露しました。

どの人物も、ゴッホの絵に描かれた本物の人物とそっくりな配役となっており、彼らの演技が画面上で一つの絵として現れるその風景はまさに圧巻です。

 

また、日本語吹き替え版では実力派俳優の山田孝之が主人公・アルマンの声を担当。
アルマンの父である郵便配達人ジョゼフにはイッセー尾形が声を当てました。

また、ゴッホの油絵を再現するために各国から選ばれた画家の中には、日本から画家・古賀陽子が参加しています。

 

 

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