ウクライナ
ART

マリア・プリマチェンコとは?ピカソ、シャガールが絶賛したウクライナ人アーティストについて詳しく解説

ウクライナ アーティスト

A Dove Has Spread Her Wings and Asks for Peace, 1982

ウクライナ人女性アーティスト、マリア・プリマチェンコ(1909-1997)。

彼女が描く色鮮やかで幻想的な絵画作品は、ピカソやシャガールといった巨匠たちにも大きな影響を与えました。

プーチン政権によるウクライナ侵攻をきっかけに、彼女の作品はアート業界全体で再評価され、反戦を訴える平和的なシンボルとなっています。

今回はマリア・プリマチェンコの生涯と、彼女の作品が放つ強いメッセージ性について詳しくご紹介します。

 

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ピカソ、シャガールにも影響を与えたウクライナ人女性アーティスト

ウクライナ アーティスト 

Ukrainian Wedding, 1966

1937年、パリ万国博覧会でマリア・プリマチェンコ(Maria Prymachenko)の作品を見たパブロ・ピカソは、彼女の作品を絶賛しました。

 

この素晴らしいウクライナ人の芸術的奇跡の前に私はひれ伏す
─パブロ・ピカソ

 

マルク・シャガールもまた、自身が描く幻想的な生物たちを次のように呼んでいました。

 

マリア・プリマチェンコの奇妙な獣のいとこたち
─マルク・シャガール

 

貧しい家庭に生まれ、独学で絵画を学んだマリア・プリマチェンコ(1909-1997)。

彼女はウクライナで最も愛されているアーティストであり、ウクライナの切手や硬貨にも彼女の作品が描かれています。

 

ウクライナ アーティスト 

Image of a 2020 Ukrainian postage stamp featuring artwork by Maria Prymachenko.

 

ロシア軍の攻撃により作品25点が焼失

2022年2月28日付のキエフ・インディペンデント紙は、首都キエフの北西に位置するイヴァンキフ歴史・地方史博物館がロシア軍の攻撃により破壊され、同館に所蔵されていたマリア・プリマチェンコの作品25点が焼失したと報道しました。

 

彼女の曾孫、アナスタシア・プリマチェンコが運営するマリア・プリマチェンコ・ファミリー財団によると、地元の人々の助けにより作品の一部は攻撃から救い出すことができたそうです。

この事件をきっかけに、アート業界ではマリア・プリマチェンコの作品に対する再評価の動きが始まりました。

 

寝たきりの幼少期、刺繍から絵画表現へ

チェルノブイリ近郊の農家に生まれたマリア・プリマチェンコ。

彼女は幼少期に小児麻痺を患い寝たきりの生活を強いられますが、その後の手術により自立歩行できるまでに回復しています。

 

寝たきりの生活を強いられていた頃、マリアは母親からウクライナの伝統文化である刺繍を教わりました。

1930年代にはイヴァンキフ協同刺繍協会に所属し、ウクライナの伝統的なデザインに独自の想像力を加えた作品で高い評価を得ています。

その後、彼女の表現媒体は刺繍から絵画へと移行していきます。

 

少女時代、私は家でガチョウの群れの世話をしていました。

作業を終えて自宅に戻ると、自宅の壁に天然顔料で絵を描くことにしたんです。

それ以来、描くことはやめられません。

 

ウクライナの伝統文化、平和へのメッセージ

ウクライナ アーティスト

Taras Hryhorovych Shevchenko Arrives From His Exile to Flowering Ukraine, 1968

マリアの絵画は一見すると空想的なモチーフを描いているように見えますが、刺繍作品と同じように、ウクライナの歴史、伝統的なモチーフや装飾が積極的に取り入れられています。

詩人、作家、民俗学者、民族主義者として知られるタラス・シェフチェンコ(Taras Shevchenko)が、ウクライナ独立のため追放先から戻って来る様子を描いた作品「Taras Hryhorovych Shevchenko Arrives From His Exile to Flowering Ukraine」(1968)などが有名です。

 

ウクライナ アーティスト 

Our Army, Our Protectors, 1978

その10年後に発表された作品「Our Army Our Protectors」(1978年)では、ウクライナの兵士たちがウクライナの伝統的な衣装に身を包み、花畑に立つ普通の男女の姿で描かれています。

 

戦後のトラウマで活動を休止、20年ぶりに制作を再開

ウクライナ アーティスト

Corncob Horse in Outer Space, 1978

第二次世界大戦はマリア・プリマチェンコの人生に深刻な影響を与えました。

1941年に恋人のヴァシル・マリンチュクと出会って間もなく、彼女は息子のフェドルを出産しますが、若い家族は戦争によって引き裂かれてしまいます。

マリンチュクは兵士として第二次世界大戦の最前線で命を落とし、マリアの弟も同じくナチスに撃たれて亡くなりました。

 

戦争のトラウマにより彼女は20年ほど芸術活動を休止しますが、1960年代に入ると水彩画を中心に絵画制作を再開。

民族的な画風や色使いはそのままで、夢や空想を題材にした作品を次々と発表しました。

 

ウクライナ アーティスト

Four Drunkards Riding a Bird, 1976

ウクライナ アーティスト

May That Nuclear War Be Cursed!, 1978

 

タラス・シェフチェンコ賞を受賞、ウクライナを代表するアーティストに

時代が変化しても、彼女は一貫して工場で製造されたブラシを使い、水彩絵具で画用紙に書き続けました。

1966年、マリアはウクライナの最高栄誉であるタラス・シェフチェンコ賞を受賞し、画家としての地位を確立します。

彼女は人気の芸術家でしたが、自分の作品を売ってお金に換えることはなく、友人や近所の人にプレゼントしていたそうです。

生涯で数千点の作品を制作し、キエフにある国立ウクライナ民俗装飾芸術博物館だけでも、およそ650点の作品が所蔵されています。

 

反戦を訴える平和のシンボルとして

マリアの作品は現在、ウクライナ侵攻に反対する人々の間で平和のシンボルとして世界中でシェアされています。

アメリカのアーティスト、マリア・カルメン・クネヒト(Maria Carmen Knecht)は、彼女の作品「A Dove Has Spread Her Wings and Asks for Peace」を元にミズーリ州で大きな壁画を描き話題となりました。

世界中の反戦デモでこの作品は平和の象徴として使用されています。 

 

ウクライナ アーティスト

May I Give This Ukrainian Bread to All People in This Big Wide World, 1982

同じく世界平和へのメッセージが込められた作品「この広い世界のすべての人々にこのウクライナのパンを贈ることができますように(May I Give This Ukrainian Bread to All People in This Big Wide World, 1982 )」も、SNS上で多くシェアされています。

 

色鮮やかで幻想的な作風の裏に、強いメッセージ性を含むマリア・プリマチェンコの作品。

彼女の過酷な経歴と作品からは、ウクライナ伝統文化の素晴らしさと平和への強いメッセージを感じることができます。

ぜひこの機会にマリア・プリマチェンコの作品をチェックしてみてください。

 

 

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