アメリカアンディ・ウォーホルポップアート美術館
ART

アンディ・ウォーホル美術館が約76億円をかけた「ポップ地区」プロジェクトを開始

アメリカ・ピッツバーグにあるアンディ・ウォーホル美術館は、美術館の周辺地域をアンディ・ウォーホルの遺産を生かした文化拠点にするため、6,000万ドル(約76億円)の予算を投じて地域開発プロジェクト「ポップ地区」を開始しました。

 

今後10年にわたって展開されるこの拡張計画は、6ブロックのエリアに跨り、美術館の周辺をパブリックアートやインスタレーション、ライブパフォーマンスで盛り上げる観光名所とし、ギャラリーや地元企業の誘致を目指すものです。

また、アンディ・ウォーホルの起業家精神にヒントを得て、地域経済活性化の手段とした若者育成プログラムや雇用促進も目指しています。

 

あなたの部屋に合うアートは?
「アート診断」

Q1.希望の価格帯は?

Q2.気になるジャンル・モチーフは?

国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
23件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
30件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
34件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
55件見つかりました!
診断をやり直す

アンディ・ウォーホル美術館とは?

アンディ・ウォーホルの生誕地、ペンシルベニア州ピッツバーグにある「アンディ・ウォーホル美術館」は、ウォーホルの作品とアーカイブ資料の最大のコレクションを所蔵する美術館です。

単一アーティストの美術館としては世界で最も充実しており、北米では最大規模を誇ります。

 

しかしピッツバーグ地域のアートシーンはまだ発展途上にあり、市外に影響力のあるアートディーラーもいない状態です。

最近になりようやく、コロナパンデミック以降の在宅勤務への切り替えや、東海岸での生活費の高騰により、若いアーティストやクリエイターが地元に留まることを選ぶという変化が見られるようになりました。

 

ピッツバーグに誕生する「ポップ地区」

そんな状況を打開すべく、ウォーホル美術館は地域活性化プロジェクト立ち上げました。

ピッツバーグを文化の中心地にするため、6,000万ドル(約76億円)をかけて6ブロックからなる「ポップ地区」を建設する、というものです。

 

「ポップ地区」は、ピッツバーグの既存の文化地区をさらに拡張する都市計画で、市や州、地元の地域団体の支持も得ています。

このプロジェクトへの寄付者であるヘンリー・L・ヒルマン財団の会長、デヴィッド・K・ロジャーは、「これは、美術館のあり方について全く新しい、前例がないプロジェクトです」と地元の新聞社によるインタビューで答えています。

 

今後10年間にわたり、2段階のプロジェクトとして拡張工事が構想されており、第1段階は2024年までの完成を予定しています。

美術館はこのプロジェクトのために3,000〜4,000万ドルの初期資金を確保する最終段階に入っており、リチャード・キング・メロン財団から今後3年半で1,500万ドル、ヘンリー・L・ヒルマン財団から4年で1,000万ドルの寄付を受ける予定です。

 

教育プログラムとパブリックアートプロジェクトを開始

プロジェクトの第1段として、美術館外での新しい教育プログラムとパブリックアートプロジェクトが発表されました。

最初のプロジェクトは、マイアミを拠点とする2人のアーティストによるもので、ミクストメディアアーティスト・Typoeの壁画「Over The Rainbow」と、マイケル・ラヴランド(Michael Loveland)の「Social Sculpture」が公開されました。

2022年夏には、ピッツバーグ在住のアーティスト、ローラ・ジーン・マクラフリン(Laura Jean McLaughlin)とミカエル・オウナ(Mikael Owunna)によるパブリックアートインスタレーションが展示される予定です。

 

新しいコンサートホールの建設を予定

プロジェクトの第2段では、ウォーホル美術館とピッツバーグのカーネギー美術館などの姉妹施設が、コンサートホールを備えた新しいライブパフォーマンス会場を建設。

現在駐車場となっている場所に建てられる1,000人収容可能の会場の設計には、6つの建築事務所が名を連ねています。

イベント用のレンタルスペースとして、美術館の今後の重要な収入源となることが期待されるこの施設は、2024年の着工を予定しています。

 

ピッツバーグ・カーネギー美術館の社長兼CEOであるスティーブン・ナップ(Steven Knapp)は、「ポップ地区は美術館が展開するイノベーションの中心地として、また経済発展の触媒として、地域社会に果たすことのできる役割を示すだろう」と述べています。

プロジェクトの主要出資者であるリチャード・キング・メロン財団のディレクター、サム・レイマンもまた、次のようにコメントしています。

このプロジェクトの目的は、次の世代のアンディ・ウォーホルが ”ピッツバーグを離れずにアンディ・ウォーホルになれるようにする” ことです。

今回の革新的な戦略は、ピッツバーグをアメリカの都市の新しい文化モデルを創り出す全国的なリーダーにし、若いクリエイティブな才能を引き付ける磁石となるでしょう。

 

このプロジェクトが成功すれば、ポップ地区周辺は新しい文化観光都市に生まれ変わり、大きな経済発展をもたらすでしょう。

ウォーホル美術館はポップ地区の完成後、この地域周辺に年間1億ドルの経済活動と5〜7万人の新規訪問者を見込んでいます。

 

若者向けの人材育成プログラムも

このプロジェクトは、アンディ・ウォーホルの「ファクトリー」の精神を受け継ぎ、若者の雇用機会を創出することも目的としており、ウォーホル美術館は、若者向けの人材育成プログラム「ウォーホル・クリエイティブ」の拡大計画を発表しています。

 

ファクトリー

ウォーホル本人が作品を制作するだけでなく、美術家、ミュージシャン、俳優、トランスジェンダーなどのニューヨーク中のクリエイティブな人々が集まるサロンとなり、様々なコラボレーションを行った当時の最先端アートの発信地とし機能した場所。

ウォーホルはここでアート・ワーカー(芸術労働者の意味)を雇い、シルクスクリーンプリントや映画などの作品を制作。

村上隆はこのアート・ワーカー体制に影響を受け、現在の「カイカイキキ」を設立し、実際に運営している。

 

人材育成プログラムの参加者は、ソーシャルメディアコンテンツやその他のクリエイティブなプロジェクトに取り組むことで、デジタル経済に対応するスキルを学ぶことができます。

また、同館は主にBIPOC(Black, Indigenous, and people of color=黒人、先住民、有色人種)、LGBTQ、移民の労働者と協働することを目指し、長期的な目標として、クリエイティブ人材に年間100万ドルの収入を創出することを掲げています。

 

「ポップ地区」計画の発足に伴い、プロジェクトチームは美術館に隣接する空きオフィスビルに拠点を構え、精力的な活動と情報発信を続けています。

21世紀のウォーホルファクトリーをイメージして、数十人の若者が既に美術館のインスタグラムやTikTokコンテンツを制作しているほか、Dellなど外部企業との協働プロジェクトも開始し、プロジェクトの重要な資金源となっています。

アンディ・ウォーホル美術館のパトリック・ムーア館長は、

ウォーホル本人は、アメリカの起業家精神を象徴する存在であり続け、真の影響力を持ち、変革の担い手でした。

私たちは今、ピッツバーグの変革の担い手として、若者のための機会や経験に焦点を当てることによって地域経済を活性化し、維持しようとしています。

全米のクリエイティブ・コミュニティをどのように活性化できるかの見本として、それに続く計画と資源は兼ね揃えているのです。

とコメントしています。

アメリカンポップアートの第一人者であるアンディ・ウォーホール。

偉大なアーティストを生んだ街がどのような発展を遂げ、どんなアーティストを輩出していくのか、今後の活動に目が離せません。

 

 

関連記事

六本木アートナイト2023、テーマは「都市のいきもの図鑑」鴻池朋子、栗林隆+Cinema Caravanが参加

六本木の街を舞台に毎年開催されているアートの饗宴「六本木アートナイト」。 2023年、12回目の開催となる六本木アートナイトは、5月27日(土)~28日(日)の2日間の開催が決定しました。 メインプログラム・アーティストには、国

「Multaka」(ムルタカ)とは?美術館ガイドとして活躍する難民、ドイツの難民支援について詳しく解説

難民や亡命者に美術館・博物館のツアーガイドとしての職業訓練を行うプロジェクト「Multaka」(ムルタカ)。 このプロジェクトは、美術館や博物館の来館者を案内することで難民たちのスキルを高め、イスラム文化への理解を深めることを目的

「ヴェネチア・ビエンナーレ2024」日本館代表作家に毛利悠子が選出、キュレーターはイ・スッキョン

2024年4月に開催が予定されている「第60回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展」。 2023年6月12日、国際交流基金は日本館展示に関する記者発表会を行い、日本館の出品作家に美術家の毛利悠子、キュレーターにイ・スッキョン

「アートウィーク東京2023」11/2〜開催、保坂健二郎がキュレーションする「AWT FOCUS」など新企画も

2021年から東京を舞台に開催されているアートイベント「アートウィーク東京(AWT)」が、2023年度の参加者ラインナップ、プログラムを発表しました。 今年は都内の11の施設と39のギャラリーが参加を予定しており、東京のアートシー

2022年10月のおすすめ展覧会!川内倫子、マン・レイ、ロートレックとミュシャなど

thisismedia編集部が、2022年10月に開催する9つのおすすめ展覧会をお届け。 写真家・川内倫子の新作展や、オブジェに注目したマン・レイの作品展、フェリックス・ヴァロットンの木版画展、ロートレックとミュシャの石版画ポスター展

TOP