「リュイユ─フィンランドのテキスタイル」展が京都国立近代美術館で開催、1/28から
フィンランドの伝統的な織物「リュイユ(Ryijy)」の歴史を紹介する日本初の展覧会「リュイユ─フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」展が、2023年1月末から京都国立近代美術館で開催されます。
リュイユの豊富なコレクションで有名なトゥオマス・ソパネン・コレクションから、主に1950年代以降の厳選された作品約40点が来日し、リュイユの歴史と魅力に迫る本展。
会期は 2023年1月28日〜4月16日 です。
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フィンランドの伝統織物「リュイユ(Ryijy)」
フィンランドには、リュイユ(Ryijy)という伝統的な織物があります。
毛足の長いウールの織物で、フィンランドでは古くからアートテキスタイルとして、タペストリーや敷物として親しまれているもの。
「フィンランドのアイデンティティが表れた織物」とも呼ばれるリュイユは、16世紀頃から主に寝具として用いられてきました。
魅力的で複雑な色彩表現
ウフラ = ベアタ ・ シンベリ = アールストロム 《採れたての作物》 1972 年 トゥオマス ・ ソパネン ・ コレクション Photo: Katja Hagelstam
リュイユの魅力の一つは、1本1本の糸で点描のように構成された複雑な色彩表現。
微妙に異なる色の糸が点描のように複雑に組み合わされ、複雑な色のコントラストが表現されています。
1937年から活躍したフィンランドのテキスタイルアーティスト、ウフラ=ベアタ・シンベリ=アールストロム(1914–1979)は、幾何学模様の作品を得意とした、リュイユの代表的なデザイナーの一人です。
レーナ = カイサ ・ ハルメ 《青い夜》 2006 年 トゥオマス ・ ソパネン ・ コレクション Photo: Katja Hagelstam
近年では、レーナ=カイサ・ハルメの作品に代表されるように、ウールに加えリネンやヴィスコースなどの異なる質感の素材を使用し、より複雑な色彩が表現されています。
1900年、パリ万博で「フィンランド・デザイン」の一つとして注目される
アクセリ ・ ガッレン = カッレラ 《炎》 1899 年 (デザイン) / 1983 年 (再制作) トゥオマス ・ ソパネン ・ コレクション Photo: Katja Hagelstam
リュイユの歴史において大きな転換点となったのは、1900年のパリ万博です。
画家のアクセリ・ガッレン=カッレラがフィンランド館のためにデザインした「炎」は、曲線的で左右非対称のモチーフを大きく配し、ベンチ用ラグとして制作されたもの。
同万博でフィンランドは初めて単独でパヴィリオンを出展しており、1917年に実現するロシアからの独立を視野に入れた新しいデザインはナショナル・ロマンティシズムの一翼を担いました。
1950年代には、ミラノ・トリエンナーレで受賞を重ねるなど、リュイユはガラスや陶芸と同様に「フィンランド・デザイン」として国際的な評価を高めていきました。
リュイユの製法を守り続けた人々
画家の作成したデザイン画をもとに織物制作を担ったのは、伝統工芸の保存と活用を目的として1879年に設立された「フィンランド手工芸友の会」でした。
リュイユが国際的に高い評価を得ると、生産量を増やす為にデザイナーたちは製作工程を簡略化し、半機械製品のリュイユもデザインしています。
しかし、同会は伝統的な技術や模様を守り、デザイン画をもとに一つ一つ丁寧に織物に仕上げ、現在も新しい織物の製作に挑戦し続けています。
リュイユの伝統を守るため、同会はデザイナーと優秀な織り手との豊かな関係を築いたほか、家庭用の制作キットを販売し、手工芸ならではの「自分で作る喜び」を広める活動も行っています。
現在は、作家が自ら制作を手掛けた作品も多く、造形や素材はより多様化し、表現の幅が広がっています。
リュイユに焦点を当てた日本初の展覧会
エヴァ ・ ブルンメル 《聖霊降臨祭のたきび》 1956 年 トゥオマス ・ ソパネン ・ コレクション Photo: Katja Hagelstam
これまで日本では、リュイユに焦点を当てた展覧会は開催されておらず、本展が史上初の試みとなります。
フィンランド国立博物館に次いで、世界で2番目のリュイユ所蔵数を誇るトゥオマス・ソパネン・コレクション。
本展ではトゥオマス・ソパネン・コレクションから、国際的な評価が高まるきっかけとなった1950年代以降の作品を中心に、繊細な色彩や異なる素材を組み合わせたテキスタイル作品が一堂に集結。
リュイユが「フィンランド・デザイン」として国際的に高い評価を得た時期に活躍したデザイナーたちの代表作が並びます。
近代以降のテキスタイル・アートの変遷を凝縮した物語とも称されるリュイユの歴史。
全て手織りで1点ずつ丁寧に制作されたリュイユを通して、フィンランドの伝統工芸と暮らしに迫る本展。
リュイユが持つ色彩表現の魅力を間近で感じ取れるまたとない機会、デザインやテキスタイルに関心のある方はお見逃しなく。
「リュイユ―フィンランドのテキスタイル:トゥオマス・ソパネン・コレクション」展
会期:2023年1月28日(土)~4月16日(日)
会場:京都国立近代美術館
開館時間:10:00-18:00※入場は閉館の30分前まで
金曜日は午後8時まで開館(2月3日、2月10日、4月14日を除く)休館日:月曜日
観覧料:
一般 430円 大学生 130円 高校生以下、18歳未満および65歳以上の方 無料
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