2018/09/13

写実主義絵画美術史西洋美術   
   アート    

写実主義とは?西洋美術史入門

写実主義とは?

写実主義とは、19世紀中頃フランスを中心に文学や美術の分野で盛んになった芸術様式を指します。

それまでの古典・ロマン主義への反動として、「“リアル”つまり“現実”を、あるがままに再現しよう」という画家たちによって広がっていきました。

当時の美術界は神話や歴史、宗教を題材とするのが一般的で、情緒過剰・現実逃避的な、理想を追い求めるロマン主義が主流でした。

それに対し、ありのままを描き現実的な日常の絵を、客観的に描こうと主張したのが写実主義です。

この時代、産業革命の波がイギリスからヨーロッパに及び、労働者の増大と都市への人口集中により、パリは急速に大都市へと変貌しました。

それに伴い交通網の整備や、新聞・雑誌などの登場で「文化の大衆化」が起こり、美術の世界では絵画の鑑賞者が、限られた権力者から一般市民にまで広がっていったのです。

活躍した画家

オノレ・ドーミエ
ジャン=フランソワ・ミレー
ギュスターヴ・クールベ

 

 

写実主義の傑作

 

「落穂拾い 」

ジャン=フランソワ・ミレー

日本では、車のCMに起用されたことで一躍有名になったミレーの「落穂拾い」。

光と影の見事なバランスによって描かれた背景と、目の前に実在するかのように浮かび上がる人物のリアリティが素晴らしい、ミレーを代表する作品です。

落穂拾いとは、収穫後の田畑に落ちている稲穂などの糧をひとつひとつ拾う作業のことで、ミレーは今まで注目されることのなかった労働や農民といった日常を題材に描きました。

また、この絵は単に農民の姿を描いただけでなく、旧約聖書の「ルツ記」に基づいた作品だとも言われています。

旧約聖書の一説に、「収穫の際、集めきれなかった落穂はそのまま残しておくこと」と、という教えがあり、貧しい人や、未亡人、異国の人が食べ物にありつけるよう、田畑の持ち主は落穂をすべて収穫することを戒められていました。

つまりこの絵に描かれている3人は、他人の田畑で落穂を拾わせてもらっている貧しい人々、ということになります。

 

● 制作年
1857年

● 所蔵
オルセー美術館所(フランス・パリ)

 

「オルナンの埋葬 」

ギュスターヴ・クールベ

写実主義において、クールベは非常に有名な画家です。

「オルナンの埋葬」は彼の代表作の一つで、山奥の田舎町での葬儀の様子が描かれています。

クールベはこの絵を「オルナンの埋葬に関する歴史画」と名付けましたが、当時の「歴史画」とは、英雄や殉教者を理想化された姿で描く、格調高い絵画のことを指しました。

そのため、名もない人のために集まった葬儀の様子をありのままに描き、まるで歴史上の重要な出来事であるかのように描いたこの絵は、歴史画のイメージを覆す作品となりました。

この絵の発表当時は散々な批評を受けたクールベでしたが、「私は天使を見たことがないから描くことができない」という言葉を残し、写実主義を追求しました。

 

● 制作年
1849年制作

● 所蔵
オルセー美術館所(フランス・パリ)

 

「画家のアトリエ 」

ギュスターヴ・クールベ

「オルナンの埋葬」に並ぶ、クールベのもう一つの代表作が「画家のアトリエ」です。「オルナンの埋葬」同様、縦約3メートル×横約6メートルの大作です。

この絵には、「私のアトリエの内部、わが7年間の芸術的な生涯を要約する現実的寓意」という、長い副題が付けられており、描かれている全員がなんらかの寓意を表しているとされています。

クールベ自身である画家を中心に、右側には親しい友人やパトロン、未来への希望を象徴するような若い恋人たちが。

反対に画家が目を向けている左側には、死体や髑髏、貧しい女性が描かれ、クールベの周りにある社会を表現しています。

 

● 制作年
1854-55年

● 所蔵
オルセー美術館所蔵(フランス・パリ)

 

おすすめ関連書籍

 

『もっと知りたいミレー―生涯と作品』

 

初期から晩年までのミレーの作品が、オールカラーのビジュアル資料をもとに、時系列に沿って紹介されています。

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● 読者の感想

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”しっかりとした解説と構成からなる本書でありますが、
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19世紀のフランスでは「醜い」と非難を受け、一方のアメリカや日本では絶賛を博したミレー。

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クールベの生涯と制作活動を、19世紀のフランス社会という時代背景に照らしあわせて読み解く一冊。

クールベの美術界への革新的な挑戦と、彼の人生についてまとめられています。

画集というよりも、クールベという人間について知ることのできる本です。

「レアリスト」と非難されながらも、絵画における新しい自由の表現を追求したクールベに迫ります。

 

価格¥4,536 岩波書店 

 

● 読者の感想

”作品だけでなく、クールベの考え方や時代背景について詳しく書かれており、入門書として最適な本でした。
300ページ以上に及ぶ本なので、かなりの読み応えがありました。クールベについて知るには良書だと思います。”

”画集ではありませんが、図版も多く盛り込んであります。この1冊は
かなり読み応えがあり、またクールベを知る非常に重要な本だと思います。”

 

● 知っておきたい!西洋美術史の基本知識

 

● 1分でわかる!西洋美術の基礎知識【ジャンル別】

 初期ルネサンス美術
 北方ルネサンス美術
 盛期ルネサンス美術
 バロック美術
 ロココ美術
 新古典主義
 ロマン主義
▶︎写実主義
 印象派
 後期(ポスト)印象派
 象徴主義
 表現主義
 シュルレアリスム
 キュビズム
 抽象表現主義

 

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