クラシック音楽
CULTURE

モーツァルトとは?天才作曲家の生涯と死因 名曲15選について詳しく解説

音楽家のモーツァルトを知らない人は、おそらくいないことでしょう。

モーツァルトは西洋音楽史上においても稀にみる天才作曲家として知られており、生涯に多くの名曲を残しました。

この記事では、彼の生涯を振り返りながら、誰もが聞いたことのあるモーツァルトの代表曲を紹介していきます。

 

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モーツァルトとは

ベートーベンやハイドンと並ぶ古典派音楽を代表する作曲家

モーツァルト(本名:ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト)は、18世紀に活躍した作曲家です。

ベートーベンやハイドンと並ぶ古典派音楽を代表する大家の一人です。

35年間という短い生涯の間に合計626もの曲を作り、彼の残した名曲は当時大絶賛されただけでなく、今もなお後世に渡って広く人々から愛されています。

まさに、西洋音楽を語る上で欠かせない人物といえるでしょう。

 

ほぼオールジャンルで作曲を手掛ける

モーツァルトの手がけた数々の曲は、当時存在していた音楽ジャンルのほぼすべてに渡っていました。

ピアノやヴァイオリンのソロから、室内楽、小編成のオーケストラ、大編成のオーケストラに、オペラまで手掛けており、そのどれもが名曲であると言われています。

モーツァルトほど数多くの曲と多様なジャンルを手掛けた作曲家は他に例がなく、まさに奇跡の音楽家といわれているほどです。

 

後世への影響も大きい

モーツァルトの死後も、彼の曲は人気が衰えるどころかその評価は高まるばかりで、後輩のベートーベンをはじめとして、シューベルト、ショパン、シューマン、チャイコフスキー、ドビュッシーなどの後のクラシック音楽の巨匠たちにも大きな影響を与えました。

その影響は音楽のみに留まらず、文学者のゲーテや、キルケゴール、ショーペンハウアー、ヘーゲルなどの哲学者、ルノワールやクレーなどの美術家などからも高く評価されており、様々な分野に及びました。

このように、モーツァルトは西洋文化全体の発展を語るうえで欠かせない人物であるといえます。

現在に至っても、多くの音楽家がモーツァルトの曲を演奏し、彼の作ったオペラが世界中で上演されています。

また、彼を題材にした映画「アマデウス」は1984年のアカデミー賞で8部門を受賞し、ウィーンではミュージカル「モーツァルト」が大ヒットするなど、現在のエンターテイメントにも大きな影響を及ぼしています。

 

モーツァルトの生涯

幼少期から音楽教育を受け才能を開花

モーツァルトは幼少期からその才能を遺憾なく発揮しており、周りからは「神童」と呼ばれていたことで知られています。

音楽家であった父レオポルドにより、幼いころから音楽の英才教育を施され、3歳のころにはチェンバロを弾き、5歳のときにはすでに作曲を始めていたことがわかっています。

また、幼いころからヨーロッパ各地で演奏を披露しており、神童としての名声を早くから手に入れていました。

 

音楽家の父とともにウィーンやパリ、ロンドンなどに音楽旅行へ

モーツァルトは13歳くらい頃から、父レオポルドと共にウィーンやパリ、ロンドンなどのヨーロッパ各地へ音楽旅行へ行くようになります。

この旅行中にモーツァルトは、各国の様々な音楽に触れ、吸収していきました。

また、後の曲の大きな特徴となる対位法やポリフォニーの技術についてもこの期間に学んだと言われています。

モーツァルトは35年間というその短い生涯の内、10年間も旅行によって過ごしたことが知られており、滞在中に演奏を行うことで世界的な知名度を獲得していったと言われています。

 

宮廷音楽家などを歴任するも生活が困窮

1781年、25歳のころにモーツァルトはウィーンへ移り住み、宮廷音楽家として、作曲、演奏、レッスンを行い生計を立てるようになりました。

音楽家として大きな名声を得たモーツァルトでしたが、彼自身に浪費癖があったことと高給な仕事に恵まれなかったことが原因で生活が困窮し、知人から借金を繰り返すようになります。

 

病に侵された晩年と死因

晩年のモーツァルトは、音楽家として活躍しながらも生活を満たせるだけの収入が得られずに苦しい状況が続いたと言われています。

さらに晩年には度々病に臥せるようになり、薬も服用していました。

そして1791年、ウィーンで生涯を終えます。

死因はウィーン市の公式記録では「急性粟粒疹熱」とされていますが、全身の浮腫と高熱という症状の記録があることから、 実際の死因は「リューマチ性炎症熱」であったと考えられています。

享年35歳という当時としても短すぎた生涯でしたが、その間に数多くの名曲を生み出した功績は他の作曲家を凌ぐものでした。

 

 モーツァルトの代表楽曲15選

オーボエ協奏曲 ハ長調 K. 314(K6. 285d) (1778) 

1778年に作曲されたこの楽曲は、オーボエと管楽器による協奏曲です。

オーボエ協奏曲としてはとても有名で、オーボエ奏者のプロオーケストラの入団試験に必ずと言っていいほど出されるほどです。

全体を通して音域が高く、非常に高い技巧が求められる難曲として知られています。

 

フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K. 299 (1778)

1778年に作曲されたこの楽曲は、フルートとハープの協奏曲です。

フルートとハープという音色が全く異なる楽器の組み合わせは当時としては前例がありませんでしたが、この曲がきっかけとなりその組み合わせの美しさが知られるようになりました。

この曲以降では、この組み合わせによる楽曲が多く書かれるようになり、音楽史としても重要な曲であるといえます。

 

ピアノ・ソナタ 第11番 イ長調 K.331/K.300I(1783)

モーツァルトのピアノ・ソナタ第11番は第3楽章の「トルコ行進曲」がとても有名で、「トルコ行進曲付き」と呼ばれることも多くあります。

第3楽章は当時流行していたトルコ趣味を取り入れたものであり、クラシック音楽界のみならず、多くの映画やドラマ、テレビ番組などで使用されることも多く、この楽曲を知らない人はいないと言っても過言ではありません。

 

交響曲 第36番 ハ長調 K.425「リンツ」(1783)

1783年に作られたこの楽曲は、リンツ滞在中に行った演奏会のために僅か4日間で作曲されたと言われています。

モーツァルトの天才的な作曲能力を示す例として取り上げられることもあり、「リンツ」の愛称で知られています。

短期間で作られたにも関わらず楽曲の完成度は非常に高く、ウィーン古典派音楽の傑作として現在も知られています。

 

ピアノソナタ第14番 ハ短調 K. 457 (1784) 

モーツァルトのピアノソナタ第14番は、彼のピアノソナタの中でもかなり激しく劇的な展開の曲として知られています。

モーツァルトが作曲した短調のピアノソナタはこの曲の他にわずか一曲だけしかなく、彼の作品の中でも貴重な曲です。

この劇的な展開が繰り広げられるピアノソナタは、後のベートーベンにも大きな影響を与えたと言われています。

 

ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K. 466 (1785)

1785年に作られたこの曲は、モーツァルトが初めて手がけた短調の協奏曲として知られています。

華やかな雰囲気が一般的であった当時の協奏曲とは異なり、不安や激情といった強い感情が表れている曲です。

この作品以降から、モーツァルトらしさを持つ曲が作られるようになったとも言われており、彼の作品の中でも大きなきっかけとなるような曲だったようです。

 

歌劇「フィガロの結婚」 K. 492 (1785-86)

この楽曲は、フランスの劇作家ボーマルシェが書いた戯曲を元に、1786年にモーツァルトが作曲したオペラ作品です。

モーツァルトが30歳のときにウィーンの劇場で初めて披露されましたが、期待していたほどの人気は得られなかったといいます。

しかし、その後ボヘミアの首都プラハで大きな人気を博し、特に序曲は現在でも彼の代表的な曲として親しまれています。

 

ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488(1786)

モーツァルトのピアノ協奏曲第23番は、古典派ピアノ協奏曲のなかでも最高峰に位置づけられる名高い作品です。

この楽曲は、1786年に開催されたモーツァルトの予約音楽会のために作られた作品であり、ハイドンの技法を承継した上で、非常に高い完成度へ昇華させています。

 

セレナード第13番 ト長調 K. 525「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」(1787)

この楽曲は1787年にモーツァルトによって作曲されたセレナードであり、モーツァルト作品の中でも非常に有名な曲です。

初演についての資料は残されておらず、何がきっかけで作られた曲なのかはわかっていません。

この曲についても、聴いたことがない人はいないと言えるほど、世界的によく知られている曲です。

 

交響曲第40番 ト短調 K. 550 (1788)

この曲はモーツァルトの代表曲の中でもとりわけ有名なものの一つです。

モーツァルトの作った交響曲で短調のものは、この曲を含めた2曲のみしか存在せず、彼のキャリアにおいても貴重な曲といえます。

1788年に完成されましたが、作曲の経緯や初演などはわかっていません。

 

交響曲 第41番 ハ長調 K.551「ジュピター」(1788)

交響曲第41番 ハ長調はモーツァルトが最後に作曲した交響曲です。

ローマ神話のユーピテルにちなんでジュピターの愛称をもち、スケールの大きい壮大な曲調が印象的です。

同年に作られた第39番、第40番とともに「三大交響曲」として知られています。

 

クラリネット五重奏曲 イ長調 K.581(1789)

この曲は、クラリネット奏者のアントン・シュタードラ-のために作られた作品といわれており、クラリネットと弦楽四重奏からなる室内楽曲です。

当時はクラリネットがまだ新しい存在でありオーケストラに新しく導入され始めたばかりでしたが、モーツァルトはクラリネットの可能性を高く評価し、この曲を作ったと言われています。

 

歌劇「魔笛」K.620(1791)

歌劇「魔笛」はモーツァルトが最後に完成させたオペラであり、現在もモーツァルトのオペラ作品の中でも最も人気があります。

台本はエマヌエル・シカネーダーによるものであり、1791年に作曲されました。

同年にヴィーデン劇場で初演をむかえ、大好評を博したと言われており、晩年のモーツァルトの傑作として知られています。

 

クラリネット協奏曲 イ長調 K.622(1791) 

1791年に作られたこの曲は、クラリネットと管弦楽のための協奏曲です。

モーツァルトが残したクラリネットのための唯一の協奏曲であり、「クラリネット五重奏曲 イ長調 K. 581」と同様にクラリネット奏者のアントン・シュタードラーのために書かれたと言われています。

モーツァルトはクラリネットの音程によって変化する音色をよく理解し、その特性を巧みに利用しました。

 

レクイエム ニ短調 K.626(未完) 

レクイエム ニ短調 K.626はモーツァルトの最後の作品であり、彼の死去によって未完のまま終わった曲です。

レクイエムとは死者のためのミサ曲のことです。

未完のまま終わったため、モーツァルトの死後に彼の弟子によって補完された作品ですが、モーツァルトの代表的な作品として語られることも多い曲です。

 

モーツァルトの生涯を描いた映画

アマデウス ディレクターズカット

「アマデウス」は作曲家であるサリエリとモーツァルトの物語を描いた映画で、1984年に制作されました。

元々はブロードウェイの舞台作品が映画化されたものです。

アマデウスは完成度の高い映画として世界的に評価され、アカデミー賞8部門を受賞しています。

モーツァルトの後半生をフィクションを交えて描いた名作で、クラシック音楽好きなら一度は観ておきたい映画です。

 

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3,683円 (税込)

 

プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード

この映画は、プラハ滞在中にモーツァルトがドン・ジョバンニを作曲した史実を元にサスペンスが展開されます。

モーツァルトと彼が魅了された歌手のスザンナ、猟色家のサロカ男爵とのミステリアスな三角関係を描いており、モーツァルトの名曲に現代的な映像を加えた大作です。

2016年公開の比較的新しい映画で、若い世代でも見やすい作品となっています。

 

「プラハのモーツァルト 誘惑のマスカレード(字幕版)」を視聴する

 

「モーツァルト」のおすすめ関連書籍

よみがえる天才3 モーツァルト

モーツァルトの生涯と彼の革新的な活動を振り返る内容となっています。

桁外れの天才であったモーツァルトがいかにして、音楽と向き合っていたのか分析がおこなわれており、モーツァルトについて深く知りたい方におすすめの書籍です。

よみがえる天才3 モーツァルト

1,012円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 筑摩書房 (2020/9/9)

 

モーツァルトは「アマデウス」ではない

この本は「アマデウス」のミドルネームを持つモーツァルトが、生前にその名前を用いたことがない事実に基づいて、彼の生涯を解き明かしていくユニークな著作です。

モーツァルトの生涯をいきいきと描いた伝記作品として高く評価されており、エンターテイメントとしても楽しめます。

モーツァルトは「アマデウス」ではない

968円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 集英社 (2020/2/17)

 

まとめ

モーツァルトの生涯と作品を振り返ると、歴史上稀に見る彼の天才ぶりには驚きを隠せません。

モーツァルトは曲数が多いため、全曲を網羅することは容易ではありませんが、まずは彼の代表曲から入ってみてはいかがでしょうか。

これを機会に、歴史上で最も偉大な作曲家の作品にぜひ触れてみてくださいね。

 

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