ダン・グラハム 79歳で逝去、コンセプチュアルアートの先駆者が残した功績

ソース Portrait of Dan Graham by Sebastian Kim, 2017. © Dan Graham, Courtesy Lisson Gallery
写真、テキスト、彫刻、パフォーマンス、ビデオ・アートなど様々なジャンルで作品を発表した、現代アートの先駆者、ダン・グラハム。
彼は2022年2月19日、ニューヨークで逝去しました(享年79歳)。
グラハムが所属する4つのギャラリー(Lisson Gallery、Marian Goodman Gallery、303 Gallery、Regen Projects)は、彼の逝去を悼む声明を共同で発表。
現代アートで多くの功績を残したアーティストの死に、業界関係者の多くが哀悼の意を示しました。
1960〜70年代にかけて、先駆的な作品を数多く残した、ダン・グラハムの経歴と代表作品についてご紹介します。
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ダン・グラハム

ソース Dan Graham with Slightly Curvaceous, 2012. Courtesy Regen Projects, Los Angeles
コンセプチュアルアートのパイオニア的存在として知られるダン・グラハムですが、彼はコンセプチュアルアートを「嫌い」と発言し、自身の作品はむしろ「アナーキスティックなユーモア」であると述べています。
グラハム自身はアーティストと呼ばれることを否定していましたが、当時前衛的であったテキスト作品やビデオ・アート、パフォーマンス作品を発表したパイオニア的存在であり、彼の作品は後世のアーティストに大きな影響を与えています。
グラハムは1942年3月31日、イリノイ州に生まれ、その後ニュージャージー州で育ちました。
教育心理学者だった母親の影響もあり、グラハムも幼い頃から人間の宇宙観などに関心を抱いていました。
文化人類学者のクロード・レヴィ=ストロース、マーガレット・ミード、哲学者のジャン=ポール・サルトル、ヴァルター・ベンヤミンなどの理論に関心を持ち、当初は作家を志していたといいます。
ギャラリー経営の失敗
1964年、グラハムはニューヨークで「ジョン・ダニエルズ・ギャラリー」を設立し、アートディーラーになります。
このギャラリーは当時はあまり知られていませんでしたが、ソル・ルウィット、ドナルド・ジャッド、ロバート・スミッソンなど、後に有名なミニマルアーティストがここから多く輩出されました。
ギャラリーの売り上げは立たず、開廊からわずか1年後に閉鎖されてしまいます。
アートディーラーになることを諦めたグラハムは、生まれ故郷のニュージャージーに戻りました。
その帰り道、電車に揺られながら撮影した住宅団地の写真が、彼の最初の作品「ホームズ・フォー・アメリカ(Homes For America)」(1966-67)の原型になります。
素人が撮影した印象を残すこの写真シリーズは、当時影響力のあったアート雑誌「Arts」(1992年最終号)の特集として掲載されました。
テキスト作品
グラハムはその後も、雑誌を通して作品を発表していきました。
彼は雑誌を使った作品形式について、「雑誌という一見無害な出版物は家庭空間に突如出現し、感染していくSF映画のようだ」と例えています。
雑誌の1ページに掲載されたテキスト作品「Detumescence」(1966年)。
この作品は、男性の性器が絶頂に達した後に何が起こるかを説明した医療専門家によるテキストのみで構成されています。
同じく「schema」(1966年)では、各出版物のタイポグラフィーや仕様などを詳細に説明したテキストを掲載しました。
これらの作品は、マスメディアに対する挑発ではなく、メディアの一方的な情報伝達を破壊しようとする試みでもありました。
キュレーターや批評家からのコメントをすべて拒否してきたグラハムは、自身の作品とコンセプチュアルアートの関係を断固として否定してきました。
彼はコンセプチュアルアートを「学術的なでたらめ」と断じています。
コンセプチュアルアート
芸術は視覚的に存在するだけでなく、観念的にも存在するというメタ・テキストを用いた前衛芸術運動。ミニマルアートをさらに推し進めて、もはや絵画や彫刻という形態をとらなくても、構想や考えだけでも芸術とみなすというもの。多様かつ新しい媒体、素材、手法で表現し、1960年代から1970年代にかけて世界的に行われた。日本では当時、概念芸術や観念芸術と訳された。
ビデオ・アートとの出会い
1969年、彼は現代アーティストのブルース・ナウマンと知り合ったのを機に、ビデオカメラを使った作品制作を始めます。
2人の裸体の人物が、相手を互いに撮影したフィルムを同時に上映する「Body Press」(1972)。
ある家庭のテレビに映る映像と、その家の前に設置された大型スクリーンの画像とを連動させた「Video Projection Outside Home 」(1979)など、映像インスタレーション作品を数多く発表しました。
ブルース・ナウマン
彫刻やネオン管、ビデオなど多彩な素材を駆使し、60年代後半から現代アート界を代表するアーティスト。「100生きて死ね」(1984年)などのネオン作品では言葉で、「目・鼻・耳をつつく」(1994年)などのビデオ作品では人の顔を超スローモーションで撮影した身体でメッセージを表現する。1999年ヴェネツィア・ビエンナーレの金獅子賞、2004年、第16回高松宮殿下記念世界文化賞の彫刻部門を受賞するなど数々の国際賞を受賞。2004年、米誌タイム「最も影響力のある世界の100人」の中に選ばれる。
グラハムはその後、先端芸術を志すアーティストが多く集まる、カナダのノバスコシア美術デザイン大学で教鞭を執るようになります。
パフォーマンス作品
70年代半ばには、観客を巻き込む形のパフォーマンス作品を発表しています。
観客と大きな鏡の間にグラハムが立ち、鏡に向かって観客の動きを説明したり、自身の身体がその空間の中でどのように機能するかを語り出すパフォーマンス作品「performer/audience/mirror」(1975年)などが有名です。
ガラスパビリオン
グラハムは、鏡を多用したサイトスペシフィックな彫刻作品も発表しています。
彼の最も有名な作品とも言える、ガラスパビリオン。
この作品は観客が彫刻の内と外を自由に出入りできるようになっており、光の角度によって鏡面状にも透明なガラスにもなるハーフミラーの効果により、作品と自分の境界が曖昧な視覚感覚に陥ります。
この作品は世界中から制作依頼が殺到し、アメリカのディア・アート財団の屋上やメトロポリタン美術館の屋上、また、ロンドンのヘイワード・ギャラリー、ミネアポリスのウォーカー・アート・センター、さらに、ノルウェーの北極圏など、アートスペースとは言い難い場所にも数多く出現しています。
1976年のヴェネツィア・ビエンナーレでは「PUBLIC SPACE/TWO AUDIENCES」など、同じくハーフミラーを用いた作品を発表し、その錯視効果によってコミュニケーションの問題を観客に提示しました。
ロックミュージック
グラハムはロック音楽のプロデュースを手がけており、ロックミュージックに纏わる作品でカルト的な人気を得ています。
55分の映像作品「Rock My Religion」(1984)。
ロックミュージックの系譜は初期のアメリカの宗教カルトに始まり、戦後も性的熱狂の恍惚的かつ媒介的な経験として続いていると主張し、自身に影響を与えたロックミュージックへのオマージュ的な作品となっています。
2004年には、アーティストのトニー・アウスラー、ロドニー・グラハムと共同で制作したロック・オペラ人形劇「Don’t Trust Anyone Over Thirty」(2004)を発表しています。
グラハムの知的好奇心は芸術だけに止まらず、美術・音楽の批評や、建築・都市計画についての著者を出版するなど、彼の活動は広い分野に及びます。
グラハムの残した功績は、世界中の著名な美術館、展覧会、ビエンナーレなどによって幅広く認められています。
ドクメンタには1972年、1977年、1982年、1992年、1997年と計5回出展。
ヴェネツィア・ビエンナーレでも1976年、2003年、2004年、2005年の4回出展しています。
2009年に開催された回顧展「Beyond」は、ニューヨークのホイットニー美術館、ロサンゼルスの現代美術館、ミネアポリスのウォーカー・アート・センターに巡回しました。
日本で展示されているダン・グラハムの彫刻作品
新しい表現方法を常に開拓し、コンセプチュアルアートを先導したアーティスト、ダン・グラハム。
彼は「すべての芸術は楽しむためのものであるべきだ」という言葉を残しています。
グラハムの死に全世界が感謝と哀悼の意を表しています。
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