SANAAオーストラリア建築美術館
ART

SANAAが手がけるオーストラリア最大の美術館増築プロジェクト「シドニー・モダン・プロジェクト」とは?

シドニー市内で最も大きな公立美術館であり、オーストラリアで2番目の大きさを誇る「ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館」。

同館は創立150周年を記念した新館建築プロジェクトを進めており、2022年末の完成を予定しています。

このプロジェクトを担う建築家は、2015年の建築コンペで選出された妹島島和世と西沢立衛による建築設計ユニット「SANAA」(サナア)。

SANAAが手がけるオーストラリア最大の美術館は一体どのような姿になるのでしょうか。

プロジェクトの詳細をご紹介します。

 

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「シドニー・モダン・プロジェクト」

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館増築計画、その名も「シドニー・モダン・プロジェクト」。この計画は、2011年に発案されました。

 

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館があるエリアは、岬全体が国立の植物園と公園になっており、シドニー・オペラハウスが岬の先端に建っています。

公園の敷地内にニュー・サウス・ウェールズ州立美術館があり、その北側に別館を新設する計画です。

 

石油タンクを再利用した巨大なアートスペース

北側の敷地を拡張する新しい建物には、第二次世界大戦で使用された海軍の石油タンクを再利用。

20世紀半ばの産業遺産が21世紀の建築デザイン生まれ変わり、壮大な地下アートスペースに生まれ変わります。

 

新館は、屋根のないエントランスプラザ、展示スペース、美術研究・教育スペース、多目的スペース、屋上テラス、ミュージアムショップ、レストランなどで構成され、新館と既存の美術館はパブリックアートガーデンで行き来が可能になります。

パブリックアートガーデンには屋外アートを展示し、24時間いつでもアクセスが可能な、市民の憩いの場所になることが期待されています。

 

サスティナビリティにも力を入れており、敷地内のオープンスペースを最大限に活用し、建物と景観を一体化させたデザインを実現しました。ソーラーパネルや雨水の収集・利用なども可能になっています。

 

敷地内には大規模な植樹を予定しており、「シドニー・サンドストーン・ウッドランド」と呼ばれる固有種の植物を使用し、歴史的な植物を現代に復活させます。

 

オーストラリア最大級の文化施設建設プロジェクト

総予算3億4,400万ドル(約285億円)となるこの計画は、オーストラリアの芸術分野において、これまでで最大規模のプロジェクトです。

ニュー・サウス・ウェールズ州政府からの2億4400万ドル(約202億円)の資金提供に加え、寄付金として1億ドル(約82億円)を集め、目標額を上回る資金調達を実現しました。

訪問者数は少なくとも年間200万人の増加を見込んでいます。

 

建築家ユニット「SANAA」妹島和世+西沢立衛

プロジェクトを担う建築家チームは、建築界最高峰と称されるプリツカー賞を2010年に受賞した日本人建築家ユニット「SANAA」(サナア)。

SANAAは妹島和世・西沢立衛を代表として、1995年に設立された建築設計事務所です。

名前の由来は”Sejima and Nishizawa and Associates”の頭文字から取っています。

プリツカー賞をはじめ、日本建築学会賞、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展金獅子賞など数々の賞を受賞。

妹島和世はアジア人女性として初めて、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展のディレクターを2010年に務めています。

 

彼らの主な代表作としては、フランス北部ランス郡に建設されたルーヴル美術館の分館「ルーブル・レンズ」。

 

スイス連邦工科大学ローザンヌ校キャンパス内に建てられた施設「ロレックス・ラーニングセンター」。

 

ニューヨークの「ニュー・ミュージアム・オブ・コンテンポラリー・アート」などがあります。

他にもドイツ、エッセンにある「ツォルフェアアイン・スクール」や「金沢21世紀美術館」、「ディオール表参道」を手がけたことで有名です。

 

ガラスを多用したファサードのデザインを得意とし、透明感のある開放的なデザインは世界的にも評価が高く、芸術文化・教育分野の著名なプロジェクトを完成させています。

 

ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館は、このプロジェクトの建設中もオープンしています。

お近くにお住まいの方や機会があれば、ぜひ足を運んでみてください。

SANAAが手がける美術館がどのように実現するのか、公開が待ちきれません。

 

 

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