ダリ
ART

サルバドール・ダリとは?代表的な絵画作品やシュルレアリスムについて解説!

ダリ 作品解説

スペインで生まれたサルバドール・ダリは、前時代の常識を破壊し新しいアートを創造した芸術家でした。

絵画のみならず映画や演劇、商業アートなど様々な分野に進出した、常識にとらわれないダリはどのような人生を歩んだのでしょうか。

意外にもエリート街道を歩んでいたダリの経歴を、作品を通じて紹介していきます。

ぜひ読んでみてください。

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サルバドール・ダリとは

シュルレアリスムを代表する画家 

 

サルバドール・ダリは20世紀に巻き起こったシュルレアリスムを代表する画家です。

シュルレアリスムとは、アンドレ・ブルトンの「シュルレアリスム宣言」で始まった芸術運動。

平たく言えばこれまでの常識に影響を受けず、前衛的にやっていきましょうという運動です。シュルレアリスムは美術に限らず映画、文学、彫刻、音楽などにも広がり、一大ムーブメントとなりました。

そんなムーブメントの中心にいたのがダリであり、作品のみならず見た目や発言でも注目を集めていた奇才でした。

誇大妄想的で強い自己愛を持っていたダリですが、それを作品へのインスピレーションへ転換し、数々の素晴らしい作品を世に送り出しました。

 

ダリとシュルレアリスム

シュルレアリスムの中でもダダイズムと呼ばれる主義に属していたダリ。

ダダイズムとは既存の秩序を破壊するという信条で、絵画に関しては「アンチアート」の精神を持っていました。

ダリはまさにアンチアートな、常識にとらわれない技法を次々と持ち込みます。

代表的なのは、「偏執狂的批判的方法」です。

誇大妄想を続けてしまう精神病「パラノイア」から着想を得たダリ。人間の「物体を執拗に見ると別のものに見えてしまう」精神の作用をキャンバスに落とし込みます。

1つのものから2つのイメージを浮かべるため「ダブルイメージ」とよばれ、多くのダリ作品でみられる手法です。

かの有名な「記憶の固執」も時計とあるものの二つを組み合わせたイメージを利用しています。

 

ダリの経歴と人生

ダリの生い立ち

サルバドール・ダリは、スペインカタルーニャで裕福な公証人のもとに生まれました。

名の「サルバドール」は幼くして亡くなった兄から転用したもの。「自分は死んだ兄の代わりにすぎないんだ……」と、幼少のダリは思ったそう。

このことはダリのアイデンティティに深い影響を与えます。

幼少から絵画を描き始めたダリは、ピカソの友人である画家ラモン・ピショットから早くも才能を認められるほどでした。

18歳になり、マドリードにあるサンフェルナンドアカデミーに入学します。 

好奇心旺盛なダリは、ここで印象派、点描、キュビズムなど当時最新であった画法を広く学びました。

この学びが、後アーティストとしての成功につながっていきました。

 

幅広いアーティスト活動

ダリの活躍は絵画にとどまりません。幅広い分野でインスピレーションを爆発させました。

ファッション誌「VOUGE」表紙やジュエリーをデザインするなど、様々な場で才能をいかんなく発揮します。

 

現在でも使われるチュッパチャップスの包み紙は、ダリがデザインしたものです。

ダリは「大衆に媚びている、商業的である」など身内から批判され「ドルの亡者」など揶揄されましたが、その姿勢を崩すことなく晩年まで精力的に活動しました。

しかし、そんなダリも最愛の妻ガラを亡くすと意気消沈。

「自分の人生の舵を失った」と言い残し絵画制作を一切しなくなります。

そしてその6年後、奇才ダリは85歳で生涯に幕を閉じました。

 

シュルレアリストとしての成功

ダリが成功した最大の要因は、その好奇心にあるといえるでしょう。

伝統的な技法から最新の技法まで、ダリは絵画についてむさぼるように学びました。

20歳の時に、フランスで生まれたキュビズムをベースにした作品を発表します。

当時のスペインではキュビズムはまったく浸透していなかったため、ダリは弱冠20歳ながらスペインアート界の超新星として大きな注目を浴びることになります。

 

ダリとキュビズム

キュビズムと時を同じくして、シュルレアリスム運動が巻き起こりました。

ダリは瞬く間にシュルレアリスムの先頭に立ち、前衛的な作品を次々と発表。どんどん知名度が上がりました。

また、パブロピカソやジョアン・ミロなどの多数の有名アーティストと交流を持ち、自身の作品に取り入れていくという柔軟性を持っていました。

 

ダリの代表的な作品解説 

「記憶の固執」1931 

ダリの作品の中でも、もっとも有名な作品の一つがこちら。

ぐにゃぐにゃに溶けた時計が印象的に描かれているこの作品は、カマンベールが溶けていく様子をじっと見つめインスピレーションを得たとされています。

硬い時計とやわらかいカマンベールチーズという相反するものを融合させる、ダブルイメージを使った表現はインパクトがありますよね。

また、この作品はダリ自身が持つ性へのイメージを描いたものという解釈もあります。 

勃起不全を抱えていたダリにとって、硬いものは性的な興奮、やわらかいものは性的な不能を意味し、欲望と不安が同時に存在する「ダブルイメージ」でした。

 

「茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)」1936 

頭部と足、手がくっついた生物が、たがいに抑え込みあっているという一目見ただけでは理解することが困難な絵。

別名「内乱の予感」と呼ばれるこの作品は、当時ダリが抱いたスペイン内乱への恐怖を具現化したもの。実際にこの作品が完成した数か月後に内乱が勃発しています。

ダリがこれを予期できたのは、民族争いに直面し暴動に巻き込まれるというショッキングな出来事に遭遇したからでした。

今にも爆発しそうなインゲン豆は争いが勃発しそうな予感を、全体を覆い暗くなっている雲は、暗い将来を予期させるという表現です。

同一の肉体であるのに分裂して引き裂こうとしている姿は、内乱を意味しています。

 

「メイ・ウエストの唇ソファ」1937 

メイ・ウエストの唇ソファ

当時絶大な人気を誇った、アメリカの女優・メイ・ウエストの唇にインスピレーションを受けた作品。

女優ながらスキャンダルが絶えなかったウエストを、ダリは非常に魅力的に思っていました。

彼女の上向きの柔らかな唇をソファーに見立てたダリ。

唇のソファーを部屋に置けば、部屋そのものががウエストの顔になるというシュールな作品です。 

 

「レダ・アトミカ」1949 

様々なものが混在する不思議な空間に、大きな白鳥を抱き寄せようとしている裸の女性が描かれています。

レダとは古代ギリシャ神話に登場する絶世の美女ですが、愛妻家のダリはこれに妻のガラの顔を描きました。

レダはガラ、白鳥はダリ。つまり、自身とガラの精神的な深い結びつきを表現しています。

しかし、よく見るとすべての物体は一切触れ合っていないことが分かります。これはつながっているように見えても原子レベルでは離れているという、原子の知見を作品に取り入れています。

 

「最後の晩餐」1955 

レオナルド・ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を、ダリが再解釈して現代版にした作品です。

「最後の晩餐」は新約聖書に記された「12人の使徒の1人が私を裏切る」というシーンを切り取ったもの。

ダヴィンチ版では使徒は普通に晩餐を楽しみ、キリストが未来を憂いて俯いています。

一方でダリ版では、キリストが前を向き、使徒が全員顔を伏せています。

そして背景の海や山、磔にされたキリストが透けています。

幾何学的に正確であるこの作品には、解釈は存在せず、見た人に委ねられています。

 

さらに詳しく

 

映画「アンダルシアの犬」1929 

「アンダルシアの犬」は、サンフェルナンドアカデミーで出会ったルイス・ブニュエルとダリが共同制作したフランスの映画です。 

映画史上はじめてシュルレアリスムを取り入れた作品になっており、その題材はなんと二人が実際に見た夢

夢の中がベースなので当然といえば当然ですが、映画「アンダルシアの犬」にはプロットがありません。全体としてのつながりがない、支離滅裂な展開が特徴となっています。

物語が基本である映画において、非常に挑戦的な作品です。

 

 

ダリの作品を見れる美術館

諸橋近代美術館

諸橋近代美術館は、アジアで唯一ダリの作品が常設されている美術館。ダリの作品を日本で見ることができます。 

なぜダリ作品が日本に多数存在するかというと、元々個人でコレクションされていたものを本人の思いのもと収蔵した美術館だから。

スポーツショップ「ゼビオ」創始者の諸橋廷蔵さんが、「広く多くの方に西洋近代美術の秀作の数々を鑑賞し、感動して欲しい」という意志のもと諸橋近代美術館を作ったと言います。

 

美術館詳細

開館時間

 9:30~17:30(入館は17:00まで)

定休日

12月~4月中旬休館

入館料

大人1,300円、高校生・大学生800円、中学生以下 無料

 

 

サルバドール・ダリ美術館(アメリカ)

サルバドール・ダリ美術館

シュルレアリスムを体現するような外観に包まれた「サルバドール・ダリ美術館」

アメリカのフロリダにあるこの美術館はダリ作品しか収蔵していない、「ダリ専門美術館」です。

絵画だけでなく、水彩画、写真、彫刻、オブジェなど多岐にわたるダリ作品を所蔵。

また、「ダリの夢」というVRでダリを楽しむことができるサービスも行っています。

3D化したダリの世界に没頭してみたい方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

美術館詳細

開館時間

 日曜12:00〜17:30、火曜・水曜・金曜・土曜10:00~17:30、木曜10:00~20:00

定休日

毎週月曜日、サンクスギビングデー(11月第4木曜)、12月25日、展示替えなどによる休館あり

入館料

18〜64歳24ドル、65歳以上22ドル、学生(要証明書)17ドル、13〜17歳17ドル、6〜12歳10ドル、5歳以下・会員無料

 

 

ダリ劇場美術館(スペイン)

スペインのカタルーニャ州フィゲラスにある「ダリ芸術美術館」は多数存在するダリ美術館の中でも一番の人気を誇ります。

収蔵点数は1万点以上と他と比べても非常に多いことも特徴です。

絵画だけでなくオブジェも多数配置してあり、中に入ればシュルレアリスム・ワールドに迷い込んだかのような不可思議な感覚を味わうことができます。

 

美術館詳細

開館時間

 10時30分~18時(3月と10月は9時30分~/4~9月は9時~20時)

定休日

月曜日(例外日あり/7~9月除外)、12月24日午後と25日、1月1日

入館料

大人ひとり15ユーロ(学生・年金者11ユーロ)
※料金にはダリ宝石美術館の入場料も含まれます

 

 

ダリについてもっと学べる本

もっと知りたいサルバドール・ダリ 生涯と作品

鮮明なカラーで描かれた、ダリの生涯と作品を詳しく解説した本です。

年代順に並んでいて、これだけでダリの足跡をたどることができます。

解説がかなり詳しく、コラムも表ではあまり聞くことがないエピソード多数で充実。ダリの人となりや裏の一面を知ることができます。

もっと知りたいサルバドール・ダリ 生涯と作品

2,200円 (税込)

出版社 : 東京美術 (2016/6/30)

ダリ全画集 

「ダリ全画集」はダリの没後25周年に出版された、ダリの全作品が収録されている画集です。

6歳に描かれた最初期の絵から始まり、芸術学校時代、注目を集めたキュビズム時代、シュルレアリスムに傾倒した時代……など余すことなくページにされています。

秘話も満載で、これ自体がダリの伝記的としても扱えるほど。

780ページという圧倒的な量が物語るように、「ダリのすべて」を見ることができるような内容です。

ダリ全画集

10,400円 (税込)

まとめ

今回は歴史に名を残す作品を多数生み出した、シュルレアリスムを代表する画家であるサルバドール・ダリを解説してきました。

類まれなる才能を持って生まれ多くを学び、現代のアート界にも大きな影響を与えたダリ。

その経歴に注目してみれば奇抜な恰好や言動の裏に、好奇心旺盛で社交的な一面も持っていたことが分かります。

ダリの作品は日本でも見ることができますので、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

 

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