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CULTURE

火焔型土器とは?特徴や使用用途、岡本太郎が再発見した土器の魅力について詳しく解説

燃え盛る炎をかたどったような、独特なフォルムを持つ「火焔型土器」。

縄文時代に作られた火焔型土器は、他の時代の土器には無い独特の文様や装飾が施され、その使用用途は今も大きな謎に包まれています。

芸術家・岡本太郎は、火焔型土器をはじめとする縄文土器の芸術性の高さに驚愕し、それまで歴史的資料としての価値しかなかった縄文土器を、はじめて「芸術品として再評価」しました。

今回はそんな火焔型土器の魅力と主な出土品をご紹介します。

 

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「火焔型土器」とは?

縄文時代を代表する土器の一種 

火焔型土器は、およそ5000年前の縄文中期に作られた縄文土器の1つです。

把手の装飾が燃え盛る焔のように見えることから「火焔型土器」と名付けられました。

縄文土器の中でも特に装飾的で、実用的な目的にそぐわない造形をしています。

 

新潟県の信濃川流域を中心に出土

今から5000年ほど前の縄文時代中期、新潟県の信濃川流域には豊かな文化が花開いていました。

その象徴とも言える火焔型土器は長岡市馬高遺跡、十日町市笹山遺跡そして野首遺跡などから出土しています。

日本で最初に発見された「火焔土器」は、馬高遺跡から出土しており、十日町市の笹山遺跡からは「縄文雪炎」という呼び名で有名な火焔型土器が出土しています。

 

火焔型土器は煮炊き用に使われていた?

器の内側に火で焦げた部分や吹きこぼれの跡がみられることから、火焔型土器も他の縄文土器同様、調理用の鍋として用いられていたと考えられています。

この「おこげ」の科学的分析により、木の実や肉、魚などを煮ていたことがわかっています。

しかしその豊かな装飾から何らかの儀式用にも使われていたのではないか、とも考えられています。

 

火焔型土器の特徴

「深鉢型」のものが多い

火焔型土器は殆どが深鉢形土器で、下部に比べて上部が大きく張り出しているのは、煮炊きのふきこぼれを防ぐための工夫であると考えられています。

このことから、火焔型土器は芸術性と実用性の両面を持ち合わせていたと推測されています。

 

上部に4つの突起がある

火焔型土器の特徴は、上部4か所に大ぶりの把手(突起)あることです。

把手は複雑な形状で、粘土紐によって装飾され、把手以外の口縁部は鋸の歯状に形作られています。

これらの装飾が何を表したものかは不明ですが、全体の形状が燃え上がる炎を思わせることから「火焔型」土器と呼ばれるようになりました。

 

縄文土器特有の縄目模様がない 

火焔型土器の胴部には粘土紐が貼り付けられており、竹管を用いた道具で渦巻状やS字の文様が描かれています。

縄文土器の一種でありながら、実は縄文土器の名の由来である縄文(縄目の模様)による装飾はほとんど見られず、同時代のものとはいえその作り方や特徴は全く異なります。

 

縄文人の感性や世界観を反映している?

火焔型土器が煮炊き用であったとするならば、上部4つの突起は、中の具材を出し入れする際にはかえって邪魔になってしまいます。

そのため、機能性よりも装飾性が重要視されていたと考えられます。

過剰とも言える装飾は、縄文時代の人々の崇拝の気持ちや、彼らが持っていた世界観を表現したものだと言われています。

突起の付いた土器は世界的に見ても日本の縄文土器しかその例が無く、縄文人は他の地域文化とは大きく異なる世界観を持っていたことが推測できます。

 

岡本太郎が「美術品」として高く評価

芸術家・岡本太郎は、1951年に東京国立博物館で偶然 縄文土器を見た際、「なんだ、コレは!」と叫んだそう。

驚いた。こんな日本があったのか。

いやこれこそが日本なんだ。

身体中の血が熱くわきたち、燃えあがる。

それまでは縄文文化について美術的な視点からの言及はなく、岡本太郎が1952年に『みずゑ』誌上で「四次元との対話―縄文土器論」を発表するまで、縄文土器や土偶は美術品ではなく工芸品という扱いを受けていました。

岡本太郎は「縄文の美」を再発見し、土器を美術品と位置付けたのです。

 

主な火焔型土器

笹山遺跡出土の火焔型土器(国宝)

新潟県十日町市の笹山遺跡から出土した「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」の57点は1999年、国宝に初めて指定された縄文土器となりました。

その中には火焔型土器が14点含まれています。

指定番号1と呼ばれる火焔型土器が、日本で一番知られている火焔型土器です。

そのプロポーションと残存率の高さから「縄文土器の白眉」または「縄文雪炎」(じょうもんゆきほむら)と愛称が付けられ、国宝指定品の中でも中心的存在として扱われています。

国宝・火焔型土器(新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器)は、十日町市博物館に常時展示されています。

1992年にアーサー・M・サックラー美術館(ワシントンD.C.)、1998年に日本文化会館(パリ)、そして2001年には大英博物館(ロンドン)での海外展に出品され、日本の原始美術を代表する土器として絶賛されました。 

 

馬高遺跡出土の火焔土器

新潟県長岡市の縄文時代中期の馬高遺跡は「火焔土器」発祥の地です。

火焔型土器が初めて出土したのは1936年で、馬高遺跡で発見された最初の土器は「火焔土器(馬高A式1号深鉢土器)」と呼ばれ、その他の土器や他遺跡で出土したものは「火焔型土器」と呼んで区別されています。

馬高遺跡で最初出土の「火焔土器」は1990年に国の重要文化財となり、史跡に隣接する馬高縄文館に展示されています。

 

堂平遺跡出土の火焔型土器

新潟県の津南町の堂平遺跡は縄文時代中期の遺跡では、残存状況の良好な竪穴住居跡が多く発掘され、火焔型土器などの土器群や石組炉などが出土しました。

国の指定重要文化財に指定されている津南町堂平遺跡から出土した火焔型土器は2つあり、1つは津南町歴史民俗資料館展示され、1つは大英博物館に2012年から貸出され常設展示されています。

 

吉野屋遺跡出土の火焔型土器

新潟県三条市の吉野屋遺跡は縄文時代中期~後期の大集落で、火焔型土器や王冠型土器をはじめとする多様な土器が出土しています。

また、火焔型土器の出土とともに注目されているのが土偶と呼ばれる粘土でできた人形です。

吉野屋遺跡出土品は、三条市歴史民俗産業資料館で展示公開されています。

 

正安寺遺跡出土の火焔型土器 

新潟県魚沼市にある正安寺遺跡は、魚野川の支流である田河川流域に位置する縄文時代中期中葉~後期末葉の集落跡です。

正安寺遺跡出土の火焔型土器は、魚沼市指定文化財(考古資料)に指定されています。

写真は29号住居跡から出土した、器高31.2cm、口径20.0cm、底径10.6cmの火焔型土器です。

口縁部には時計回りの4単位の縦長に高い鶏頭冠突起を有してます。形は頸部がくびれて、火焔土器に類似しています。

文様は、横S字状渦巻文などが貼付されてます。

 

火焔型土器を所蔵している博物館

十日町市博物館(新潟県)

国宝・火焔型土器(新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器)は、十日町市博物館に常時展示されています。

十日町市にある笹山遺跡は縄文時代と中世の遺構が重層する複合遺跡で、復元された火焔型土器の数は信濃川流域の遺跡の中では最も多いといわれています。

出土した火焔型土器群をはじめとする出土品「新潟県笹山遺跡出土深鉢形土器」は1999年に新潟県内初の国宝に指定され、縄文土器としては唯一の国宝となりました。

 

十日町市博物館詳細

開館時間:9:00~17:00

休館日:毎週月曜日(月曜日が祝・休日の場合は翌平日)、12月28日~1月3日

入館料: 一般(高校生以上)500円、中学生以下 無料

 

新潟県立歴史博物館(新潟県)

火焔型土器のふるさと新潟から縄文の情報を集積し、世界に向けて情報発信することを目指す博物館として2000年にオープンしました。

縄文展示は常設展示面積の半分近くを占めています。

ほぼ全形のわかる火焔土器約90個体と同時代の関東中部や東北地方の土器が展示されているほか、火焔土器製作の各段階の模型、縄文土器につけられた文様サンプル162種を見ることができます。

 

新潟県立歴史博物館詳細

開館時間:9:30~17:00

休館日:毎週月曜日(月曜日が休日の場合は、その日以後の休日でない最初の日)、年末年始(12月28日~1月3日)

入館料: 一般 520円、高校・大学生 200円、中学生以下 無料

 

馬高縄文館(新潟県)

火焔土器の発見地である史跡馬高・三十稲場遺跡の史跡にかかわる資料を保存、展示する施設として、馬高遺跡に隣接して建てられた博物館が「馬高縄文館」(愛称:火焔土器ミュージアム)です。

重要文化財に指定された「火焔土器」を含む「馬高遺跡出土品」300点を展示しています。

 

馬高縄文物館詳細

開館時間:9:00~17:00

休館日:毎週月曜日(月曜日が休日に当たる場合は、次の平日)・年末年始、12月28日~1月4日

入館料: 一般・大学生 200円、高校生以下 無料

 

東京国立博物館(東京都)

東京国立博物館の平成館の考古展示室には、縄文時代の土器や道具が多く所蔵されています。

2018年に開催された特別展「縄文-1万年の美の鼓動」では国宝の6点が展示され、縄文ブームを引き起こしました。

 

東京国立博物館詳細

開館時間:9:30~17:00

休館日:毎週月曜日(月曜日が休日に当たる場合は、次の平日)・年末年始、12月28日~1月4日

入館料: 一般 1000円、大学生 500円 ※事前予約が必要です(2022年1月時点)

 

もっと火焔土器について知ることができる本

火焔土器の国  新潟

新潟県立博物館編。

火焔型土器の出土状況や基本データ、土器の見方や各部名称、作り方、解剖、変遷、用途、縄文時代の諸外国の状況などわかりやすく色々な方向から書かれています。

「縄文楽検定テキスト」も収載しています。

火焔土器の国 新潟

5,500円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 新潟日報事業社 (2009/4/30)

 

国宝「火焔型土器」の世界 笹山遺跡

世界有数の豪雪地帯である新潟県十日町市の笹山遺跡は、火焔型土器の造形美や変遷、生み出した縄文人の集落や生活を知るうえで貴重な遺跡です。

土器で唯一国宝となっている笹山遺跡の火焔土器群をカラー写真で大きく取り上げ、それを育んだ縄文文化を紹介します。

国宝「火焔型土器」の世界 笹山遺跡

1,760円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 新泉社 (2018/2/10)

 

まとめ

縄文土器の中で一番美しいともいわれる火焔型土器は、見る人を古代ロマンの世界に導きます。

ここでご紹介した博物館や遺跡に訪れた際には、ぜひその魅力に触れてみてください。

この記事が、皆さんが縄文文化に興味を持つきっかけになれば幸いです。

 

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