ガゴシアンがついにNFT市場へ参入!ニューヨークで村上隆のNFT作品を発表

© Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. Courtesy of Gagosian.
これまでNFT市場への参入に消極的な姿勢を保ってきたメガギャラリーのガゴシアン(Gagosian)が、ビットコイン、イーサリアム、およびUSDコインでの支払いの受け入れを正式に発表しました。
2022年5月には村上隆の個展をニューヨークにある2つのスペースで開催し、NFT作品を公開する予定となっています。
同スペースで日本人アーティストの個展が開かれるのは8年ぶりとなります。
ついに、ガゴシアンがNFT市場に参入

Courtesy of Gagosian Gallery.
NFT(Non-Fungible Token=代替不可能なトークン)がアートマーケットに台頭してわずか1年の間に、数多くのアーティストやギャラリーが暗号通貨の世界に参入してきました。
しかし、メガギャラリーの1つ、ガゴシアンは長い間そうした動きに対して慎重な姿勢を取ってきました。
ガゴシアン(Gagosian)
1980年、アメリカのアートディーラーであるラリー・ガゴシアン(Larry Gagosian)が、ロサンゼルスに初のギャラリーをオープン。1986年には、ニューヨーク・マンハッタンにビジネスの中心を移し、2011年、アジアでの唯一の支店を香港にオープンさせた。ギャラリーとショップ合わせて世界の主要都市に21箇所のスペースを持つ。取り扱いアーティストは、現存アーティストのオークションにおける過去最高額を記録したジェフ・クーンズ、ピカソ、アンディ・ウォーホル、村上隆など。

Larry Gagosian. Courtesy of the Image Gate/Getty Images for Credit Suisse.
2021年4月、ガゴシアンの所属作家の一人、ウルス・フィッシャー(Urs Fisher)がガゴシアンのライバルであるペースギャラリー(PACE)と組んでNFTプロジェクトを実施しました。
この時、ガゴシアンの創設者であるラリー・ガゴシアンは「NFTについては、本当によく知らないんだ。知識はないけど、NFTのことは気にかけている。」と発言しています。
しばらくの間、NFT市場の動向を観察していたガゴシアンですが、ついに暗号通貨取引所のプラットフォーム「Coinbase」との提携を決定。
今後はビットコイン、イーサリアム、およびUSDコインでの支払いを受け付けると発表しました。
ギャラリーの広報担当者は、以下のようにコメントしています。
私たちはしばらくの間、NFT市場の動向を注意深く観察し、どのようなものが成功し、失敗したのか、細かい分析と議論を重ねてきました。
私たちの目的は何よりもまず、アーティストとクライアントをサポートすることにあります。
そのため未知の世界にいきなり飛び込むよりも、まずは自分たちが時間をかけて勉強することが重要だと考えました。
現在も暗号通貨とNFT市場に参入する最善の方法を模索し続けています。
NFT作品をメインとする村上隆の個展をNYで開催
ガゴシアンはNFT市場への参入と共に、2022年5月に村上隆の個展「An Arrow through History」を開催すると発表しました。
ガゴシアンが持つニューヨークの2つのギャラリースペースで、村上隆による現実世界とデジタル両方の作品が紹介されます。
本展は、村上隆によるNFTプロジェクト「CloneX」(2021)のアバターシリーズと、「Murakami.Flowers(2021-2022)」シリーズをメインに構成される予定です。
「CloneX」(2021)は、デジタルスニーカーやバーチャルウェアを販売するNFTブランド「アーティファクト・スタジオ(RTFKT Studios)」と共同で開発した、村上隆の特徴的なモチーフを持つNFTのアバターです。
アイコン画像用にランダムに生成された1万点のサルの画像のNFT作品「Bored Apes」と同じく、それぞれのアイコンが異なる衣装や道具を身に着けています。

Takashi Murakami, Murakami.Flower #0085 (2022). © Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. Courtesy of Gagosian.
「Murakami.Flowers 」(2021-22)は、村上隆の代表的なモチーフである「花」シリーズのNFTプロジェクトです。
花の色や形が様々に変化し、村上隆のスーパーフラットと、ドット絵へのノスタルジーを感じさせるスタイルが組み合わされています。
スーパーフラット
1990年代後半以降、村上隆によって展開された現代美術の芸術運動、および概念のこと。伝統的な日本画とアニメーションのセル画とに共通して見られる造形上の特徴を抽出した概念。余白が多く、平面的で二次元的であり、遠近法などの技法をあまり使用しない特徴がある。
また、戦後の日本社会で発生した無階層的で一様な大衆文化も表している。
デジタルではこれらの作品をメインに、実際のスペースでは絵画と彫刻をメインに構成される予定です。

Takashi Murakami, Qinghua: After Kitaōji Rosanjin (2022). © Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. Courtesy of Gagosian.
平面作品の新作として、NYのギャラリースペースには円形のキャンバスに描かれた作品が展示されます。
これは、中国の元時代(1279年頃~1368年)に作られた白磁の花瓶の魚のモチーフと、村上隆が父親と川辺に出かけ、鯉釣りをした幼い頃の記憶からインスパイアされた作品で、鯉釣りの様子が描かれています。
デジタルと現実世界が交錯する本展は、2022年5月21日〜9月25日まで開催されます。
NFT市場参入までの入念なリサーチ
ガゴシアンと同様に、村上隆もNFT市場に参入する前に入念なリサーチとテストを重ねています。
2021年3月30日、オークションハウス・クリスティーズでビープル(Beeple)のNFT作品「5000 Days」が6935万ドル(約75億円)という驚異的な数字で落札されると、村上隆はそのわずか3週間後に初のNFT作品を公開しています。
しかし彼はその数日後に、NFT作品の販売停止を発表しました。
すでに入札された方には大変申し訳ありませんが、私のNFT作品をより便利に、より安心して楽しんでいただくために、今回の出品を取りやめたことをご理解いただければ幸いです。
と彼はコメント。
それ以降、NFT市場の仕組みをより理解するため、自ら暗号通貨を購入し、取引するなどリサーチを重ねてきたと村上隆は説明しています。
その後、「Murakami.Flowers」シリーズのNFT作品を再び発表した際には、Instagramの投稿でこれまでの取り組みを振り返り、以下のコメントを残しています。
NFTアートとは何なのか、まだよく消化していなかったし、暗号通貨の文脈も全く理解していなかった 。
この空間については、まだ理解できないことがたくさんあり、皆さんから多くのご指導をいただくことになると思います。
とはいえ、私はかなり繊細な性格なので、パニックになったら精神崩壊を避けるために避難するかもしれませんが、ご理解いただけると幸いです。
村上隆の個展を皮切りに、ついにNFT市場に参入したメガギャラリー、ガゴシアン。
アートマーケットとNFT市場が相互に影響し、今後さらに急成長していく予感を感じさせます。
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