グラフィックデザインデザイン
CULTURE

原研哉とは?「白」を追求するデザイナー、無印良品など代表作品について詳しく解説

原研哉

ソース

日本人なら誰もが知っている、無印良品。

もはや国民的なブランドです。
無印良品の店内を、少し思い浮かべてみてください。
シンプルで無機質な店内に統一されたパッケージの商品が並んでいます。

壁いっぱいの、迫力ある大きなビジュアル。
あちこちに貼られたポスターには、印象的な写真と、短くシンプルなコピー。
これら、無印良品のアートディレクションを手掛けているのが、原研哉なのです。

 

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原研哉とは?

原研哉 横顔

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1958年、岡山生まれのグラフィックデザイナー、原研哉。

あまたの大企業や、長い伝統を持つ老舗から高い評価を集める、日本を代表するデザイナーです。

彼の作品が語られるとき、決まって登場するのが、「余白」や「白」といったキーワード。

代表作とされる無印良品のアートディレクションでは、日本独自の概念である「空(くう)=エンプティネス」が、コンセプトに取り入れられています。

そんな、原研哉についてご紹介していきます。

 

原研哉の経歴

武蔵野美術大学大学院デザイン専攻を卒業 

1983年、武蔵野美術大学大学院デザイン専攻を卒業。同年、広告制作会社である日本デザインセンターに入社しました。

以後、広告を中心にさまざまな分野でデザイナーとして活躍し続けています。

1992年には、同社内に「原デザイン研究室」を設立(現:原デザイン研究所)。

現在は、日本デザインセンター代表取締役を務めています。

 

長野冬季オリンピックの開閉会式のプログラム制作を担当

1998年に開催された長野冬季オリンピックでは、開閉会式のプログラム制作を担当。

白地の表紙に、燃え上がる赤い炎をデザインしたプログラムには、特殊に開発した紙を使用しました。

加熱して型押しすると、凹んだ部分が半透明に透ける紙で、雪と氷の世界を美しく繊細に表現しています。

 

国際インダストリアルデザインビエンナーレ大賞を受賞 

デザイン以外にも、展覧会のプロデュースに力を入れてきた原氏。

紙の商社「武尾」の創立100年を記念した展覧会「RE-DESIGN-日常の21世紀」では、トイレットペーパーやマッチといった、ありふれた日用品を再デザインしました。

日常に深く溶け込んでいるデザインがもつ意味合いを、改めて顕在化させています。

この展覧会の作品は「第17回国際インダストリアル・デザイン・ビエンナーレ(BIO17展)」において、工業デザインとグラフィックデザインの両部門で大賞を受賞。

その後、世界各地を巡回しています。

 

無印良品のボードメンバーとして活躍 

無印 広告

ソース

無印良品の広告制作は、2002年から手がけています。

シンプルなコピー表現、商品の写真に「無印良品」という四文字を付ける広告スタイルは、この時から始まったもの。

無印良品全体のアートディレクションを決定する、アドバイザリーボードメンバーも務めています。

ちなみに、そのほかのメンバーには、小池一子、深澤直人、須藤玲子らがいます。

 

武蔵野美術大学教授に就任

2003年には、母校である武蔵野美術大学基礎デザイン科の教授に就任。

コミュニケーションデザイン、コミュニケーション論を担当しています。

毎年特定のテーマに学生たちと取り組む「Ex-formation」というゼミも行い、後進の育成にあたっています。

そのほか、日本で唯一のグラフィックデザイナーの全国組織、公益財団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)の副会長も務めています。

まさに、さまざまな分野で日本のデザイン界を牽引している人物なのです。

 

さまざまなプロモーションを担当

2005年に開催された愛知万博では、初期のプロモーションに参加し、公式ポスターを制作。

ポスターには、300年前に描かれた博物図絵「本草圓説」から、さまざまな動物のモチーフを採用。万博のテーマでもある「自然の叡智」を表現しました。

また、外務省の戦略的対外文化発信の場として、世界三都市(サンパウロ・ロサンゼルス・ロンドン)に設置されたJAPAN HOUSEの総合プロデューサーを務めました。

 

原研哉の作品の特徴

白を基調とした洗練されたデザイン

オリンピックや万博、JAPAN HOUSEなど、日本文化を対外的にアピールする場において、原研哉のデザインが多用されています。

日本文化のエッセンスを対外的にわかりやすく、なおかつ、最高に洗練された形で表現するデザイナー原研哉。

そんな彼の表現のひとつの特徴が、「白」「余白」を基調としたデザインです。

 

イラストやロゴを引き立たせる余白

おもに白を基調とし、イラストやロゴをすっきりと際立たせた作品には余白が多く、どこか緊張感が漂います。

「白」はただ色を表わすのではなく、「白」が持つ意味合い、概念がデザインで表現されているからでしょう。

日本には「余白の美」という言葉があります。

書の余白に余韻を感じ、茶室にあえて一輪だけ花を活けるという美意識。

余白はただの、何もない空間ではないのです。

そういった日本人の美意識を、原は「白」や「余白」を用いたデザインで表現しているといえるでしょう。

 

原研哉の代表作品 

梅田病院 サイン(1998) 

「清潔さはデザインできるか?」という問いを基点に制作された梅田病院のサイン。

シーツや白衣のように、サインも汚れたら交換、洗濯できるように布製となっています。

管理も容易で清潔が保てる機能的なデザインです。

 

森ビル VI(2000~)

mori

ソース

「立体緑園都市」を掲げる、都市開発会社の森ビル。シンボルマークや、既存ビルのサイン刷新を行い、森ビルの事業構想を表現しています。アークヒルズが20周年を迎えた際には、VIのリニューアルも手掛けています。

 

蔦屋書店 VI(2011)

代官山にオープンした「蔦屋書店」。

従来の英語表記の「TSUTAYA」から漢字表記に変えることによって、新しいコンセプトを表現。

蔦屋書店を運営するカルチャー・コンビニエンス・クラブが指揮管理者となった、佐賀県武雄市図書館のVIも担当。

 

GINZA SIX VI(2017)

GSIX

ソース

銀座六丁目にオープンした「GINZA SIX」。

ラグジュアリーブランド、コンテンポラリーアート、伝統やテクノロジーなど、多様な価値を提供する商業施設です。

ロゴデザインは、それらを統合する「軸」を表現しています。

 

原研哉の主な受賞歴

国内外で数々の賞を受賞している原氏。

そのうちの代表的なものをご紹介します。

 

毎日デザイン賞(2000)

第3回亀倉雄策賞(2001)

ニューヨークADC賞(2003)

サントリー学芸賞「芸術・文化」部門(2004)

SDA賞サインデザイン大賞・経済産業大臣賞(2008)

 

もっと原研哉を知ることができる本

原研哉のデザインそのものに触れるほかに、彼の著作もぜひ読むことをおすすめします。

彼の考える「白」「余白」とはどのようなものか。

また、デザインするとはどういうことなのか。

考えを知ることで、より深く、原研哉のデザインを理解することができます。

 

デザインのデザイン 単行本

2,080円 (税込)

私たちの生活のいたるところで,デザインは息づいている.その囁きに,ちょっと立ち止まって耳を傾けてみよう.そこには,柔らかな感受性から生まれた生活への新しい提案と,未来への可能性が託されている.いま,なぜデザインか.世界の第一線に立つ著者がこれまでのデザイン観を一新する,斬新な発想転換のすすめ.

原研哉の仕事 (デザインノートBOOK) 大型本

2,530円 (税込)

現在、原研哉がどんな活動し、どこに向かっているのかを探るため、密着取材を敢行。
また、全仕事を網羅して掲載する特別企画にて展開、原の仕事を全方向から見つめてみました。
デザインの可能性が満ち溢れた、全てのデザイナーの参考となる必読の一冊です。
日本文化の繊細さ・簡潔さを生み出し、支える美意識の原点--白。それは、色であって色を超えたもの。短い文章にこめられた、白の美学。

 

まとめ

原研哉というデザイナーについて深く知らなかった方も、彼の仕事に興味を持たれたのではないでしょうか?

今現在、原の関心は日本の地方の風土や文化、産業に向いているようです。

これからの日本が世界に提示できる価値として、「観光」に改めて注目していることが、最近の著作からもうかがえます。

原の仕事を通して、私たちも新しい日本の価値を再発見することができるでしょう。

今後も、原研哉の仕事から目が離せません。

 

 

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