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即位70周年!エリザベス2世の有名な肖像画・ポートレイトを年代順に振り返り

2022年に在位70年を迎えたイギリス君主、エリザベス2世。

彼女は世界で最も有名な女性の一人であり、紙幣や切手をはじめ、あらゆる媒体に彼女のポートレイトが掲載されています。

しかし、エリザベス女王の性格や人物像を知る人は限られており、個人というよりも国のシンボルとしての印象を持つ人が多いのでは無いでしょうか。

セシル・ビートンが撮影した、おとぎ話に出てくるような煌びやかな女王のポートレイトや、ジェイミー・リードの挑発的な作品など、エリザベス2世を描いた肖像画、ポートレイトはこれまで数多く制作されてきました。

今回はその中から特に優れた6つの作品を紹介します。

 

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セシル・ビートン(Cecil Beaton)1953年

第二次世界大戦前から戦後にかけてファッション写真やポートレートで活躍した写真家、セシル・ビートンが撮影したポートレイト。

皇室の王冠、笏、シルクのマント、黄金の戴冠式のガウンを身に纏ったエリザベス女王は、ウェストミンスター寺院のゴシック様式の礼拝堂を背景に、セシル・ビートンの手による劇画調のエフェクトが合わさることで、華麗さと歴史感をさらに盛り上げ、おとぎ話に登場するような君主として表現されています。

戦後の陰鬱なイギリスを元気づけるために、伝統的な煌びやかさと華やかさが意図的に表されています。

 

ピエトロ・アンニゴーニ(Pietro Annigoni)1955年

イタリアの具象派を代表する画家、ピエトロ・アンニゴーニは、ルネサンス期の技法を用い、ロマンチックでバロック的な威厳を感じさせる肖像画を描きました。

イングランドの最高勲章であるガーター勲章のローブをまとったエリザベス女王は、威厳に満ちた表情で遠くを見つめています。

ドラマチックでありながら、心理描写の少ないこの作品は、1955年にロンドンのロイヤルアカデミーで公開されると、イギリス国民に大好評を博しました。

 

ジェイミー・リード(Jamie Reid)1977年

パンクロックバンド、セックス・ピストルズのシングル「ゴッド・セイブ・ザ・クイーン」のためにジェイミー・リードが制作したアートワークです。

史上最も象徴的なパンクのイメージと言えるでしょう。

グラフィックデザイナーであるジェイミー・リードは、王室写真家のピーター・グルージョンが撮影した女王の古典的な白黒写真を暴力的に破壊。

目と口をはぎ取り、新聞の見出しを切り抜いた身代金メモのような文字で、シングルのタイトルとバンド名に置き換えています。

女王をユニオンフラッグの旗の上に配置することで、暗に国の混乱が見えないように表現されています。

セックス・ピストルズの辛辣な歌詞を完璧に表現したジャケットデザインとシングルは、当時物議を醸し、BBCは曲の放送を全面禁止しました。

God Save the Queen
she ain’t no human being
There is no future in England’s dreaming

ー神よ 女王様を救い給え
 彼女は人間じゃない
 イングランドが描く夢に未来はない

 

ルシアン・フロイド(Lucian Freud)2001年

イギリスを代表する画家、ルシアン・フロイドが2001年に描いた女王の肖像画です。

ルシアン・フロイドは女王の肖像画を描く許可を得て、2001年5月から12月までの6ヶ月もの間、宮殿に通い、女王を前にして肖像画を描き続けました。

描き終えた作品は、英国王室の美術品コレクションであるロイヤル・コレクション・トラストに寄贈。

約24cm×15cmという小さなキャンバスの全体が女王の顔で埋め尽くされ、輝くダイヤモンドの髪飾りが目を惹きます。

年老いた女王のお世辞にも美しいとは言えないこの作品に対して、イギリス国内での賛否は分かれたままです。

 

クリス・レヴィン(Chris Levine)2004年

クリス・レヴィンによる「存在の光(Lightness of Being)」は、女王の神聖さを感じさせるポートレートです。

目を閉じて、全身から白い光を発しているようにも見えるこの作品は、2004年にバッキンガム宮殿で撮影を行った際に偶然生まれました。

女王の公式肖像写真を撮るため、クリス・レヴィンが高解像度のデジタルカメラを使用し、女王の周りを360度移動しながら約200枚撮影していました。

カメラは1周するごとにリセットする必要があるため、レヴィンがカメラを調整中に女王にリラックスするよう提案したところ、彼女が目を閉じて安静にしている姿が偶然撮影されたのです。

目を閉じた肖像作品は評判になり、レヴィンはこの写真をもとに、様々なバージョンで制作しました。

目を開けた女王の公式肖像画は、2012年に即位60周年を記念して発券された100ポンド紙幣に使用されています。

 

ヒュー・ロック(Hew Locke)2005年

エリザベス2世を表現した作品を数多く制作しているヒュー・ロック。

幼少期をスコットランドとイギリスの旧植民地であるガイアナで過ごした経験から、英国王室と英国の植民地時代の遺産に対するアンビバレントな感情を元に制作活動を行なっています。

この作品のタイトル「コ・イ・ヌール(Koh-i-Noor )」は、1849年に英国がインド北西部からパキスタン北東部に跨る地域であるパンジャブ地方を併合した翌年、ヴィクトリア女王に譲渡された世界最大級のダイヤモンドの名前に因んでいます。

巨大な宝石は女王の王冠に嵌められ、他の王冠や宝石と共にロンドン塔に収められています。

 

 

各時代のアーティストが様々な手法で表現した、女王のポートレイトと肖像画。

それぞれの作品は、揺るぎない英国君主制の裏側で何が起こっているのか、イギリス国内の変化や、各アーティストから見た君主制について多くを伝えています。

在位70年にあたり、オークションハウスのサザビーズ・ロンドンでは、女王のお気に入りのアーティストによる英国美術のオークションと、王室行事で着用したティアラの展示会が開催されます。

 

 

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