アート・美術にまつわる映画まとめ!画家の人生や作品について学べる映画をご紹介
ゴッホやフェルメールなど有名画家たちの人生を、あなたはどれくらい知っていますか?
画家たちがどのような場所で、どんな人生を送っていたか、楽しく学べる映画が世界にはたくさんあります。
美術館に足を運べなくても、家で気軽に画家や作品について知ることができるのが映画のメリット。
映画を通して画家の人生を追体験することで、見たことのある絵画の新しい一面を発見でき、より美術鑑賞の体験が豊かなものになります。
今回は、「ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ」「ある画家の数奇な運命」など画家たちの生き様を描いた伝記映画、「イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ」「太陽の塔 」などアートについて詳しく学べるドキュメンタリー映画をご紹介します。
「アート診断」
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画家の人生を描いた伝記映画
ゴッホやフェルメールといった有名画家の人生を描いた作品をご紹介します。
作品が描かれた時代背景や画家の人生について、視覚的に学ぶことでより深い作品鑑賞ができるようになります。
美しい映像とともに、ぜひ芸術作品を味わってみてください。
ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ(2021)
猫をモチーフにしたイラストで人気を集めたイギリスの画家ルイス・ウェインの生涯を描いた伝記映画です。
ピーターと名付けられた猫、妻のエミリー、ルイスの3人のストーリーを通して、彼が猫を描き始めたきっかけなどが浮き彫りになっていきます。
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魂のまなざし(2020)
モダニズムを代表する画家のひとりとして近年、世界的に注目を集めるフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベックを描いた伝記映画。
抑圧的な家庭や男性優位の社会にも臆さず、名誉よりも内からあふれ出る情熱に従うヘレンの姿を、北欧の美しい自然や街並みとともに描かれています。
\ ここがおすすめ /
TOVE/トーベ(2021)
「ムーミン」の原作者として知られる、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンの半生が綴られた作品です。
1944年のヘルシンキ。
第2次世界大戦下のフィンランド・ヘルシンキのアトリエで暮らし始めたトーべは、戦時下の暮らしや、彫刻家であり厳格な父との葛藤を乗り越えながら創作活動を続けていきます。舞台監督の女性と惹かれ合い、ムーミンのキャラクターたちの創作が始まっていきます。
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レンブラントの夜警(2007)
17世紀オランダ。肖像画家として成功を収めたレンブラントは、富と名声、さらに待望の男子まで授かり、まさに人生の絶頂にいました。
ある日、彼の元にアムステルダム市警団の肖像画の依頼が舞い込みます。
下調べのために団員たちに近づいたレンブラントは、金と欲望にまみれた彼らの実態を知ることになります。
\ ここがおすすめ /
資本主義の始まりである17世紀オランダの権力者の欲望を描いた本作は、強者と弱者、欲望といった現代に通じるテーマも掘り下げられている見応えある一作です。
カラヴァッジョ 天才画家の光と影(2007)
華やかなルネサンスが終焉した時代に、数々の傑作を遺し、多くの人を魅了した画家カラヴァッジョ。
情熱的に愛し、自身の信念を貫くために闘いを挑み、そのために多くの敵を作った彼の人生はローマ、ナポリ、シチリアへと流転すします。
絵画の依頼主であったヨーロッパ貴族による教皇の座をめぐる争いの中で、ある時は時代の寵児に、ある時は反逆者の烙印をおされた画家の真実の姿とはーー?
\ ここがおすすめ /
謎に包まれたカラヴァッジョの人生をさまざまな分野の専門家の協力を得て、傑作誕生の裏側を描き出した作品です。
カラヴァッジョの絵画の大きな特徴でもある光と影のコントラストが、映画のスクリーン上にも表れているので、ぜひ注目してみてください。
宮廷画家ゴヤは見た(2006)
肖像画を描いてもらうためゴヤのアトリエを訪れたロレンソ神父は、そこで見た絵の中の少女イネスの美しさに心を奪われます。
ところがある日、イネスは無実の罪で異端審問所に囚われてしまいーー。
\ ここがおすすめ /
18世紀末のスペイン宮廷画家として、当時の民衆や王族の様子を描いた画家ゴヤ。
当時行われていた異端審問がもたらした悲劇をゴヤの視点で重厚に描かれています。スペインにおける激動の時代の様子も感じることができ、歴史が好きな人にもおすすめです。
華麗なる激情 (1965)
「システィーナ礼拝堂天井画」「最後の審判」などで知られるイタリア ルネサンス期の彫刻家ミケランジェロを描いた作品。
ユリウス2世の命でシスティーナ礼拝堂の巨大な天井画に挑むミケランジェロの苦悩と情熱が描かれています。
\ ここがおすすめ /
足場に登り、首を折り曲げながら何時間も制作しなければならなかったという壮絶な天井画制作。画面いっぱいに天井画が広がる制作シーンは必見です!チャールトン・ヘストン演じるミケランジェロと、レックス・ハリソン演じるユリウス2世の掛け合いもまた魅力的。
アンドレイ・ルブリョフ (1971)
ロシアのイコン画家アンドレイ・ルブリョフの半生と、中世ロシアの背景を忠実を描いた作品。
「映像の詩人」ともいわれるアンドレイ・タルコフスキー監督作品であり、叙情的な美しい映像がみどころです。
\ ここがおすすめ /
イコンとは、イエスや聖人の姿を描いた聖画像のことをいいます。ロシア・イコンの歴史は長く、アンドレイ・ルブリョフはそのロシア・イコンを完成まで導いた人物。全10章の物語の中で、中世ロシアの信仰について知ることができる壮大な作品です。
真珠の耳飾りの少女 (2003)
オランダ バロック期の画家フェルメールと、いまだに謎の多い代表作「真珠の耳飾りの少女」のモデルを巡る架空の物語を描いた作品。
フェルメールの家に下働きとして入る少女グリートがフェルメールに見出され、芸術に目覚めていく過程が描かれています。
\ ここがおすすめ /
純金と同等に高価であったと言われる顔料「ウルトラマリンブルー」を惜しげもなく使った「真珠の耳飾りの少女」。映画では、グリートがフェルメールに教わり、絵の具を作るシーンが描かれています。当時の画家の制作をリアルに感じられる貴重なシーンです。
ターナー、光に愛を求めて (2014)
印象派にも影響を与えたロマン主義の画家ターナーを描いた作品。
インスピレーションを求めて彷徨うターナーの後世が描かれています。
\ ここがおすすめ /
ターナーの美しい光の作品を思わせる映像が魅力的な映画。作品や映像美に対し、愛情を求めて不器用に振舞ってしまうターナーの生き様のコントラストが面白いところ。
ルノワール 陽だまりの裸婦 (2013)
印象画の巨匠ルノワールの晩年を描いた作品。
老年のルノワールと後に仏映画界の巨匠となる息子のジャン・ルノワール、モデルのアンドレが織りなすドラマや、代表作「俗女たち」に秘められた事実について知ることができます。
\ ここがおすすめ /
ルノワールの明るい色彩を体現したかのような美しい映像が見どころ。晩年、病に冒されながらも震える手で制作を続けるルノワール。「私の絵には暗い色はいらない」というセリフが響くラストです。
セザンヌと過ごした時間 (2016)
「近代絵画の父」と称されるセザンヌを描いた映画。
死後に評価された不遇の画家セザンヌと、小説家として成功を収めたエミール・ゾラ。
共に夢を語り合いながらも分かたれていく二人の友情について描かれています。
\ ここがおすすめ /
当時は異端だった印象派グループの一員だったセザンヌ。今日の確立された評価とは裏腹に不遇な日々が続きます。ゾラとの溝は深くなるばかりですが、セリフの随所にゾラへの信頼を感じられる感動的な作品です。
炎の人ゴッホ (1956)
後期印象派の画家ゴッホの生涯を描いた作品。
ゴッホが後期印象派のグループに力を得て情熱的に制作を行う様子や、「耳切り事件」に至るまでの過程。
ゴッホの生涯を余すことなく知ることのできる作品です。
\ ここがおすすめ /
ゴッホについてとにかく知りたいという方におすすめの教科書的作品。ゴッホの最期については、映画でも解釈が分かれるところ。この作品をベースに、ゴッホを描いた他の映画と比較してみるのも面白いかもしれません。
ゴッホ ~最期の手紙~ (2017)
ゴッホの死の謎を、全編油絵風のアニメーションで解き明かしていく異色のサスペンス映画。
ゴッホが弟テオに宛てた「最期の手紙」を巡って物語が展開されていきます。
総勢125名の画家が制作した油絵がアニメとして動き出す、迫力満点の作品です。
\ ここがおすすめ /
「動く油絵」ともいえるアニメーションがゴッホの世界に存分に浸ることのできる作品。「星月夜」や「夜のカフェテラス」など、ゴッホの重要な作品を舞台に展開していくサスペンスに、没入すること間違いなしです。
永遠の門 ゴッホの見た未来 (2019)
ゴッホのアルル時代を描いた映画。
同じく後期印象派の画家ゴーギャンに導かれ、南フランスのアルルにたどり着いたゴッホ。
ゴッホがアルルの途方もない風景に見出した美が、映像で再現されています。
\ ここがおすすめ /
ゴッホがアルルの「黄色い家」で過ごした日々を、一人称視点の映像を交えながら表現した作品。ゴーギャンとの友情や精神病に打ちひしがれながらも、画業を貫いたゴッホ。黄色く曇った視界と美しい風景が錯そうするラストシーンは見どころです。
ゴーギャン タヒチ、楽園への旅 (2018)
ゴッホとともに後期印象派を代表する画家、ポール・ゴーギャンを描いた作品。
困窮しフランスから南太平洋の辺境タヒチへと拠点を移すまでと、ゴーギャンがタヒチに見出した楽園の姿が描かれています。
\ ここがおすすめ /
当時はフランスの植民地であったタヒチ。理想の地を求めてパリからタヒチへと移ったゴーギャンですが、ゴーギャン自身はフランスの出身であるという事実から逃れられない哀しいストーリーです。序盤のパリの風景とタヒチの風景の色や光の違いが面白い作品。
エゴン・シーレ 死と乙女 (2016)
20世紀初頭 オーストリアで活躍した早逝の画家エゴン・シーレを描いた作品。
伝統的な美術アカデミーから抜け出し、時代の寵児となったシーレ。
激動の時代に翻弄される画家の半生と、モデル制作の葛藤が描かれています。
\ ここがおすすめ /
第一次世界大戦下、スペイン風邪の流行という時代の中、常に死を意識しながら生きた画家とモデル。シーレの代表作が「男と乙女」から「死と乙女」へ書き換えられた経緯を考えてみると、とても興味深いです。
赤い風車 (1953)
19世紀末 フランスの画家ロートレックの生涯を描いた作品。
名門に生まれながらも貧乏であり、また身体も不自由だったロートレックがキャバレーの踊り子たちを描き、心を通わせていく様子が描かれています。
\ ここがおすすめ /
幼少期の事故のために、脚の成長が止まっていたロートレック。名門の出にも関わらず、キャバレーの踊り子たちを生き生きと描いたのは、ロートレックの中に深い共感があったからでしょうか。踊り子たちと過ごした時間が蘇るラストにはとても感動します。
モンパルナスの灯 (1958)
モンパルナスで活動したエコール・ド・パリの画家 モジリアニを描いた作品。
重い病と貧困に悩み、36歳で早逝した画家の苦悩に満ちた人生について描かれています。
\ ここがおすすめ /
モジリアニ役のジェラール・フィリップの演技が魅力的な作品。奇しくもジェラール・フィリップはこの翌年、モジリアニと同じ36歳でこの世を去っています。モジリアニの哀しい最期に注目。
FOUJITA (2015)
エコール・ド・パリの画家 藤田嗣治の半生を描いた作品。
フランスで称賛を受けた藤田が、フランスでは知られなかった戦争画を描くまでがほの暗く描かれています。
\ ここがおすすめ /
フランスでは享楽的な作品で称賛を受けた藤田。戦争画とは似ても似つかない藤田の作風が戦争を経て変化していく様子が印象的です。定点の静かな映像から、当時の日本の空気感が伝わってきます。
百日紅 ~Miss HOKUSAI~ (2015)
北斎の娘で同じく浮世絵画家として活躍した葛飾応為(お栄)を描いた物語。
お栄の生活を、江戸の風俗と日本の四季を通して表現されています。
原作は江戸風俗研究家でもある杉浦日向子の漫画「百日紅」。
\ ここがおすすめ /
個性豊かな登場人物が魅力的な作品。太い眉とサバサバとした声はまさにお栄の豪胆さを表しているよう。お栄の声は女優の杏が務めています。
クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代 (2006)
19世紀末のウィーンを代表する画家クリムトを描いた作品。
クリムトと、同じくウィーンの画家シーレの没後100年に合わせて制作されました。
ウィーン黄金期という時代から、画家の制作に秘められた背景に迫る作品です。
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ハプスブルク家の滅亡から第一次世界大戦、スペイン風邪の流行。当時の時代背景を克明に映し出した作品。ウィーン分離派の画家たちがなぜ「死」というテーマに強く惹かれたのか。クリムトやシーレといった画家を理解するのに不可欠な作品です。
「クリムト エゴン・シーレとウィーン黄金時代(吹き替え版)」を視聴する
サバイビング・ピカソ (1996)
キュビズムの画家パブロ・ピカソを描いた作品。
ピカソの晩年と、特にピカソに影響を与えたフランソワーズ・ジローの自立を描いています。
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アンソニー・ホプキンス演じるピカソがお茶目で魅力的な作品。ピカソというとその破天荒な生き方に注目されますが、フランソワーズやマティスといったピカソの周囲の人物もまた魅力的です。
フリーダ (2002)
メキシコの画家フリーダ・カーロの生涯を描いた作品。
生死を彷徨ったバス事故を機に絵画に目覚めた画家の人生が、鮮烈な映像と音楽で表現されています。
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フリーダの波乱万丈な人生を余すことなく知ることができます。色彩豊かなアニメーションや音楽から、フリーダの故郷メキシコの文化を感じることができるのもまた魅力。
ポロック 2人だけのアトリエ (2000)
「アクション・ペインティング」で知られる20世紀アメリカの画家ジャクソン・ポロックの半生を描いた作品。
独自の絵画表現で瞬く間にスターとなるが、スランプに陥り自暴に走るポロック。
自身も芸術家でありながら、ポロックを献身的に支えるリー・クラズナーとの関係が描かれています。
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ポロックに惚れ込んだエド・ハリスが、構想に15年かけたという初監督作品。エド・ハリス自身が主演を務め、なんと作中の絵画も自身で描いています。ポロックの作品の筆致、身体の動きを追体験できる制作シーンは見どころです。
ジャコメッティ 最後の肖像 (2017)
20世紀末スイスの彫刻家アルベルト・ジャコメッティを描いた作品。
友人であり作家でもあるジェイムズ・ロードに肖像のモデルを依頼し、ジャコメッティが最晩年の作品を制作する過程が描かれています。
\ ここがおすすめ /
針金のように細く引き伸ばされた彫刻で知られるジャコメッティ。実は初めから細長いのではなく、「見える通りに」作れば作るほど細長くなってしまうそう。そんなジャコメッティの制作の行方と、ちょっぴり面白いラストに注目。
カミーユ・クローデル (1988)
フランスの女性彫刻家カミーユ・クローデルを描いた作品。
ロダンの弟子として、ロダンを触発し続けた天才カミーユの葛藤について描かれています。
\ ここがおすすめ /
カミーユ役のイザベル・アジャーニの演技が見どころの作品。才気に満ち溢れた若き日のカミーユから一転、狂気に陥り面影がなくなっていく晩年は圧巻の演技です。
バスキア (1996)
80年代のニューヨークで活躍した画家ジャン=ミシェル・バスキアの生涯を描いた作品。
ニューヨークのアートシーンを背景に、バスキアの制作やアンディ・ウォーホルとの交流を描いています。
監督はバスキアの親友でもあり、この記事でも紹介した「永遠の門 ゴッホのみた未来」を手掛けたジュリアン・シュナーベル。
\ ここがおすすめ /
素朴な制作活動から、ウォーホルに絵を買われ羽ばたいていくバスキアのサクセスストーリー。周囲の人々に愛されたバスキアの生涯を余すことなく知ることができます。
ある画家の数奇な運命 (2018)
現代美術の巨匠ゲルハルト・リヒターをモデルにしたフィクション作品。
ナチス・ドイツの時代背景と、時代を背負いながら生きる画家の宿命を描いています。
\ ここがおすすめ /
「真実はすべて美しい」と残し、安楽死政策の犠牲になった叔母の言葉が最後まで作品を貫いています。リヒターをモデルにしながらも、あくまでフィクションとして語られる物語の中で何が真実か。考えてみると面白い作品です。
アートをテーマにしたドキュメンタリー映画
美術館の裏側や、美術作品をめぐる衝撃的な事件などをリアルに映し出すドキュメンタリーを観ることで、ふだん美術館に足を運んでも見ることのできない、新しい美術館の一面を発見できます。
今回は、アーティストやコレクター、学芸員など、様々な角度からアートへの向き合い方を教えてくれるドキュメンタリー作品を紹介します。
アートをテーマにしたドキュメンタリー映画を観て、「アートとはなにか」という大きな問いを、より深く、自分なりに考えてみるのもいいですね。
美術館を手玉にとった男(2014)
2011年、アメリカ各地の美術館に展示されていた数々の名作が、ある男が造ったニセモノだったことが判明します。
謎の男ランディスの素顔に迫り、ランディス本人や事件に関わった人々の姿を通して社会の歪みを浮かび上がらせていくドキュメンタリー作品です。
\ ここがおすすめ /
30年にわたり、100作以上の贋作をアメリカ中の美術館に寄贈し続けたランディスの素顔や、だまされた人々の感情をユーモラスなタッチで描き出した作品です。オリジナル/コピーという概念や芸術とは何かという問いについて考えさせられます。
ダ・ヴィンチは誰に微笑む(2021)
レオナルド・ダ・ビンチの最後の傑作とされる絵画「サルバトール・ムンディ」が史上最高額の510億円で落札された2017年の出来事をもとに、アート界の闇を暴いたドキュメンタリー作品。
アート関係者にとどまらず、ハリウッドスターや政治の権力者まで登場する狂想曲のような作品です。
\ ここがおすすめ /
ダ・ヴィンチの1枚の名画を通して、アート業界の闇や謎が生々しく描かれている本作は、好奇心が刺激されること間違いなし。まるでミステリー小説を読んでいるかのようなスリリングな展開も楽しめるドキュメンタリー作品です。
レンブラントは誰の手に(2019)
オランダ黄金時代に活躍した巨匠レンブラントの絵画をめぐり、アートに魅せられた人々の愛と欲が交錯する様子をドラマティックに描いたドキュメンタリー。
とある画商がレンブラントのものだと直感し、安値で落札したヤン11世の絵画が映画の軸となっています。
\ ここがおすすめ /
監督自身が、「シェイクスピアの登場人物のようだ」と表現する画商が主軸となっていて、ドキュメンタリー作品でありながら、まるでフィクションかのようなドラマが描かれています。美術のビジネスについて詳しく知りたい方におすすめの作品です。
ナショナル・ギャラリー 英国の至宝(2015)
ドキュメンタリー映画の巨匠フレデリック・ワイズマンが、ロンドンにあるナショナル・ギャラリーの秘密に迫った作品。
来場者向けの斬新なプロジェクトや、ギャラリートークといった表舞台から、作品の修復や最先端技術を用いた研究など、美術館の裏側までを映し出し、ナショナル・ギャラリーが190年以上愛され続けられている秘密に迫ります。
\ ここがおすすめ /
「場所」をテーマにした作品を撮り続けるフレデリック・ワイズマン監督。ナレーションや音楽に頼らず、カメラが捉えたそのままの映像から、観る人それぞれの感性で美術館という「場所」について考えを深めることができる作品です。
ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人 (2010)
素人アートコレクターの姿を描いた作品。
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\ ここがおすすめ /
アートコレクターというと富裕層の人々をイメージする方が多いのではないでしょうか。この夫妻はそんなイメージとは真逆の堅実な老夫婦。そんな夫妻のアートに対する向き合い方を見ると、アートを見る目も変わりそうです。
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バンクシー・ダズ・ニューヨーク (2016)
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過去最高25億円で売れたバンクシーの絵を路上で60ドルで売ってみたり、自分の名前を作品に書いて便乗する人が現れたり。とにかくカオスな作品。どこまでが作品でどこからイレギュラーなのか。考えてみるととても面白いです。
アイ・ウェイウェイは謝らない (2013)
中国の現代芸術家アイ・ウェイウェイの制作を追ったドキュメンタリー。
言論統制の強い中国で、政府に立ち向かい作品を生み出し続けるアーティストの姿が描かれています。
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2008年に起きた四川大地震による校舎倒壊で亡くなった5000人以上の児童の死について調査を進めていたアイ・ウェイウェイ。調査のため中国政府と対立し、警察に暴行を受けるなどの被害を受けます。それでもなお声を上げ続けることが重要だという彼の姿勢にアートが社会にできることは何か?と考えさせられる作品です。
あえかなる部屋 内藤礼と、光たち (2015)
豊島美術館「母型」などで知られる現代美術家 内藤礼の制作を追ったドキュメンタリー。
「母型」を巡る5人の女性の内面を通して、内藤礼の作品について知ることができます。
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「母型」の制作ドキュメンタリーと思いきや、作者自身の取材が不可能となってからは5人の女性の物語を通して進んでいきます。普遍的な5人の女性と自分の物語を重ね合わせながら見てみると、不思議と作品に親近感がわきます。観た後は自然と美術館に足が向かうような作品です。
バスキア、10代最後のとき (2018)
バスキアの没後30年を記念して制作されたドキュメンタリー。
バスキアが20世紀を代表するアーティストになるまでの生い立ちや、70・80年代のニューヨークカルチャーに触れることのできる作品です。
\ ここがおすすめ /
バスキアの作品を、当時の音楽や詩といった文化を通じて知ることができる作品。バスキアと同じ時代を生きた人々によって語られるニューヨークカルチャーは刺激的です。
太陽の塔 (2018)
日本の芸術家 岡本太郎の代表作「太陽の塔」を描いたドキュメンタリー。
「人類の進歩と調和」をテーマに開催された大阪万博でひときわ異質だった「太陽の塔」。
「太陽の塔」を取り囲む人々の語りを通して、高度経済成長期の日本について知ることができます。
\ ここがおすすめ /
高度経済成長期の日本の進歩を象徴する万博の中で、仏像のような異質な存在感を放っていた「太陽の塔」。その異質さを当時の社会情勢と一緒に感じることができるドキュメンタリーです。人類の進歩とは何か?ということを作品のコンセプトを通じて考えるととても面白いかも。
草間彌生∞INFINITY (2019)
世界的に活躍する芸術家 草間彌生の半生を追ったドキュメンタリー。
第二次世界大戦下の日本で過ごした過去からニューヨークでの制作活動まで、草間彌生について知ることのできる重要な一作です。
\ ここがおすすめ /
草間彌生の人生を余すことなく知ることのできる作品。女性として、日本人として様々な苦悩を乗り越えながら不屈の精神で作品制作に挑む姿に勇気を貰えます。
エッシャー 視覚の魔術師 (2019)
トリックアートで知られるオランダの版画家・画家マウリッツ・コルネリス・エッシャーの生涯に迫ったドキュメンタリー。
エッシャーの作品を、CGアニメーションを用いて立体的に描き出す。
\ ここがおすすめ /
エッシャーの作品が動き出す迫力のある映像が見どころ。数学や科学、音楽、様々な視点からエッシャーの制作について深く掘り下げられています。
ヨーゼフ・ボイスは挑発する (2019)
ドイツの現代美術家ヨーゼフ・ボイスの生涯を追ったドキュメンタリー。
芸術を社会変革まで拡張したボイスの制作と、作品の裏に潜む戦闘機墜落の経験について描かれています。
\ ここがおすすめ /
挑発的な作品で、彫刻の概念を社会変革や教育にまで押し広げたボイスの作品。「芸術とは飾りでなく武器である」という彼の考えから、アートの役割について考えさせられる作品です。
世界で一番ゴッホを描いた男 (2019)
ゴッホの複製画を描き続けている男性が「本物のゴッホの絵を見る」という夢を実現するため、
アムステルダムを訪れるまでを描いたドキュメンタリー。
\ ここがおすすめ /
20年間もの間ゴッホの複製画を描き続けた男性。夢だったゴッホの作品を間近に見た後、「比べるものではない」と自分自身の作品に挑戦していく過程が魅力的です。
アートのお値段 (2019)
オークションを前ににわかに騒がしくなるアート市場の裏側を、ギャラリスト、コレクター、アーティストなど様々な立場から映し出すドキュメンタリー。
ラリー・プーンズ、ジェフ・クーンズ、ジョージ・コンド、ゲルハルト・リヒターなど著名なアーティストも多数登場します。
\ ここがおすすめ /
オークションの現場を映し出した作品。アートの世界を形作っている様々な視点に触れることができます。存命の巨匠たちのアトリエや制作シーンは見どころ。
クリスト ウォーキング・オン・ウォーター (2020)
夫婦で協働してランド・アート作品を作り上げたクリストとジャンヌ=クロード。
妻ジャンヌ=クロード亡き後、クリストが手掛けた生前最後のプロジェクトを記録したドキュメンタリー。
イタリア イゼオ湖の上を人々が歩く「フローティング・ピアーズ (浮かぶ桟橋) 」実現までの道のりを知ることができます。
\ ここがおすすめ /
クリストの壮大なプロジェクトの過程を映したシンプルなドキュメンタリー。作品が実現し、実際に人々が作品の上を歩いている姿を見ると、自然と感動してしまうはず。
「クリスト ウォーキング・オン・ウォーター(DVD)」を視聴する
まとめ
画家の生き様を鮮やかに描いた伝記映画と、美術館の裏側やアーティストの素顔に迫ったドキュメンタリー作品を紹介してきました。
映像を通して画家や絵画について知ることで、美術鑑賞という体験がよりアップデートされたものになるはずです。
ぜひ、美術館に足を運ぶ前や後に、アートにまつわる映画を観てみてください。
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