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松本大洋とは?「ピンポン」などの代表作・経歴を詳しく解説

1987年「モーニング パーティ増刊」にてデビューし、90年代から『鉄コン筋クリート』『ピンポン』をはじめとした数々のアニメ・漫画を発表し、日本のみならず海外にも熱狂的なファンを持つ松本大洋

読み手を物語へ引き込む独特の画風と世界観で、もはや松本大洋という一つのジャンルを確立しつつあります。
その才能は「ONE PIECE」の作者である尾田栄一郎をもってしても「天才」と称されるほどです。

今回はそんな天才・松本大洋の、代表作や経歴を詳しく解説します。

 

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松本大洋とは?

松本大洋は『ピンポン』をはじめとする作品で有名な、日本を代表する漫画家の1人。

高校2年生のとき、母親の勧めで読んだ大友克洋の『童夢』に衝撃を受け、18歳から漫画を描き始めたそうです。独特な作風に加え、作品ごとに作風が変わるのが特徴ですが、スポーツや闘いと題材に男の美学を表現した作品が多く見受けられます。

代表作の『鉄コン筋クリート』『ピンポン』は映画・TVアニメ化しており、そこからファンになった人も多いのではないでしょうか。

 

松本大洋は何がすごい?

圧倒的な絵の存在感

松本大洋と言われてまず思い浮かぶのは独特な絵柄。どこを切り取っても作品になるようなアート性を感じます。

人物は写実とデフォルメの中間で表情豊か。人物の歯までしっかり描くことによって表情の豊かさがより際立っています。

また、建造物などの背景は定規を全く使わずにフリーハンドで描かれているので、他の漫画では醸し出せない雰囲気があります。

かなり好き嫌いが分かれる絵柄ですが、その絵から放たれる熱量は見る人に強烈な印象を与えます。

 

魅力的に描かれるキャラクター

松本大洋

松本大洋の人気の理由の一つとして、その強烈な絵柄に負けないほど魅力的なキャラクターが挙げられます。

彼の描くキャラクターはイキイキと、熱をもってそこにあるかのように感じさせます。読み手はそんな登場人物に感情移入し、彼の描く物語へ没入していく。

そして何よりセリフがカッコいい

特に『ピンポン』は「風の音が邪魔をしている」「血は鉄の味がする」など読めば一度は使いたくなるようなセリフの宝庫です。

 

革命的な漫画表現

そして松本大洋を語る上で外せないのが、疾走感のあるカット割り効果音のテキスト表現です。

当時のカット割りというと四角で大ぶりで規則正しいものが主流でしたが、彼のカット割りは割れた鏡のような不規則な鋭角が特徴的です。戦闘や卓球のような疾走感が重要な場面では、その効果がより発揮されています。

そして、効果音のテキスト表現も特徴的です。例えば、客席からの「オオオ」という歓声はあえて文字を重ねることによって、そこにいる観客の多さと声量を表現できています。

このカット割りと効果音テキストよってスポーツや闘いのシーンにおいて凄まじいスピード感と躍動感を演出することができました。

 

松本大洋の経歴

決して華々しくはないデビュー

ここまで読んでいただいた方は「これだけの才能があるのだから、そのデビューも華々しいものに違いない」と思われるかもしれません。

しかし、実際は苦悩に満ちたデビューでした。

1987年に「モーニング パーティ増刊」にて『それゆけファウルズ』が掲載。その後「月刊アフタヌーン」増刊号にて、野球を題材にした『STRAIGHT』が掲載され、漫画家としてデビューを果たします。

松本大洋

今では名作と知られる「ZERO」「花男」も当時は不評でした。

しかし、独特な絵柄と世界観があまり受け入れられず、その後5作目の『鉄コン筋クリート』まで打ち切りと読者からの不評で不発続きでした。今でこそ彼の代表作で知られる『鉄コン筋クリート』ですが、当時の人気は良いとは言えませんでした。

 

スポーツ漫画に衝撃を与えた『ピンポン』

そんな松本大洋でしたが、当時の編集担当に「球技を題材にしたスポーツ漫画を描いて欲しい」と言われます。

そこで彼が描いたのは卓球を題材とした『ピンポン』でした。卓球という地味で漫画映えしないスポーツを題材に、当初は担当と揉めたそうです。

しかし、「躍動感のあるカット割り」と卓球というスポーツの相性の良さ、才能と挫折をテーマに描き、感情移入できるストーリーで、『ピンポン』は「スラムダンク」や「タッチ」に並ぶスポーツ漫画となりました。

当時「友情・努力・勝利」を掲げていたスポーツ漫画に対して「嫉妬・才能・挫折」という全く逆のテーマを掲げた『ピンポン』は、スポーツ漫画界に大きな衝撃を与えました。

 

ピンポン後から現在

『ピンポン』で一躍有名になった松本大洋は、連載時には振るわなかった『ZERO』『花男』『鉄コン筋クリート』が、増刊やアニメ映画化によって人気作に。「一部のコアな人しかしらない漫画家」から、徐々に漫画家としての認知度が上がっていきました。

その後、2001年にSF作品『ナンバーファイブ 吾』。2006年に時代劇作品『竹光侍』。2010年に幼少期に施設で育った自身の体験に基づいて描かれた『Sunny』などスポーツ以外を題材にした作品を連載しています。

また、同作品で2007年に第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を、2011年に第15回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞しています。

そして現在「ビックコミック」系列の雑誌で『東京ヒゴロ』と『むかしのはなし』が連載中です。

そんな松本大洋ですが「アフタヌーン四季賞CHRONICLE」でのインタビューで、いずれゴルフ漫画を描きたいと語っているので、いつかまた彼の描くスポーツ漫画が読めるかもしれません。

 

松本大洋最新作『東京ヒゴロ』

大手出版社を早期退職した漫画編集者の塩澤。
理想の漫画誌を作るため、
自分が信じる漫画家たちを訪ね、執筆を依頼する。

松本大洋が初めて描く漫画家漫画。松本大洋の創作哲学が垣間見える、ファン必読の一冊

『東京ヒゴロ(1)』

1,430円 (税込)

出版社:小学館 (2021/8/30)

 

松本大洋の代表作

ピンポン

松本大洋の代表作にして、スポーツ漫画の常識を破壊した『ピンポン』。

高校卓球を題材に、卓球に魅了された個性的な5人の高校生による挫折、そして才能を巡る熱血スポ根漫画。魅力的なキャラクターと、圧倒的な躍動感とスピード感で描かれる対戦シーンに痺れること間違いなしです。

『ピンポン』は実写化・アニメ化ともに完成度の高い作品になっているので、ぜひ合わせてご覧になってください。

『ピンポン(1)』電子書籍

693円 (税込)

出版社:小学館 (1996/7/30)

 

鉄コン筋クリート

親を知らない少年のクロとシロは、宝町で盗みなどをしながら暮らしていた。そんな中、宝町で再開発の話題が持ち上がり、「子供の城」を建設するという話が浮上する。そして宝町が変化していくにつれて、クロとシロの運命も動き出す。

連載当時は不評でしたが、のちに見直されアニメ映画化を果たした作品です。

松本大洋の独特な絵柄が、リアルとファンタジーの狭間にあるようなカオスな世界観との相性が良く、他の漫画にはない没入感を味わえます。

『鉄コン筋クリート(1)』電子書籍

693円 (税込)

出版社:小学館 (1994/2/7)

 

Sunny

なんらかの理由で親と一緒に暮らすことができなくなった子供たちが預けられる児童養護施設・星の子学園。 横浜から転校してきた小学生山下静、東京から来た矢野春男ら、星の子学園に預けられた少年少女たちは、星の子学園の仲間らと寄り添い、親と一緒に暮らせないさびしさを抱えながら日々を過ごしていく。

養護施設で育った松本大洋が、自らの少年期を投影した作品。

柔らかなタッチで、子供たちの賑やかで穏やかな空気感と親の愛に飢えたもの悲しさが巧みに描写されており、読む人の心を打ちます。

『Sunny(1)』電子書籍

693円 (税込)

出版社:小学館 (2011/8/30)

 

映画『犬王』ではキャラクター原案を監修

松本大洋は、映画『犬王』のキャラクター原案を監修しています。

映画の予告を見て「どこか見覚えのある絵だな」と思った人もいるのではないでしょうか。監督はアニメ『ピンポン』の監督だった湯浅政明。再び湯浅×松本のタッグが見られるということでファンの期待を背負った作品になりました。

 

松本大洋のおすすめ関連書籍

TAIYOU 自選画集

19年間に描いた、小説の表紙、挿画、ポスター、Tシャツ、カットから選び抜きさらにはごく一部の媒体にしか発表していないレア作品も収録されます。2000年代の松本大洋作品世界を語るには欠かせない一冊となります。

『TAIYOU 自選画集』

4,180円 (税込)

出版社 ‏ : ‎ 小学館 (2018/2/28)
発売日 ‏ : ‎ 2018/2/28
言語 ‏ : ‎ 日本語

 

まとめ

今回は、日本漫画界の天才、松本大洋の経歴とその代表作についてご紹介しました。

彼の唯一無二の画風と世界観は、漫画の世界に大きな影響を与えただけでなく、国内外で多くの熱狂的なファンを築きました。

今後の彼の活動に期待です。

 

 

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