ジェフ・クーンズ彫刻現代アート
ART

ジェフ・クーンズの作品「バルーン・ドッグ」が粉々に、 破片の購入を申し出るコレクターも

2023年2月16日、マイアミで開催されたアートフェア「Art Wynwood(アート・ウィンウッド)」で展示されていた、ジェフ・クーンズの「バルーン・ドッグ」シリーズの彫刻作品が、側にいた女性によって倒され、床に転落し粉々になるという事件が起きました。

粉々に割れた作品の画像はSNSで拡散され、ネット上で大きな話題に。

現場に居合わせたコレクターの中には「作品の破片にも価値がある」と信じ、その場で買い取ると申し出た人もいたといいます。

この作品には保険がかけられており、作品を破損させた女性は賠償金を支払わずに済んだようです。

 

あなたの部屋に合うアートは?
「アート診断」

Q1.希望の価格帯は?

Q2.気になるジャンル・モチーフは?

国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
23件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
30件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
34件見つかりました!
診断をやり直す
国内最大のアートギャラリーで
あなたにおすすめの作品が
55件見つかりました!
診断をやり直す

クーンズの「バルーン・ドッグ」が粉々に

「バルーン・ドッグ(ブルー)」は、2月16日に開催された現代アートフェア「Art Wynwood」のVIPプレビューで、ギャラリー、ベルエア・ファインアート(Bel-Air Fine Art)のブースに展示されていました。

本作は、20年前に制作された磁器製の作品で、高さは38センチ。

ブロード美術館(ロサンゼルス)に展示されている、高さ3.7メートルの「バルーン・ドッグ(ブルー)」のミニチュア版で、ジェフ・クーンズは1994〜2000年にかけて、様々な色・サイズ・素材で、同シリーズの彫刻を計799点制作しています。

 

作品は事故当時、アクリルの台座の上に置かれていましたが、側にいた女性が誤って転倒した際に、作品も床に落下し粉々に。

現場に居合わせた、アートコレクターのステファン・ガムソンは、ヘラルド紙の取材に対して以下のようにコメントしています。

作品が落ちた瞬間、ハイウェイで交通事故が起きた時のように大群衆が集まりました。

作品には保険がかけられており、女性は賠償金を支払わずに済んだとのことです。

 

事故直後の動画がSNSで拡散

 
 
 
 
 
この投稿をInstagramで見る
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Stephan Gamson(@gamsonart)がシェアした投稿

ステファン・ガムソンが事故現場の動画をInstagramに投稿すると、ネットで大きな話題に。

粉々になった作品が床に散らばるショッキングな動画は、瞬く間に拡散されました。

作品を破損させた女性コレクターはネット上で強く批判されましたが、ガムソンの投稿に対して「女性コレクターのボーイフレンドの祖母」を自称するユーザーが反論のコメントを寄せています。

 

ギャラリーの地区マネージャーであるセドリック・ボエロもこのコメントに賛同しており、「Artnet News」の取材に対し、破損は意図的なものではなかったとコメントしています。

もちろん、このような象徴的な作品が破壊されるのを見るのは心が痛みます。

しかし、このコレクターは決してこの彫刻を壊すつもりはなく、実際、彼女は手で触っていませんでした。

オープニングレセプションでは、多くの人々が私たちのブースにいたので、彼女は意図せずに台座を少し蹴り、彫刻が落ちてしまったのだと思います。

 

ステファン・ガムソンの投稿には、「これは新しいアート・インスタレーションなのでは?」と言うコメントや、ギャラリーに対して「作品をもっとしっかり固定すべきだった」と指摘し、批判するコメントも寄せられています。

 

破片を買い求めるコレクターも

ジェフ・クーンズ 作品 破壊

Artnet Newsによれば、作品自体には4万2,000ドル(約566万円)の値段が付いていたとのこと。

現場に居合わせたステファン・ガムソンはじめ複数のコレクターは「作品の破片にも価値がある」と信じ、その場で破片を買い取ると申し出たといいます。

「この作品には、本当にクールなストーリーがある」と、ステファン・ガムソンは自身のInstagramに記しています。

 

同シリーズの彫刻作品は、ジェフ・クーンズを象徴する、最も高額な彫刻作品の一つとして知られており、オークションでの取引額も高騰しています。

アートネットプライスデータベースによると、2021年12月10日にKetterer Kunst(ドイツ)で行われたオークションでは、「バルーン・ドッグ (ブル)」(2021)が5万7500ドルで落札。

2013年11月、クリスティーズ・ニューヨークで行われたセールでは、さらに大きなサイズの「バルーン・ドッグ(オレンジ)」(1994-2000)が、5,840万ドル(約64億円)で落札されており、当時のタイム誌で大きく報道されました。

 

またクーンズ作品の破損事故は今回が初めてではなく、2016年にも、デザイン・マイアミのフェア会場でバルーン・ドッグが落下し粉々になるという、同様のアクシデントが起きています。

ジェフ・クーンズはその事件当時、作品が破壊されたことに傷ついた様子はなく、粉々になった作品について、

壊れたのがただのオブジェで、本当にラッキーだ。ただの磁器皿なんだから、取り替えることができる。

とコメントしていますが、今回の出来事に対しては、まだコメントを残していません。

 

破片すらも作品としてコレクターが買い求めるほど、クーンズの人気ぶりを象徴する出来事となった今回の事件。

このような痛ましいアクシデントが2度と起こらないことを祈ります。

 

 

関連記事

【2022年】日本で開催される芸術祭・アートイベント7選|あいち2022、瀬戸内国際芸術祭など

2022年、今年は日本各地で芸術祭が開催されます。 今年初開催の芸術祭も含め、今年注目の芸術祭をご紹介します。 最新の開催情報については、各芸術祭の公式ウェブサイトをご参照ください。   マツモト建築芸術祭

ミュシャとは?アルフォンス・ミュシャの代表的な絵画・イラスト作品を解説

「アール・ヌーヴォーの旗手」と呼ばれ時代の寵児として輝いた芸術家、アルフォン・マリア・ミュシャ。 優美で華やかな女性、風になびく豊な髪、流れるような衣装、装飾的なモチーフが特徴で、そのデザインは世紀末を輝かせ、当時の芸術家の模範とされ

SOMPO美術館のゴッホ「ひまわり」返還を求め、元所有者の相続人がSOMPOホールディングスを提訴

2022年12月13日、ニューヨークとドイツに拠点を置くドイツ系ユダヤ人の銀行家、パウル・フォン・メンデルスゾーン=バルトルディの子孫である3人の相続人が、日本の保険会社・SOMPOホールディングスが所有するゴッホ作「ひまわり(1888

東京造形大学出身の有名人・アーティスト8選

東京造形大学の特徴は、ファインアートよりデザイン系の学科が豊富で、他大学よりも映画、アニメーションといった映像系の分野に長けているところから、映画監督やアニメーション作家が多く生まれているという印象を持っている方も多いかもしれません。

西洋美術史のおすすめ本ランキングTOP6!初心者にも分かりやすい入門書を厳選

あなたにぴったりの一冊を見つけよう 美術観賞は好きですか? アートは正しい知識を身につけることで、今まで以上に楽しむことができます。西洋美術史はそのために欠かせない知識のひとつ。 今回は、西洋美術史にまつわる、国内外の本を200冊

TOP