イタリアダヴィンチモナリザ
ART

「モナリザ」に描かれた橋のモデルが明らかに?研究者がトスカーナ州ラテリーナ市の「ロミート橋」と断定

地球上で最もミステリアスな美術品の一つとして知られている、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナリザ」。

2023年5月、イタリアの歴史学者シルヴァノ・ヴィンチェティがローマで会見を開き、「モナリザ」の背景に描かれた橋のモデルについて、イタリア・トスカーナ州ラテリーナ市にある、エトルリア・ローマ時代に架けられた橋「ロミート・ディ・ラテリーナ(ロミート橋)」だとする研究成果を発表しました。

人口約35,00人のラテリーナ市は、この新発見に盛り上がりを見せています。

 

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モナリザの背景はどこ?描かれた「橋」の謎

世界で最も有名な芸術作品のひとつ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「モナ・リザ」。

そのモデルとなった女性の正体や背後に描かれた場所については、確かな証拠が見つかっておらず、これまで多くの謎に包まれてきました。

背景に描かれた「橋」のモデルについてはこれまで様々な説が提唱されており、

形が似ていることからイタリア中部のアルノ川だとする説や、フィレンツェの南に位置するブリアーノ橋だとする説、トスカーナ州北部の都市ピアチェンツァにあるボビオ橋の可能性も指摘されてきました。

トスカーナ州のポンテ・ブリアーノ村では、ブリアーノ橋説を村をあげてアピールし、観光スポットの一つとして村の看板にも橋の名前を掲げています。

 

モナリザに描かれた橋は、ラテリーナ市のロミート橋と断定

2023年5月、イタリアの歴史学者シルヴァノ・ヴィンチェティはローマで会見を開き、「モナリザ」の背景に描かれた場所を特定したと発表しました。

ヴィンセンティはイタリアの文化遺産協会会長を務めるダ・ヴィンチ研究の第一人者で、2010年10月には「モナリザの目に秘密の暗号(アルファベット)が描かれている」という研究成果を発表し、大きな議論を呼んだ人物です。

 

ヴィンチェティは、モナリザの背景のモデルとなった場所を特定する重要なヒントとして、モナリザの左肩の後ろに描かれた橋に着目。

描かれた橋とドローン撮影された写真との比較を続ける中で、橋のアーチの数を割り出し、橋のモデルはイタリアのトスカーナ州ラテリーナ市のアルノ川に架かるロミート・ディ・ラテリーナ(ロミート橋)だとする説を発表しました。

 

アーチの数に着目し、橋を特定

モナリザ 橋

ロミート橋はかつてフィレンツェを含む3つの市を結んでいましたが、現在は大部分が崩れ落ちて廃橋となっています。

ガーディアン紙によると、ヴィンチェティはドローン撮影された橋の写真と、フィレンツェ州公文書館の資料を活用し、ロミート橋が当時、4つのアーチで構成されていたことを特定。

これまで橋のモデルとして有力視されていたブリアーノ橋は6つのアーチがあり、ボビオ橋は6つ以上のアーチがあることから、4つのアーチで構成されたロミート橋が本物のモデルだとする見解を示しました。

 

ヴィンセンティはこの説を裏付ける根拠として、1503年当時、ダ・ヴィンチはフィレンツェの有力者チェーザレ・ボルジア枢機卿に仕えてラテリーナ市の近くに滞在していたと説明。

また、メディチ家所蔵の史料から「1501〜1503年にかけて、ロミート橋は多くの人々で賑わっていた」という記述を発見したと述べました。

「あの辺りのアルノ川の特徴的な形は、モナリザに描かれた風景と一致する」とコメントしています。

 

新発見に盛り上がるラテリーナ市

記者会見に出席したラテリーナ市のシモーナ・ネリ市長は、この新発見によって人口35,00人の市に観光需要が増えることを期待しています。

イタリア政府から文化資源を保有する自治体に支給される補助金についても言及し、「残された橋を守るための努力が必要であり、それには資金が必要です」とコメント。

今後、ラテリーナ市は橋の近くにあるアルノ川沿いの自転車道を整備し、モナリザにちなんだ名称を付け、新たな観光スポットとして観光客を呼び込もうとしています。

 

モナリザの正体は謎に包まれたまま

今回、モナリザの背景に描かれた場所が特定されたことで、「モナリザの正体」にも何らかのヒントが見つかるのでしょうか?

これまで一番有力視されてきたのは、フィレンツェの商人フランチェスコ・ディ・バルトロメオ・デル・ジョコンドの妻、リサ・デル・ジョコンドであるとする説。

2番目に有名なのが、ダ・ヴィンチの母、カテリーナであるという説。モナリザとダ・ヴィンチの表情が似ていることから、この絵はダ・ヴィンチ自身の女性としての自画像であるとする説も注目されてきました。

 

ヴィンチェンティ氏は2010年の研究発表でリサ・デル・ジョコンド説を否定しており、絵の裏に書かれた「149」という数字(4つめの数字は消されている)から、ダ・ヴィンチがミラノ滞在中の1490年代に、ミラノ公ルドヴィーコ・スフォルツァの宮廷の女性をモデルに描いたとする説を提唱しています。

 

今回の会見でモナリザの正体に関する新たな見解は示されませんでしたが、正体を探るヒントがこの橋から見つかる可能性もありそうです。

多くの謎に包まれた「モナリザ」。

その謎は研究者をはじめ、今なお多くの人々を魅了してやみません。

 

 

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