枯山水とは?歴史と分類、有名な庭園を詳しく解説
枯山水(かれさんすい)は、砂や石、草木や苔だけで山や水の自然の景色を表現した日本庭園のことです。
無駄を削ぎ落とした中に美しさのある「侘び・寂び」の精神が息づいている日本庭園です。
枯山水の庭園といえば、京都の「龍安寺の石庭」が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
実は龍安寺は枯山水の1つの種類にすぎず、他にも様々な種類があります。
今回は、枯山水の歴史と種類、全国の代表的な庭園をご紹介します。
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「枯山水」とは?
「枯山水」は日本庭園の1つの様式で、水を使わずに、石や砂、草木や苔などを使って山水風景を表現した日本庭園です。
無の境地を目指す禅宗の思想が影響を与えた閑静な庭園で、日本庭園の様式で最も古い様式の一つとされます。
枯山水は時代や造園の方法によって造りが異なり、植物と石が織りなす色の対比や、石や砂だけの静かな佇まいを楽しむことができます。
京都の龍安寺に代表される、石や砂のみを使った「石庭」は、枯山水の一種です。
枯山水の歴史は、11世紀にまで遡り、当時は庭園の一部に用いられていましたが、禅の思想が好まれた14世紀頃には独立した庭園として造られるようになったため、禅宗の寺院でよく見ることができます。
枯山水は面積の広狭を選ばず、また水を使わないため屋内や屋上にも作ることができます。
また日本らしい雰囲気が作れる上に、近代的な建築にも馴染むため、現代においても人気が高い庭園様式です。
枯山水の歴史
最古の記述は平安時代の『作庭記』
枯山水は、日本庭園の様式で最も古い様式の一つとされます。
「枯山水」という言葉が出てくる最古の記述は、平安時代に橘俊綱(1028-1094)によって編集された『作庭記』にあります。
池もなく遺水もなきところに石をたつる事あり。
これを枯山水となづく。
その枯山水の様は、片山のきし、或野筋などをつくりいでて、それにつきて石をたつるなり。
──『作庭記』
平安時代の枯山水は現存しておらず、この記述がどのような枯山水を指しているのか明確にはわかっていませんが、この時代の枯山水は独立した庭園様式ではなく、池など水場から少し離れた水のないところに築山や野道を作り、石を置く庭園手法を指していたと考えられています。
鎌倉時代、禅寺の庭に造られる
鎌倉時代に入り禅宗が中国から日本に伝わると、その宗教観を表すために禅寺の庭に本格的な石組(自然石を組み合わせて配置すること)が造られるようになりました。
「禅宗」とは
坐禅を中心とした修行によって、一切の邪念を払って無になることによって悟りが得られるという仏教の宗派の一つ。
枯山水の庭園は、心を落ち着ける空間として、禅の修行の場に相応しいものでした。
平安時代から鎌倉時代の枯山水は、敷地の一部の山の斜面などの傾斜に石組が造られたものでした。
敷地の一部に造られた枯山水は「前期式」と呼ばれます。
前期式枯山水の代表作としては、鎌倉時代中期の南宋から渡来した禅僧・蘭溪道隆(1213-1278)によって創建された鎌倉の「建長寺庭園」や山梨県の「東光寺庭園」などが有名です。
建長寺庭園は度重なる火災により、創建当時の面影が残っているのは枯滝石組のみとなっています。
室町時代に様式が確立
最初の本格的な枯山水庭園は1339年、禅僧 夢窓疎石(1275-1351)によって、京都の禅寺「西芳寺」に造られました。
夢窓疎石は、浄土式の寺院であった西芳寺を禅宗寺院として再興し、西芳寺の庭園を浄土庭園から禅宗庭園に改めました。
西芳寺庭園の上部庭園は、室町時代以降に主流となる、敷地全体を使った枯山水庭園が広がっています。
このように敷地全体を使った枯山水庭園は「後期式」と呼ばれ、室町時代以降、枯山水は独立した庭園様式として確立されたと考えられています。
1450年、龍安寺建立
世界的にも有名な龍安寺の石庭「方丈庭園」は1450年に作庭されました。
龍安寺の石庭は枯山水の代表例とされていますが、その当時、白砂に少数の石を配するだけの枯山水は少数派で、水墨画的な山水風景をそのまま表現した写実的な庭が主流でした。
禅宗の流行以外に、室町時代以降に急速に枯山水庭園が作られるようになった理由は、1467年の応仁の乱により多くの貴族が没落したため、大規模な池泉庭園の造園が経済的に困難になり、土地の広さを問わず水を必要としない枯山水の庭が好まれるようになったのではないか、と考えられています。
東山文化と共に貴族の間でも流行
室町時代8代将軍 足利義政(1436-1490)を中心に、禅宗の影響を色濃く受けた東山文化が栄えると、枯山水庭園は貴族の間にも広がっていきました。
義政の建立した「銀閣寺庭園」は、西芳寺の石組を参考にして造られたと言われています。
枯山水は日本人の侘び・寂びの感覚に寄り添い、禅寺のみならず武家や町人へも広がり発展していきました。
安土桃山時代にはより豪華で大規模に
安土桃山時代に入ると、禅宗特有の庭園であった枯山水が他宗の寺院や城郭の庭園にも用いられるようになります。
戦国武将や大名によって城郭庭園が盛んに造られ、戦国の世の武将たちは、力強く豪快な作風の庭園を造りました。
当時の権力者にとって枯山水庭園は権勢を知らしめる一つの手段でもあったため、豪壮で大規模な石組みの庭園が増えていきます。用いる石も多くなり、構成も立体的になっていきました。
安土桃山〜江戸時代初期にかけて、造園家の小堀遠州(1579-1647)が活躍しました。
小堀遠州の作庭と伝わる枯山水庭園の代表作は、京都の「南禅寺金地院」などが有名です。
砂利の掃目や植栽の刈込みが発展
江戸時代の枯山水には、龍安寺庭園を模範としたものが多くみられます。
長方形の地割りと空白の白砂敷を基本し、石組は奥に寄せる形になっていることが大きな特徴で、この頃から借景(庭園外の景色を庭園内の風景取り入れること)も用いられるようになります。
またこの頃、植栽の刈込みや砂利の掃目も整形化されていきました。
京都の「正伝寺庭園」「大徳寺方丈庭園」「南禅寺方丈庭園」などが有名です。
江戸時代中期以降、一時衰退
江戸時代中期以降になると、茶道の発展とともに茶の湯で手を清めるための手水鉢や植物が主体となった「茶庭」や、池の周囲を散策する回遊式の「池泉庭園」が主流になり、枯山水は徐々に衰退していきました。
また江戸時代は、経済が安定し富が有力な大名や商人の元に集まるようになり、大規模で娯楽的な「大名庭園」が好まれるようになったことも枯山水が衰退した要因と考えられます。
第二次世界大戦後、再評価
時代が大きく下り、第二次世界大戦後になると、日本国内で庭園の再解釈や再構成が進みました。
そんな中、「太陽の塔」で有名な芸術家 岡本太郎(1911-1996) が著書『庭の美しさ』(1953)や『日本の伝統』(1956)で枯山水を取り上げ、国内で再評価の熱が高まりました。
また、イギリスの著名な造園家 クリストファー・タナード(1910-1979)も著書『近代ランドスケープの庭』(1938)の中で枯山水を取り上げ、「モダン・ランドスケープ・デザイン」として海外からも大きく注目されるようになります。
昭和期に活躍した近代作庭家 重森三玲(1896-1975) は、1964に発表した『枯山水』の中で、前述した「前期式」「後期式」という分類を定義し、枯山水庭園を数多く作庭しました。
枯山水の種類
日本庭園研究会会長を務める現代の作庭家 吉河功(1941〜)が、その著書『京の庭』(1981)の中で提唱した枯山水の分類をもとに、それぞれの特徴をご紹介します。
平庭式
「平庭式」は、平らな敷地に造られた枯山水様式です。苔以外の植栽のない石庭も平庭式枯山水に含まれます。
京都の龍安寺石庭、圓通寺庭園などが有名です。
準平庭式
「準平庭式枯山水」は、平庭式枯山水に築山(つきやま)を加えた様式です。
築山とは、小高い山のことで、地形に変化を与えることで庭に深みを持たせようとする技法です。
『作庭記』に「山をつき」という言葉が記述されていることから、築山と呼ばれるようになったとされています。
京都の大徳寺瑞宝院は、平庭に蓬莱石組みが配置された枯山水です。
築山式
「築山式」は、傾斜のある地形をそのまま生かして作られた枯山水で、重森三玲による分類では「前期式」の庭園になります。
世界遺産でもある京都の西芳寺(苔寺)が最も有名で、亀石組みや枯滝石組みが苔の風情とともに楽しめます。
枯池式
「枯池式」は、水を使わずに石組みで池泉を表現した枯山水庭園です。
水を使っていないのに、実際に池があるかのように石を組み、空っぽの池(枯池)を表現しています。
京都の曼殊院庭園が有名です。
枯流れ式
「枯流れ式」は、水の流れを小石や砂紋で表現した枯山水庭園です。
周りに護岸のようなものをつくり、その内側に小石や砂を敷いた小川の清流を表現した様式です。
京都・嵐山にある天龍寺庭園は枯流れ式枯山水で、庭一面に描かれたさざなみの砂紋は緩やかな川の情景を演出しています。
枯山水の構成要素
石
枯山水は、石や砂を使って山岳や渓谷などの自然風景、宗教世界、思想、宇宙を表現しています。
複数の石や岩を組み合わせることを、石組(いしぐみ)と言います。
枯山水で使われる石組の種類はたくさんありますが、代表的なものをご紹介します。
須弥山
「須弥山」は、仏教では重要なシンボルとされている、仏の住む聖なる山「須弥山」を表した石組です。
大きな立石を須弥山として置き、その周りに低い石を並べることで、仏教の世界を表しています。
島根県の萬福寺庭園で見ることができます。
三尊石
「三尊石」は中央に大きな石を置き、その両脇に小さな石を置いた石組です。
仏像の「三尊像」にちなんだ名前で、大きな石を弥勒菩薩、両脇を文殊菩薩と普賢菩薩に見立て、庭の守護とすることを説いています。
『作庭記』の中には「石を立てるに三尊仏の石」という記述が残されています。
京都の圓徳院北庭で見ることができます。
蓬莱山
「蓬莱山」は、道教の蓬莱神の思想に基づいた石組です。
道教では、不老不死の仙人の住む蓬莱山が人間の理想郷(霊山)とされています。
石や築山で蓬莱山を表現し、その周辺に長寿の象徴である鶴や亀を見立てた石を置くのが一般的です。
京都の東福寺方丈庭園・南庭で見ることができます。
砂(砂紋・掃目)
平庭に敷かれた白砂(しらす)には水流を表現した砂紋(さもん)という模様が描かれています。
多彩な模様と石や植栽の調和は枯山水で大きな役割を果たしています。
砂紋は、川や海など表すものによっても紋様に違いがあり、水の流れだけでなく、精神の悟りや宇宙観を表す渦巻きもあります。
砂紋の種類
さざなみ(流水紋)
平穏な水面を象徴する模様。線の大小で川や海などの規模を表しています
うねり
さざなみよりも躍動的な波を表現しています
網代波紋
折線を連続させ、硬くやや荒い波を表しています
片男波紋
円弧を連続させたもので、うねりと網代波紋を混合させ、やや躍動的な波を表現しています
青海波紋
無限に広がる波を表現しています。力強さと柔らかさが混ざり合います
渦紋(水紋)
一滴の水が落ち、そこから広がる波紋や渦潮を表現しています
観世水
さざなみと渦紋を組み合わせたものです。流水に滴る水を表現しています
獅子紋
旋紋とも呼ばれる。渦紋の変形で、荒々しさを表現しています
立浪紋
荒ぶる波を表現しています
砂紋を描く行為は心を静め清めていく修行の一つと考えられ、レーキやほうきで僧が描くことになっています。
龍安寺の美しい砂紋引きの風景をご覧ください(上)。
植栽
枯山水というと、苔以外には植栽がないものだと思われがちですが、苔しか用いない石庭は、枯山水の一つの種類に過ぎません。
枯山水は水を使わず自然の風景を表現する日本庭園の様式ですので、石庭以外では植栽が使われています。
枯山水で用いられる主な植栽は松や桜、さつきです。
鶴島や亀島に長年生きる象徴として松を植えた庭が多く存在します。
苔
枯山水に欠かせない植物のひとつが苔です。
苔の種類は非常に多く、日本では約2,000種類以上あるといわれています。
枯山水に使われる主な苔は、オオスギゴケ、コスギゴケ、ヒノキゴケなどです。
季節や環境によって色も変化していきます。
借景
庭園外部にある山や樹木などの自然物等を、庭園の背景として取り入れ、自然に溶け込んだ景観を作ることを借景(しゃっけい)と呼びます。
借景は中国庭園から生まれた用語で、最古の記録としては中国明代の書『園冶』(1628)に記述されています。
多くは庭園の奥側に白壁などの境目を設置し、その奥に背景となる山や森林が見えるような造りとなっています。
限られた庭園のスペースに背景を取り込むことで、奥行きのある景観を形成することが出来るのが借景の大きな特徴です。
比叡山を借景とした京都の圓通寺庭園などが有名です。
代表的な枯山水12選
龍安寺 方丈庭園(京都府)
国の史跡及び特別名勝に指定されている龍安寺の石庭、方丈庭園。
龍安寺は1450年に創建された臨済宗の寺院で、1994年に「古都京都の文化財」としてユネスコ世界遺産に登録されました。
平らな敷地に作られた幅25m×奥行10mの長方形の庭で、土塀に囲まれた地面に白砂を敷き詰め、その上に大小15個の石が配置されています。
これらの石を島に見立て、白砂に線を描くことで水の流れを表しています。
不思議なのは、どの位置から眺めても必ずどれか一つの石が他の石に隠れ、14個の石しか見えないことです。
寺伝では、応仁の乱で焼失した龍安寺の再建後の室町時代末期(1500年頃)、特芳禅傑(1419-1506) らの禅僧によって作庭されたと伝えられていますが、作者も作庭意図も不明です。
故エリザベス女王が1975年に拝観して絶賛して以来、当時の禅ブームも後押しし、龍安寺の石庭は世界的に有名になりました。
龍安寺方丈庭園
住所:〒616-8001 京都府京都市右京区龍安寺御陵ノ下町13-1
拝観時間:3月1日から11月30日:8:00~17:00, 12月1日から2月末日:8:30~16:30
年中無休
拝観料:大人(600円)、高校生(500円)、小中学生(300円)
圓徳院 北庭(京都府)
圓徳院は江戸時代初期、豊臣秀吉(1537-1598) の正室 北政所(1546-1624) が晩年を過ごし、終焉の地となった場所に開かれた寺院で、高台寺の塔頭寺院です。
北庭はもともと伏見城北政所化粧御殿の賢庭(生没年不詳)作の前庭を縮小して移したもので、移築後に小堀遠州が手を加えました。
巨石を多く配置した珍しい造りの枯山水庭園で、当時の原型をほぼそのままに留めた桃山時代の代表的庭園の一つとして有名です。「旧圓徳院庭園」として国指定の名勝となっています。
北東部には枯滝石組を構成し、築山の蓬莱山を中心にして左右に亀島、鶴島の石組があります。
亀島と鶴島を結ぶ3つの石橋。奥には三尊石の石組みがあり、手前には白砂が広がっています。
圓徳院北庭
住所:〒605-0825 京都市東山区下河原町530
拝観時間:10:00~17:00
年中無休
拝観料:大人(500円)、中高校生(200円)
南禅寺 方丈庭園(京都府)
南禅寺は、1291年に亀山上皇の離宮を改めた寺です。
方丈庭園は、応仁の乱で焼失した南禅寺が再興された際に作庭されました。
国宝に指定されている大方丈の南に面した庭で、小堀遠州作と伝えられています。
南部から西部にかけて5本の定規線を配した薄青色の筋塀(築地塀)をめぐらし、東西に細長い地形に造られた白い砂紋が描かれています。
横に寝かして配置された6個の巨大な石が、虎の親子が川を渡る様子に見えることから「虎の児渡しの庭」と呼ばれています。
南禅寺方丈庭園
住所:〒606-8435 京都府京都市左京区南禅寺福地町
拝観時間:3月1日から11月30日:8:40~17:00, 12月1日から2月末日:8:40~16:30
年末(12月28日~31日)は一般の拝観なし
拝観料:大人(600円)、高校生(500円)、小中学生(400円)
公式サイト:https://nanzenji.or.jp
大仙院 書院庭園(京都府)
1509年に創建された京都市北区の大仙院は、臨済宗の大徳寺内にある塔頭寺院です。
大仙院の書院庭(書院建築に付随する庭園)は、室町時代を代表する枯山水の名庭園です。
本堂(方丈)北東の室である書院の間の北から東にかけて築庭されています。
30坪あまりの小さな庭に配置された石組は、阿波の青石を水流に見立て、鶴島と亀島の間にある蓬莱山から流れ落ちる滝が、大河となって白砂の大海に流れ込む様を表現しています。
開祖古嶽宗亘(1465-1548)による作庭と伝えられています。
のちに茶の湯を大成した千利休(1522-1591)は、この庭で蹲踞(つくばい、茶庭に設ける手水鉢)の着想を得たと言われます。
国の特別名勝に指定されています。
大仙院書院庭園
住所:〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町54-1
拝観時間:3月1日から11月30日:9:00~17:00, 12月1日から2月末日:9:00~16:30
年中無休
拝観料:大人(500円)、小人(15歳以下)(300円)
公式サイト:https://daisen-in.net
曼殊院庭園(京都府)
曼殊院は、比叡山の南西麓にある門跡寺院で、平安時代の延暦年間(782-806)に天台宗の開祖最澄(767-822)が比叡山上に創立したことに始まります。
何度かの移転を経て、江戸時代の1656年に現在の地に移転しました。
移転の際、大書院と小書院の南に造られた庭園は、白砂敷の上に大小3つの中島が築かれている準平庭式の枯池式枯山水です。
曼殊院は門跡寺院らしく、禅的な感性に宮廷風の意匠を取り込んだ贅沢な枯山水庭園です。
庭園の中央ある亀島には樹齢400年の五葉松が植えられています。
左手奥には滝石組があり、白砂敷はそこから流れる川を表しています。
大きな2つの中島の間には石橋が架けられ、中島や築山には5つの燈籠が据えられています。
5月初旬の霧島ツツジをはじめ、梅や椿、桜なども楽しめます。
秋の紅葉では、庭園が一層華やかに色づきます。
曼殊院庭園
住所:〒606-8134 京都府京都市左京区一乗寺竹ノ内町42
拝観時間:9:00~17:00
年中無休
拝観料:大人(600円)、高校生(500円)、小中学生(400円)
西芳寺庭園(京都府)
西芳寺は鎌倉時代の禅僧 夢窓疎石が禅寺として再興した寺です。
西芳寺の庭は上下二段にわかれており、上段は枯山水式、下段は黄金池を中心にした池泉回遊式庭園なっています。
上段の庭園は、夢窓疎石が作庭した日本最古の枯山水庭園として知られ、のちに足利義満(1358-1408)や足利義政が創建した金閣寺や銀閣寺など、室町時代に造られた庭園の原型になったといわれています。
西芳寺は境内が約120種もの苔が覆われていることから「苔寺」の名でも知られています。
国指定の特別名勝、世界文化遺産に指定されています。
西芳寺庭園
住所:〒615-8286 京都府京都市西京区松尾神ケ谷町56
拝観時間:事前申込必要、通常 10:00〜12:00
3月1日から11月30日:8:00~17:00, 12月1日から2月末日:8:30~16:30,
閉門:8月14日と12月30日、12月31日
拝観料:中学生以上 3000円(予約2か月前〜2週間前)、4000円(予約2週間〜前日)
大徳寺庭園(京都府)
洛北、紫野にある大徳寺は臨済宗大徳寺派の大本山(本坊)です。
江戸時代初期の1635年に建てられた住職の居住空間があった方丈前に広がる方丈庭園は、江戸時代を代表する枯山水庭園の一つとして知られ、史跡・特別名勝に指定されています。
方丈の前に広がる南庭は、大徳寺の住職 天祐和尚(1586-1666)による作庭といわれ、一面に広がる白砂が印象的です。
中央には一対の清めの盛砂を配置し近景とし、築地塀沿いでは刈込みされた木々と石組みで深山幽谷(ほとんど人跡未踏のような奥深い自然の地)を遠景として表現しています。
小堀遠州の作庭と伝わる東庭は、奥行きが狭く横に細長い土地に、縁起の良い数である奇数の並びとして石庭に良く用いられる七五三の石組があります。
庭園の面積も左へ行くほど奥行きが増し、広くなっている遠近法の手法が見られます。
大徳寺方丈庭園は、かつてはその東に比叡山を借景として望んでいましたが、今は遠望は見られません。
大徳寺庭園
住所:〒603-8231 京都府京都市北区紫野大徳寺町53
拝観時間:本坊は通常非公開(特別公開期間のみ拝観可:完全予約制)
*2020年の秋から大規模な修復中
西本願寺庭園(京都府)
西本願寺は桃山文化を伝える建築物が立ち並ぶ、浄土真宗本願寺派の本山です。
桃山時代~江戸時代初期に造られた本願寺大書院庭園は、枯池式枯山水の代表例として知られています。
大書院庭園は、通称「虎溪(こけい)の庭」で知られており、名称の由来は、中国の江西省にある廬山の景勝地の一つ、虎渓という渓谷を模している事から付けらています。
中国浄土宗発祥の地という事もあり、浄土真宗総本山の庭園に相応しいテーマです。
御影堂の屋根を廬山に見立てた借景とし、東部に築山を設け、北側の巨石で表された豪壮な枯滝から玉石敷きの枯流が急流となって流れ、白砂敷きの大海に注ぐ様子が表されています。
西本願寺庭園
住所:〒600-8358 京都府京都市下京区本願寺門前町
拝観時間:書院は通常非公開(特別公開期間のみ拝観可:完全予約制)
名古屋城 二之丸庭園(愛知県)
名古屋城二之丸庭園は徳川御三家の尾張徳川家の居城、名古屋城の二之丸に残る大名庭園です。
江戸時代初期(1615年頃)の築庭には千利休と師弟関係をもつ武将茶人 上田宗箇(1563-1650) が携わったとされます。
築庭後2度にわたる大きな改変があり、当初は、南蛮練塀で囲まれた中国風回遊式だったと伝えられています。
10代藩主徳川斉朝(1793-1850)によって、1818~1830年頃に改庭が行われ、唐風庭園から茶席などを加えた枯山水回遊式大名庭園となりました。
庭園面積は7,000坪と広大な枯山水です。
当初より大きく改変されましたが、築山や大形の庭石、青石を用いた石組などが今も残っています。
全国でも6例しかないとされる枯滝石組に石橋を渡した玉澗流の一つです。
「玉澗流」とは
安土桃山時代の作庭で、宋の有名な水画家 玉澗の山水画から上田宗箇の生み出した手法
背後に大きな築山を造り、その間から滝を落とし滝の上に石橋を架けているのが大きな特徴です。
名古屋城二之丸庭園
住所:〒460-0032 愛知県名古屋市中区二の丸1
開園時間:9:00〜16:30
休園日:12月29日~31日、1月1日(4日間)
入園料:大人(500円)、中学生以下:無料
萬福寺庭園(島根県)
島根県の萬福寺には室町時代中期、水墨画家兼作庭家として知られる雪舟(1420-1506)によって造られた石庭があります。
萬福寺庭園は仏教の世界観である「須弥山世界」(仏教の世界観)を象徴した石庭で、国の史跡及び名勝に指定されています。
中央最上段にある石「須弥山石」が中心石となり、築山にみられる集団石組と組み合わせて「須弥山石組」を表現しています。
須弥山石の真下にある石には「不老石」、右手中段にある石には「座禅石」と記されています。
この庭園は水墨画家らしい作風となっているのも特徴です。
墨画において、遠近は墨の濃淡で表現されます、この庭は弥山石を中央にして、右はやや暗く深みのある築山で枯滝をもち、左は平坦で一明るく、明と暗を使い分け、須弥山世界を匠に表現しています。
萬福寺庭園
住所:〒698-0004 島根県益田市東町24-33
拝観時間:8:30~17:30
年中無休
拝観料:大人(500円)、高校生(300円)、小中学生 (無料)
光明禅寺(福岡県)
光明禅寺は太宰府天満宮のそばにある禅宗寺院で、九州に唯一残っている重森三玲作の枯山水庭園があります。
2014年に「光明寺庭園」として福岡県の指定名勝になりました。
重森三玲により作庭された庭園は、前庭の「仏光石庭」と本堂裏の「一滴海庭」の2つがあります。
仏光石庭は、七五三の15の配石で光明禅師の“光”の字を表現したもので、一滴海庭は、渡宋天神伝説に基づき、白砂で大海が表現されています。
紅葉の名所としても有名です。
光明禅寺
住所:〒818-0117 福岡県太宰府市宰府2丁目16-1
拝観時間:9:30~16:30
公開:非定期
拝観料:大人(200円)
知覧武家屋敷 西郷恵一郎庭園(鹿児島県)
「薩摩小京都」とも呼ばれる知覧武家屋敷群は、江戸時代の武家屋敷群がそのまま残っている地域で、国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
知覧武家屋敷には、「知覧麓庭園」として登録されている国指定名勝の7つの庭園があり、 「西郷恵一郎庭園」はその中で最も新しい江戸末期(1804-1829)に作られた枯山水庭園で、「鶴亀庭園」とも呼ばれています。
庭園の手前には大海を表した白砂とサツキの低木の刈り込み、庭園の奥には鋭い岩を高い峯として見せる鶴首石、そして中央に枯滝石組とそれを覆うように刈り込まれたイヌマキ、右下にはサツキを亀の甲羅に見立て、左に亀の頭に見立てた亀頭石があります。
最奥には母ヶ岳を望む借景の庭園です。
知覧武家屋敷 西郷恵一郎庭園
住所:〒897-0302 鹿児島県南九州市知覧町郡13731番地1
開園時間:9:00~17:0
年中無休
入園料:大人(530円)、小人(320円)
「枯山水」のおすすめ関連書籍
NHK美の壺 枯山水
枯山水が描き出す日本庭園の極上の美を味わうアート鑑賞マニュアルです。
禅の教えとともに発達した枯山水の造形は、見る者を癒すばかりでなく、自然や宇宙をも感じさせる壮大な世界を描き出し、深遠な美を宿しています。
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大胆な石組、幾何学模様や直線・曲線を用いた斬新な地割、鮮やかな色の使い方で改めて注目を集めています。
東福寺や松尾大社などの代表作から通常非公開の個人宅まで、現存する庭園30余をテーマ別に自身の言葉を解説に交えながら紹介します。
まとめ
枯山水には様々は種類があることがわかっていただけましたでしょうか?
仏教や禅と繋がりの深い枯山水庭園には、日本の「侘び・寂び」の感性が詰まっています。
ぜひ実際に枯山水の庭園に足を運んでみてください。
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